デート
何度かあっちゃんに次の休みの日にさあと言いかけたが、あまりいい予感はしなかったので適当に発言を濁して終わってしまった。そしてそのまま結局シンとのデートの件は言えずじまいで待ち合わせの日を迎えてしまった。
「おまたせー。って!レノア!そのかっこなに?それで変装してきたつもり?超ダサいんだけど。」
待ち合わせの時間に待ち合わせの場所にやってきたレースがふんだんについた黒いドレス…いわゆるゴスロリ系のドレスを着てきたシンにものすごく馬鹿にされてしまった。
男のカッコなんてTシャツにパンツ。こんなもんだろ?髪の毛はさすがに隠せないから後ろで簡単に結んでキャップの中に丸めて隠しただけのカッコのレノアを呆れたようにシンは見つめた。
「それにレノア、その恰好していると男っていうより、背が低いから男の子ね。」
「…うるさいわね。っていうかシンこそ何よその恰好。」
似合っている。確実にシンは似合っている。むしろめちゃめちゃかわいい。でも悔しいのでそこは言わない。なんたって素直じゃないのが悪役令嬢だからね。
「私は似合っているからいいのよ。でもレノアのそのかっこは無いわ。貴方転生する前ってものすごくダサい男だったのかもね。」
「うるせえ。」
転生前は1人で生計立てていくのに必死でTシャツ、ズボンを古着屋で何着か買ったのを着まわしていただけなのでおしゃれとは確かに程遠い暮らしをしていたのは事実だけれど…。それでも彼女ができていたのだから大丈夫だったはず。
長くは続かなかったけれど…。
ふと過去を思い出ししかめっ面をしていると、シンに手を取られ引っ張られた。
「まあ、なんにせよ。私と一緒に歩くのだからそれなりに雰囲気だけでもせめてイケメンになってよね。あんた顔はまあいい方なのだから。」
そしてなぜかシン御用達の洋服店で洋服をそろえられた。そしてなぜかシンが支払いを済ませてくれた。シン曰くいくら前世が男でも今世が女なら支払わせないがモットーらしい。
ゴスロリ服が似合う何処からどう見ても女の子なシンに言われても…。
でも、シンが選んでくれた男服は中々おしゃれだった。その服に着替えて店を出るとシンはすごく満足な顔をしていた。
「背が低くても顔がいければやっぱりいいものね。貴方なかなかかっこいいじゃない。」
「それはどうも。」
今男としての顔を褒められてもなんか複雑…。
「それより、破滅エンドについて知りたいのだけど。」
「あら、あなたせっかちね。なんでこんなにおしゃれしていると思っているの?とりあえず、着替えたから行くわよ!話はそこからよ。」
再びシンにレノアは手を取られ移動する事になった。
(というか、なんかシンって話し方まで女の子っぽくなってない?)
そうしてシンにレノアは一件の小さなバーに連れていかれた。
「ここは?」
中に入ればそこは薄暗く、店の端には大きなステージがおいてあり、ステージから少し離れたところに観客席として何個かのテーブルが設けられていた。そこにはすでに大勢の人だかりができていた。
「ようこそ!僕らのライブ会場へ。今日はレノアには特別な席で見せてあげる。」
(ライブ?)
シンに連れられて訳が分からないままレノアはシンに連れられた席に座らされると、シンはそのままレノアを残し何処かへ行ってしまった。
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