ハッピーエンドとは?
レノルートは行けない。うん。行っちゃいけない。
「他に俺が安全に楽しくレノアとして生きていける道はある?」
恐ろしいけれど聞かなきゃ行けない。レノアの楽しく明るい未来のために。
「うーん?どうだろう?」
メリーは顎に手を当て考え込む。
「考えないと行けないレベルなのか……。」
もはや絶望的じゃねぇか。
「レノアは基本面倒臭いのよ。皆に平等に愛されちゃうと戦争だし。」
「それも無しで。他のヤツとのエンドはどうなの?」
「基本誰のルートでもバッドエンドは必ずはちパラ☆と同じレノアの終わり方よ。そして誰とだろうがレノ様意外はノーマルエンドの場合レノアが事故死による綺麗な思いとなって終わり。要するに必ず誰かを選ばないとレノアは死亡。」
「そ、それは避けたい!」
レノアは倒れそうになるくらい顔が真っ青になる。
「必ず誰かとハッピーエンドに仕向けるためね。萌えるわ。」
あっちゃんが凄く真面目な顔で頷く。
おっちやん全く萌えないからね!
「本当萌えるわよね!ナイス運営よ!」
メリーまで!全く萌えないってば!
メリーとあっちゃんを交互に睨んでいたら何故かユアまで横で力強く頷いている。
もしかしてユアも萌えてるの?
俺だけ?萌えないの?
これがジェネレーションギャップ?
女の子ってワカンナイ。
「それぞれのハッピーエンドを教えてください。」
「私はレノ様推しなのにぃー。レノ様!」
「はいはい。レノはいいから。次。」
うな垂れて聞けばメリーは面倒臭そうに教えてくれた。
「もう!シュワルツ第1王子は幽閉されて愛人になって終わり。条件はカサンドラと王子がくっつくこと。」
「あ、それは無理。私、王子苦手。」
あっちゃんが即否定してくる。
「レイドルートは自らの行いを恥じてレノアは浸水して命を落とすの。悲恋エンドね!オススメしないわ!」
「それはパス。死なない方向で。」
「シンルートは……。」
「シンルートは?」
メリーが急に俯く。すかさずユアとあっちゃんが俺をじと目で見つめてくる。
「はるたん。シンルートは無しよ。メリーをこれ以上傷つけるの?」
小声であっちゃんが囁く。
え?あ?あぁ?
訳がわからず混乱しているとユアがそっと教えてくれた。
「はるたん、メリーはシンと昨日やっとくっついたの……。レノ様を諦めてシンの気持ちに気付くには長い長い道のりだったのよ。」
ホロリと涙を拭く真似をするユア。
(あぁ!成る程!)
って!ユア泣いてないじゃん。そしていつの間にかユアもはるたん呼びか……。
「あ、じゃあエリック!エリックルートは?」
「……はるたん。エリックルートは直には行けないの。」
(メリーまではるたん呼びか……。)
「エリックルートに入るには一旦シンとくっついて、シンを振ってからいかないと行けないの。因みにエリックルートに行けてもハッピーエンドは着せ替え人形として地下倉庫にホルマリンづけよ。」
俺は無言で天を仰ぐ。
運営よ!怨むぞ!
何がハッピーエンドだ!
皆、究極のバッドエンドじゃねえーか!!
「あっちゃん……王子とくっつかない?これが一番無難にハッピーエンドだし。」
「嫌よ。無理。アイツ生理的に受け付けない。」
俺は再び天を仰ぐ。
何とか悪役令嬢やめれないかなぁ……。
「あ、そう言えば女の子同士エンドとかないの?」
あっちゃんがメリーに聞けばメリーは即答する。
「無いわよ。」
ここまでお読みくださりありがとうございます。
はるたん、ファイト!




