表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/81

吊り橋効果

 さーて。どうするかな。

 バフンと勢いよくレノアはベッドに飛び込む。


 レイドを落とすって言っても何をすればいいかわからない。

 むーう。とりあえずどうしようか……。

 はちパラ☆のヒロインは……。ゆっくり考える。

 確か幼馴染みのレイドをヒロインに取られたくなくてヒロインを虐めるレノアをレイドが見かねて止めに入り、そこからレイドとヒロインがさらに急接近しハッピーエンドに。あ、そうだ!レイドはヒロインにティディーベアもらってときめいてた気がする!

 あれは確か……なんかのイベントの時なんだけど……なんだっけ?あれは……。

 (あー!思い出せねぇ!)

 まぁ、いいや!クマ買いに行こう!熊!

 ヒロインが行ってきた行動を同じように取ればレイドルートに行けるはず!

 安直な考えだと思ったけれど他には思いつかなかったため仕方ない。


 思い立ったら吉日。さっきの疲れは何のそのレノアは町に行く支度をロゼッタにお願いしたけれど、止められた。

 「お嬢様!この間ケガをなさってきたばかりじゃないですか!こんな夕時にお出かけなさってまたお怪我でもなさったらどうするんですか!」

 「あ、あれはわざとじゃないし。もうケガなんてしないから。お願いロゼッタ。今度ライジングのサイン貰ってあげるから!」

 「ぐっライジング!!何故御嬢様がそれをご存じなのですか!?」

 

 結局ライジングのサインにまけたロゼッタはレノを連れていくことを条件に買い物に折れてくれた。ロゼッタ自身は夕食の支度やベッド作りなどやることが多く、多忙であったため買い物はレノと2人で行くことになった。

 (持つべき物はともでした。ありがとうメリー、ユア、シン)

 心の中でロゼッタへの交渉時に役立つと友達を崇めた。


 「レノ!ごめんなさい。こんな時間に買い物に付き合って貰っちゃって。」

 「いや、別に……。リ……お嬢様は何を買いにいくんだ?」 

 レノは思わずリスと言いかけて途中で訂正すればレノアはため息をつく。

 「あのねぇ…。呼びかたなんだけど。別にレノが呼びやすければリスでいいよ?改めなくても。」

 そう言えばなぜかレノは俯く。

 「レノ?」

 覗き込めばレノはうっすら顔を赤らめていた。

 「ん?レノ熱有ったのか?大丈夫?」

 レノの額に手を当てればレノは仰け反ってしまった。

 「あっ……。」 

 今度はレノアが俯く。

 「いや、ほら。今のは叩こうとしてたとかじゃないから。熱有るのかと思って……。ごめん、驚いたよね。」

 「いや、すまない。ちょっと驚いて……。リスが近くて。」

 「「………。」」


 (やっぱりレノはまた叩かれると思ってんだ。虐めて来のがきっとトラウマになってるんだ。)

 (リス……可愛すぎだろう。あんな風にリスって呼んで良いとか、顔近づけられたら……。だめだ。可愛すぎる。) 


 微妙に噛み合っていない会話を繰り広げ、全くすれ違った想いを抱いた2人は黙りこんでしまった。

 そんな2人が町に着けば夕刻に近づいた町は賑わいが静まり所々店終いの準備をしているところも見受けられた。


 「あ、ヤバイ。お店しまっちゃう!レノ!ちょっと急ごう。」

 最初に口を開いたのはレノアだった。

 馬車の中での気まずさもありぴょんと馬車のから飛び降りようとしてドレスが馬車に引っかかりバランスを崩してしまう。

 「リス!」

 顔面から地面に崩れかけたレノアは後ろから延びて来た腕に力強く抱き締められ転落は免れた。 

 「飛び降りたら危ない。」

 「び、びっくりした。ごめんレノ。ありがとう。」

 レノアは思わずレノの方を向けば綺麗な整ったレノの顔が近くて息をのむ。それと同時にレノアの胸の鼓動は跳ね上がる。

 「こ、今度はゆっくりおりるから。それより店が閉まるから急ごう!」

 鼓動はまだ跳ね上がり落ち着かないけれどそれを誤魔化すようにレノアは目的地に向かって走り出した。


 (な、なんなんだこれ?)


 走りながらも先程のレノが頭をよぎる。

 サラサラな銀色の髪、透き通るような青い瞳。長いまつげ。見惚れてしまうくらい整った顔。男らしい力強い腕。

 詳細に思い出せば思い出すほど胸がドキドキする。


 (くっ……これはまさに吊り橋効果だ!落ち着け!落ち着け俺!)

 

 目的の店に着けば店屋の店員は店じまいの支度をしていた。慌てて店内に入り以前買ったことのあるティディーベアを手にして会計を済ませる。その頃にはレノアのドキドキも収まってきていた。


 (吊り橋効果恐るべき。おっちゃんにも効果ありだな。だが!俺は鞭打レノルートには行きたくない!)

ここまでお読みくださりありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ