オッサン令嬢の誕生
雨がやんだ後だった。
大型トラックが通り過ぎる間際に道路のたまった水をかけられ全身ずぶ濡れになった。
うっわ………マジ最悪。
35才。
気持ちはまだ若者だけど、からだがそろそろオッサン化してきたと痛感していた人間ドックの再診帰りだった。
ずぶ濡れになってイライラしてたのもあり点滅している横断歩道を無理に横切ろうとした俺が悪かった。
二度あることは三度あるとは、よく言ったもので……。
三度目の不幸で俺はトラックに轢かれた。
アレ、絶対俺に水かけたトラックだ。
クソッタレ………。
そこまではハッキリ覚えてる。
だけど多分意味は違うけど、3度目の正直なのか何なのか………。
「へ?」
「………。」
「あ……。」
急に目の前の場面が変わってて、戸惑う。
だけど、一瞬で理解した事が一つ。
(嘘だろ……。何この子。めっちゃ可愛いんだけど……。)
目の前にはなぜかずぶ濡れの滅茶苦茶可愛い子。
けど、何でこの子もずぶ濡れ?
「君もトラックに水掛られた口?」
「え?」
(あ、こんな若い子にオッサン片足ツッコんだ俺が声かけたら犯罪だった?)
「や、ほら。あの、ナンパとかじゃなくって。あー、ごめん。こんなオッサンに声かけられてビックリしたよね。」
思わず両手を広げて何にもしませんのポーズをとろうとしたら手からバケツが落ちてきた。
(あれ?俺バケツもってたっけ?)
「れ、レノア様?」
(ん?レノア?柔軟剤?)
「レノア様?どうなさったのですか?」
(柔軟剤に様?)
周りを見渡せば可愛い子だらけ。
(あ、もしかして俺死んだ?)
ここは天国か?
「………レノア様。」
(あ、濡れた可愛い子まで柔軟剤?ってか、しゃべった!)
「あ、ごめん。ちょっとぼーっとしてた。君大丈夫?」
可愛い子に手を伸ばせば自分の手とは違う手が出てくる。
お、ちっちゃい可愛い手。
この子も可愛いのかと手の主を探せば気付く。
「あ?こ、これ……。」
え?
は?
ん?
んん?
「レノア様?」
「………。」
ってか、俺。
何このフリフリドレス!
え?は?え?
「ええええええ!!もしかして、俺女!?」
周りを見渡せば可愛い子達はなんか引いてる。
「レノア様……。大丈夫ですか?」
濡れた可愛い子が心配そうに尋ねて来てくれたけどそれどころじゃない!
「俺!俺!女!?女なの!?」
俺、多分相当取り乱してたんだと思う。
女の子達は次々と言葉を濁して居なくなってしまった。
ただ1人、濡れてる子を残して……。
濡れている子は俺に手鏡を渡してくれたのまでは覚えてる。
鏡には割と俺好みの女の子が映って居るのを確認したのが俺の割と新しい最後の記憶だ。
きっと使い方は間違えてるけど、いいたい。
3度目の正直。
俺は女の子になっていた。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
オッサン令嬢。
35ってオッサンか?とおもいながらも楽しく書いて行けたらと思ってます。
評価ぜひください!
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あと、もしだったら
他にもうちの子(作品)有りますんで読んで頂けたら幸いです。