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混乱からのラッキースケベ

 「れれれれれれれれれれれ!!」

 「……リス……ちょっとウルサイ。」

 「れれれれれれれれれれれ、レノ!」


 (アレから地獄の一晩だった……。)

 レノは目の前で狼狽えるレノアをどんよりとした瞳で見つめると目をつぶる。

 (でも、元気になってくれたみたいだ……。)


 そう思いレノは静かにレノアのベッドで意識を手放しかけたが、残念ながらそうは問屋が卸してくれなかった。

 「レノ!レノが何でここにいるんだよ!え?なに?何が起こったの?ええ?」

 ガバリと起き上がり、叫びながらレノアに揺さぶられレノは寝ることを許されなかったのだ。




 朝レノアが目覚めると、心地よい匂いと温もりにつつまれて昨日の気怠さや寒さが嘘のようだ。でもその温もりにもう少し触れていたくて熱源に擦り寄れば突如頭上から小さなうめき声が聞こえる。

 (うめき声?)

 不思議に思い声の方を見ればそこにはレノがどんよりした顔をしてレノアを抱きしめている形で寝ているのでかなり驚いた。

 そして冒頭に戻り今に至る。


 「昨日……レノアが俺と婚約して一緒に寝たいっていうから……。」

 (そのせいで生殺し状態でよく寝れなかった……。)

 俺は良く耐えたとレノはレノアに聞こえないように小さくため息をつく。


 「まぁ……とりあえずリスが元気になったみたいでよかったつっ!」

 むくりと起き上がり頭をかこうと手を上げれば突然レノアがレノの腕を掴んでグイッとレノに近づく。

 「ちょっ!レノ!このケガなに?もしかして無意識に俺がケガさせた!?」

 ケガ?

 掴まれた腕をレノが見れば昨日自分で傷付けたせいでまだ包帯が巻かれていた。

 「俺?いや……これは、自分でうっかりしたケガだから……。リス近い……。」

 あまりにも無防備にレノアが近づきすぎて、レノは眩暈をおこす。

 (もう、本当に無理。限界……。)

 そっとレノアの肩に手をかけ顔を近づけると……。


 バーーーン

 

 盛大に扉が開き、何故か涙で顔をくしゃくしゃにしたお父様がさらに何故か満面の笑みのスカーレットに縛られた状態で引きずられ、同じく満面の笑みのお母様が乗り込んできて声を弾ませる。

 「レノア!レノ!婚約者おめでとう!」

 両手を前に組んでお母様は全身全霊で喜んでいるのである。


 (もう、ナニコレ……。全然意味分かんない。)


 レノアは助けを求めるようにレノを見上げるもレノは虚ろな目をしているだけで何も言わない。


 「スイマセン。意味ワカリマセン。」

 もう、本当に意味がわからないので、誰かにレノアは説明を思わず棒読みで求めてしまった。わからないものはわからないから。


 するとすかさずスカーレットが口を挟む。

 「お嬢様が昨晩レノ様と婚約を結ばれるとおっしゃられましたもので、本日正式な婚約の手続きが完了したとお伝えに参りましたしだいで有ります。」

 しれっと、とんでもないことを言ってのけるスカーレットに今度はお母様が便乗してさらに言葉をのせる。

 「やったわねレノア!それに婚約結んだと同時にレノと一晩を共にするんだもの!これではもう他の殿方になんてお嫁にいけないわね!レノも勿論責任とってくださいね☆」

 

 これで現状理解できる人がいるなら見てみたい。レノは理解できているのかと改めてレノアはレノを見るとレノはなぜかうつらうつらとこの現状の中で船を漕いでいた。

 なんなんだこの男……。

 レノアはやっぱりレノは何処までも斜め上を行くのだと思わずため息をついてしまう。


 「れ、レノアー!嘘だと、嘘だと言っておくフガッ!」

 唯一なぜ縛られて居るのか全く理解出来ない不可解なお父様が発言しようとするとスカーレットがお父様の口をすばやく塞いで黙らせる。

 それでもまだ涙目でフガフガとレノアに何か訴えてはいるようだが、ここでお父様にかまうとレノアは余計に混乱しそうなので結局見ないことにしてしまった。


 そして、言いたいことだけを言って余計にレノアを混乱させた3人(主にスカーレットとお母様)は嵐のように去って行ってしまったのだった。


 「な、なんだったの?」

 残されたレノアは思わずつぶやいてしまうがもはやこの部屋にはその呟きに反応してくれる人間はいなかった。


 たった一晩、発熱している間に何が起こったのか解らずレノアは1人頭を抱えた。

 

 (わ、わからねえ……。)

 ナニコレ?ドウイウコト?ナニナニ?


 とりあえず、レノアはレノにも事情を聞こうと隣をみればさっきまで船を漕いでいたレノはなぜかレノアのベッドで横になり安らかに寝息を立てているではないか。

 (し、信じられん!よくこの状況で寝れるな!)

 レノアが半目でレノを見つめていればレノのサラサラした銀の髪に日の光が当たって輝くことにふと気付く。

 (あ、レノって髪の毛サラサラ……睫毛ながいんだ。顔……やっぱり格好いいな。)

 思わず寝姿に見惚れてしまい胸がドキリとしてしまう。


 ……この髪に触れたい。

 

 サラサラのレノの髪に自然に触れようとしていた自分の手を見てレノアは意識を引き戻す。

 (違う!違う!今はそこじゃ無い!)


 レノアはとりあえず、気持ちを落ち着けるために服を着替えようとクローゼットへ向かう。

 本当はロゼッタに着替えを手伝って貰えば良いのだろうけど、またあの3人組の様に混乱要素になっていたら困るのでとりあえず1人で着れる簡素なワンピースを選びレノの視界に入らないようクローゼットの中で寝間着を脱ぎ捨てて下着姿になったのに。


 「リス?」

 「!」

 「あ!」


 さっきまで寝息を立ててたから大丈夫だと思って、それでも万が一起きたとしても見られないようにクローゼットの中で着替えをしていたのに。


 レノ、2度目のラッキースケベ。 

 クローゼットの中の下着姿のレノアと遭遇。

 

 そして、2度目のレノアからのクリティカルヒットを貰いレノは床に沈んだのだった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

ドタバタしてしまいました。


もしかして加筆修正してたらスイマセン。

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