活動再開
頭の整理がついたけど、やっぱりなんとなく翌日も学校に行きたくなくて休んだ。
だけど、流石に1週間位活動停止してたから自分が臭くて、お腹も空いてた事に気付く余裕も出てきたので部屋に来てくれたメイドさんに湯浴みの準備をしてもらった。
ベッドからもっそり起き上がりメイドさんに声を自分からかけたら「お嬢様が、お嬢様が湯浴みします!」って涙ながらに準備してくれた。
湯浴みする如きで泣くほど私臭かったかな?
メイドな彼女の名前はロゼッタ。
優しくて何でも出来る頼りになるお姉さんメイド。一番仲良し。
悪役令嬢だけど、身内には優しかったんだよ私。人間1人じゃ生きられないからね。
まぁ、死ぬ前はほぼ1人だったけど……。
湯浴みの時は青砥遙人として興奮したりしてしまうかと思えば、意外にそうでもなかった。
身長の割には発達していた身体をみても何も思わない自分に少しホッとする。やっぱり私はレノアだ。青砥遙人の記憶をもってるだけで、もう青砥遙人ではないんだと思えたから。
湯浴みが終わったらロゼッタが何時ものように身支度を調えるのを手伝ってくれた。
「お嬢様がレノに運ばれてきた時は何が何だかわからず心臓止まるかと思いましたよ。目覚められてからは誰が何をしてもブツブツ呟いて拒否ばかりで……飲まず食わずで……お医者様がきても同じ反応で………。」
ロゼッタはレノアの身支度をしながら泣き出していた。
「ううう……お嬢様がおかしくなってこのお屋敷は1週間お葬式みたいでした。旦那様は倒れるし、奥様は憔悴しきるし……ちゃんとお顔見せてあげてくださいね。」
「え?あ、なに?そんなことになってたの?ごめんね。もう大丈夫。」
(あ、そうだ……お礼は言わなきゃ。)
「そうだ、後でレノをよんでくれる?」
レノ……
「え?お嬢様……。レノですか?」
レノの名前を出しただけでロゼッタがびくつく。
「え、あ。うんレノよ?それがどうかした?」
「お嬢様!レノは今お使いで居ません。お嬢様……レノの用事は私が賜るので……。」
明らかに狼狽え出すロゼッタ。
(そりゃそうよね。)
私は今までレノだけに、平民の分際でと殴るわ、蹴るわをしてきたんだから。
お父様は4歳のレノをある日突然連れてきた。平民でも複雑な家庭事情があったらしく来た頃も無愛想でブスッとしていて話しかけても無視されて、それでもめげずに声をかけ続け、ある日お菓子を一緒に食べようと分けようとしたら目の前で叩きつけられた。
そこから私はアイツに意地悪をするようになった。
レノはお父様の好意で6歳から一緒に上級貴族の学校に行くようになってから更にブスッとした顔で傍に居るため余計にキツく当たってしまっていた。もちろん平民の彼は本来行けないのにお父様が彼を侯爵家の養子に入れると言う荒技で身分を偽らせたため可能になった。
それもなんだか娘としては少し面白くない。
親を取られたみたいで……。
なぜ彼を平民の身分を偽って上級貴族の学校に通わせているのかお父様の考えは理解に苦しむ。
どうせ卒業したら身分を外し養子も解除すると言う約束なのに。
と言うか……彼、はっちゃけパラダイス☆では確か謎の使用人で攻略対象なんだよね。
そして悪役令嬢レノアの断罪イベント後彼ルートでレノアは積年の恨みで彼に鞭打されるんだよ。
鞭打レノア色っぽかったなぁ……。
因みに脱線するとはっちゃけパラダイス☆で一番レノアのサービススチルが多いのはレノルートだった。同じ屋敷に住んでるからかな?
というか、主人公のサービススチルが意外に無かった。サービススチルは主にライバルの悪役令嬢レノアがどの攻略ルートでも多い。あれ乙女ゲームなのにサービススチルとか……。腐女子むけなのか若干男受けも狙ってたのか運営の意図がわからないけどそのサービススチルに騙されて俺はやってたから何とも言えない……。
まぁ、話は元にもどして………。
「そっか、いないならいいわ。会えたとき言うから。運んでくれたお礼したかっただけだし。」
「!?」
「ん?ロゼッタどうしたの?」
「え…あ、いや……。お嬢様がレノにお礼ですか?」
「ええ。一応運んでくれたならお礼言わなきゃじゃない?」
私がそう言えばロゼッタは固まっていた。
大丈夫よ。もうレノには意地悪しないから。
流石に35才の記憶をもって16才虐めるのはちょっとね。
ここまでお読みくださりありがとうございます!
不定期更新です。
よろしければ評価ください!
ブックマークもよろしくお願いします!