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裏話

 「ほら……。レノ様がお部屋に帰りましたよ。」

 レノが退室した後スカーレットはのびている旦那様を足でつつく。

 「うぅ…、スカーレット…。貴方は昔から容赦ない。僕……本当に天使が僕を迎えに来てた夢を見ちゃった。」

 「情けない……。まだ貴方が子供の頃の方がよっぽど素直で使える子……だった?」

 「そこ、疑問系で来ないでください。スカーレット先生。」

 顔だけを上げてスカーレットを恨めしそうに睨んでくる当主に対して、クスクスと笑うとスカーレットは手を差し伸べる。

 「先生とは、久しぶりに聞きましたよ。今はエレク家の執事ですがね。」

 「今はね。それでも僕は貴方が僕の先生で良かったと思ってるし、これでも貴方のお役にたてていることは嬉しいんですよ?恩返し出来てるみたいで。」


 まだ顔色が悪い当主はスカーレットの差し出した手を掴むとノロノロと立ち上がる。

 「本当は先生の義理妹さん……メノウさんが生きている間に見つけ出したかったんですけどね。そこは……すいません。」

 「いや……君には感謝してるよ。だけど、まさかメノウがバースの名前を捨ててたとは思わなかったよ。爵位も何もない異母母方のネームを名乗ってたとはね。レノ・サンドレアか……。レノ・ロネスタ・バースの方が格好いいと思いませんか?ましてや、ヤツが手を出すからもはやレノ・ベリーサ・サンドレアなんて私にしてみれば完全な他人の名前ですよ。」

 「まぁ、まぁ。名前で他人だとしても血筋でレノはちゃんと先生の甥じゃないですか。」

 「まあ、そうですね。だけどメノウと私は母も違えば年が離れた兄妹だったからどちらかというと息子じゃなくて孫って言えばよかったかな?」

 「僕にとってはレノアと変わらないから息子ですけどね……息子ですけどね。息子ですが!レノアをやるとなると……ううう。それでも先生の甥っ子だから婚約者としてまだましで有るだけで…あぁ、婚約なんて!」

 再び床にうな垂れる当主をみてスカーレットはため息をつく。

 「なんにせよ、旦那様がレノをここまで育ててくれたおかげであの子には自分の好きな道を選ばせてあげられる事ができるんですよ。私ではできなかった。本当に感謝しております。」

 スカーレットが当主に頭を深々と下げれば当主はおもむろに立ち上がりスカーレットの肩を掴んで頭を上げさせる。

 「辞めてくださいよ先生。ただでさえ貴方が僕の執事をしていることにすらまだ慣れてないのに。貴方に頭を下げられると槍が降ってきそうで怖いです。」

 青白顔で困った表情をすればスカーレットは苦笑いで返してくる。

 「いや、頭は下げておきますよ。可愛い甥の為に。うちの甥がいつかあんなに可愛らしいお嬢様と相思相愛の結婚をさせて貰えるのだから。」

 苦笑いからニッコリと笑顔でスカーレットは表情を変えるも当主は更に青白くなる。


 「うう…だけど、婚約なんてレノアがレノをちゃんと好きになったらですからね!レノがレノアに思いを寄せてるのだってわかりました。でも、もしレノが第二王子の権力を使ったりしたらこの話はなしですよ!レノアが第二王子としてのレノを好きになってもダメですからね!」

 「大丈夫。うちの甥はきっと貰った手札を上手く使ってちゃんとレノア様と相思相愛になるはずですから。そしたらレノア・ロネスタ・バースの名前にするのも良いですね!うちのあほ息子より可愛らしいお嬢様のような子が娘になってくれた方が老後も楽しいですね。」

 ケラケラと笑う執事を当主は唖然とした顔で見つめた。



ここまでお読みくださりありがとうございます。


すいません。

名前指摘されて気付きました。

38話でスターレット表記でしたが、完全な変換ミスでした。

スカーレットが正解です。混乱させてしまいすいませんでした。


教えて下さった方本当にありがとうございます!感謝です!


誤字脱字気をつけ時々見回りもしては居るのですが、なにせ作者がポンコツなもので…。

誤字脱字報告に助けられてたりします。


もっと読みやすくなるよう、楽しくなるよう精進して参りますので引き続き作品をよろしくお願いいたします。

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