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馬車の中

 通学用の小さな馬車では二人は並んで乗る形になる。レノから伝わる体温のぬくもりと馬車の心地よい揺れでレノアはあっという間に眠りの世界へ旅立った。


 当然二人は並んで座っている為眠りによって船をこいでいたレノアは馬車ががたんと揺れた時にポスンとレノの肩に頭を預ける形になった。


 (…やばい。リスが…超かわいい。)


 その時再び馬車はがたんと石に躓いて大きく揺れてしまった。慌ててレノはレノアが起きてしまっていないかチラリと視線をレノアに向ければ、よっぽど疲れていたのかレノアの眠りは深く起きてはいないようだったため内心ほっとした。

 もう少し。このままリスに寄り添っていて欲しい。

 レノがレノアの髪に手を伸ばし柔らかく触り心地の良い髪をレノの指先にからめとる。そして従者には見えないようにそっとレノアの髪に口づけた。

 この壊れそうな少女がこんな風に隣に座らせてくれ、なおかつ自分の方に頭をのせてくれる日が来るなんて思ってもいなかった。

 平民と侯爵家令嬢。

 本当はシュワルツ第一王子のような確固たる身分のものと一緒になる方がリスも幸せになれるだろう。だけど、どういう風の吹き回しか、リスはトイレで倒れてから第一王子との婚約の約束を早急に破棄するだけでなく、恋敵であっただろうアノード嬢とも仲良くしていた。それどころか、人が変わったように時折言葉遣いは乱れ、果ては自分の事を「俺」と言い出す。

 一体何があったのか聞きたいけれど、その変化のおかげで今は一緒にこうして馬車に乗る事が許されているので、下手に聞いてまた再び一緒の馬車になど乗りたくないと駄々をこねられても困ってしまうので聞くに聞けない。

 もしかしたらまたあの日のようにリスが一生懸命話しかけてくれる日が来るかもしれない。

そこまで思ってレノは頭を振って考えを打ち消した。


(さすがに身分が違いすぎる。) 


 欲を出してしまえばきりがない。万万が一思いが通じる日が来たとしても、いくら何でもあの優しい当主ですらそれは許さないだろう。


 本当はリスを檻に閉じ込めて誰の目にも触れさせず、ずっと自分のそばにおいておけるように幽閉していたいくらいなのに。

 あの時のお菓子のようにヘマをしてしまったらまたリスが離れてしまう。この間ペンをもらった時だってそうだ。嬉しすぎてにやけてしまったらリスに貴方に全く関わらないからと言われてしまったではないか。それだけは本当に勘弁してほしい。

 ガタン。

 再び馬車が大きく揺れるとレノアの頭はするりとレノの肩から落ち、レノがレノアに膝枕しているような形で落ち着いた。レノアはまだ夢の中だ。

「!!」


 やっぱり俺近々死んでしまうのではないか。

 レノは必至で膝の上で寝息を立てているレノアから理性を守ろうと意識を違う方にむけた。


 そういえば、デコピンは軽くすればリスは今日笑ってくれたな。今ひそかに鞭の練習をしているがいつかリスに見せたらまた今日のように微笑みを向けてくれるかな。練習頑張ろう。

 理性を守り抜くために馬車の中でひたすらレノは斜め上な考えを推し進めていた。


ここまでお読みくださりありがとうございます。


今日はこの辺で力尽きました……。

また明日からゆっくり頑張ります!


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