バットエンド
一人称が私と俺が入り交じってます。
主人公混乱中なので間違いではないです。
俺は日本でトラックに轢かれたあの時に死んだのだと理解するのに1時間ですんだ。因みに前世の名前は青砥遙人。
どうせもともと捨て子だったし、施設育ちで別に俺を心配してくれる人も居ないし何より俺に心残りが何も無かったのが多分受け入れられた理由だとおもう。
それから生まれ変わった自分がレノア・エレクと言う侯爵家の令嬢で16才。多分150センチそこそこのチビっちゃいけれど手入れの良くされた青髪をたなびかせ、キリリとしながらもどこか愛嬌のある黒い瞳の中々の美人だと言うことを思いだすのは1日かかった。
だけど、その1日はもの凄く精神的にキツかった。
俺は女か私は男か。
自分の意識はレノアなのか青砥遙人なのか……。
ごちゃごちゃになってしまって、よくわからないけど辛すぎて泣いてしまった。
泣いて泣いて泣いて……。
なんで泣いてるのか全くわからないほど泣いていたらいつの間にかすんなり受け入れられていた自分に今度は笑えてきてしまった。
まぁ、中身オッサンで見た目令嬢も悪くないな!
俺は今日からオッサン令嬢だ!
うん!開き直り大事!
でも、やっぱりこんなに美人になれたんだから一人称俺は良くない。令嬢として育ってきた私のプライドもあるんだからやっぱりここは一人称私だわ!
私で開き直ると今度は一気にレノアが過去に行ってきた記憶がフラッシュバックしてきた。
そのフラッシュバックを受け入れるのに5日かかった。
ぐぉぉぉぉ!何やってんのよ私!!
どうしてもっと早く俺の記憶を取り戻して来なかったんだろう。
16年間何をしてたんだ前世の記憶!
なぜなら、あれから俺は気絶して、どうやら濡れていた子が俺の家の人を見つけて屋敷まで運ぶ様に手配してくれていたらしい。
そして倒れたのは私が通っていた学校で、運んでくれた人は同じ学校に通っていたため濡れていた子に声をかけられたらしい。
目覚めた時傍にいた運んでくれた人が教えてくれたのはいいんだけど、なぜか物凄く汚いものを見るような蔑んだ目で見られていたのでそれより詳しくは聞けなかった。
もちろん運んでくれた彼の名前なんて聞くこともできなかった。
だけど、聞く必要なんて全くなかった。
だって、思いだしたんだもん。
オッサン令嬢思いだしたんだもん。
思いださなきゃ良かった事更に思いだしたんだもん。
濡れてた子は私、レノアによって虐められていたカサンドラ・アノード。
レノアと婚約の約束をしていた第一王子の心を見事横からゲットした幸運な金髪金目のヒロイン。
レノアは王子と結婚したくて王子の心を横取りしたヒロインに水をぶちまかして居たのが俺の記憶を取り戻したあの場面。
因みになぜか男子トイレ。
王子はシュワルツ・シュガー。青髪にシルバーの瞳の王道王子様。
別にタイプではないんだけど、王子って言うのは侯爵令嬢である私的にけっこうポイントが高かった。でも、もう興味ない。
むしろそんな理由でカサンドラみたいな美少女を虐めてた自分に腹が立つ。
クッソー……王子め!お前のせいで虐めに走っちまったじゃねえか!
そして、俺を連れ帰ってくれたのは謎の使用人レノ・サンドレア。シルバーの髪にブルーの瞳を持つ多分180センチ位あるかな?長身のイケメン。
もちろん私に平民と言うだけで蹴るわ殴るわの虐待を受けていた使用人。
そりゃ、汚れたものを見る目をするわな……。
……後で謝ろう。ちゃんと誠心誠意私のしてきたこと謝ろう。
そして、何より絶叫したのがこの記憶。
これ、昔友達に勧められたスマホアプリのゲームの世界じゃね?
確か乙女ゲームではっちゃけパラダイス☆とか言うヤツ。
なんで覚えてるかって言うと……
このゲーム時々乙女ゲームの割にはパンチラとか有ったんだよ。
思春期の男にとっちゃあ可愛い女の子達のパンチラとか威力大でしょ?
でも、レノアってお色気出す割にはなぜかモテないしフラれるし可愛そうな残念悪役令嬢だった気がする。しかもあるのはバッドエンドのみ。
確か………。
ヒロイン虐め過ぎて投獄まがいの軟禁されて病死したり、地方に飛ばされて一人で生涯をとじたり、鞭で打たれて傷をおって一生独身だったり。
やっぱバッドエンドのみだったな。
結局全てを理解し、受け入れるまで1週間位私は学校を休み、食事もろくにとらず、侯爵令嬢なのに同じものを着続け全ての活動を停止して引きこもりして居たらしい。
何度かお世話係の使用人は来てくれていたが、適当に相づちをうつのみで無意識に追い払って居たらしい。
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土下座。