スカーレット
レノはかなり混乱していた。いったいどこか情報を整理していけばいいのやら。チラリと頼みの綱の当主とその執事を見れば何故か2人は子供のように悪口を言い合って小競り合いをしている。
「あ、あの……。」
意を決して2人に声をかければなぜだか当主を押さえつけてニッコリとスカーレットが返事を返す。
「まぁ、いきなりこんなに情報を与えられても混乱すると思いますが取りあえず貴方が第二王子だと言うことは秘密でお願いします。そして、そのネックレスは王の子である証です。だから売らないようにそして今までの約束通りでお願いします。」
「うう、スカーレット……。やっぱりレノアはまだお嫁に行くなんて早いんじゃ……。」
「レノア様が何処の馬の骨かわからないヤツに攫われてもいいと?」
「そんな……そんな……。あんなに可愛いレノアが…。あんなにお父しゃまと結婚しゅるーって、言ってくれてたのに……。」
もはやレノが王子かどうかなど既にどうでも良くなっているらしい当主はひたすらに親馬鹿全開のままだった。
「旦那様いい加減子離れしてください、気持ち悪い。あぁ、レノ様1つ言い忘れてましたが。」
スカーレットは当主を締め上げ真顔でレノに向かい合う。
(スカーレット様……旦那様が息してない……。)
言おうか言わまいか一瞬悩んだが、真顔のスカーレットに逆らっては行けないと本能的に思い旦那様の事は見なかったことにしてレノはスカーレットを見る。
「レノ様。これだけは言っておきますよ。貴方はどうやら長年レノア様をお慕いしているようでしたし、何処の馬の骨かわからないヤツにやるよりは、隠してはいますが第二王子たる身分がある貴方に託した方がましというだけです。だけど、もしソレに乗じてレノア様に何かをしようとするならばその時はここを出てのたれ死ぬ覚悟でいらっしゃってくださいね。あとあくまでも貴方との婚約を進めるかどうかはレノア様次第だと言うことも!今は公表しませんからね。それと、我々にとって貴方は第二王子になろうがなるまいがレノと言う人物は可愛い息子みたいなもので有るのは変わりないのだからとだけ伝えておきますね。ね?旦那様?」
ニッコリと優しくスカーレットは笑うと、もはや虫の息のこの家の当主も何とか首をカクカク動かして頷いていた。
「っ!わかりました。ありがとうございます。」
深々と頭を下げるレノにはスカーレットは優しく肩を叩く。
「あぁ、あとねレノ。」
スカーレットがレノの肩に乗せた手に痛いほど力を込める。
「婚約を結んでもないうら若き乙女の寝込みを襲うのはどうかと思うよ?キスだけだったから今回は目を瞑るけど……今回だけですよ。」
「「なっ!?」」
レノとエレク家当主は一気に青ざめる。当主に関しては虫の息からの気絶した状態になった。
「ヤレヤレ。この人は……全く。とにかくレノ?レノア様とは健全に思いが通じ合えるように頑張りなさい。」
目が笑って居ないスカーレットを前にしてレノは深々と頭を下げると善処しますと呟いて部屋をでた。
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バース家最強伝説。




