鬼畜の運営
「いい!はるたん!私も良くは知らないけど、追加更新アプリは攻略が激ムズらしいのよ!」
先生の所に向かう廊下であっちゃんは息巻いていた。
「まず、悪役令嬢レノアのはバッドエンドを回避するためにもがくって言ったでしょ?でも第1関門で開き直るって選択肢も有るのよ。」
「開き直るって……?」
「つまり、悪役令嬢のまま物語を進めるって事。そのまま行けばもがくも何もなく本編ルートと合流してヒロインの好感度の高いキャラのレノアバッドエンドを迎えるの。」
「えっ……それって要するに絶対俺は……レノアは悪役令嬢道を突っ走っちゃ行けないってことだよね?」
「その通り!だから無理やりどのプレーヤーもレノア改心の方向にむかうでしょ?で、今度はレノアの悪役令嬢度によってエンドが変わるの。」
「え……ナニソレ。超怖いんだけど。」
「怖くないわよ!はるたんが良い子になればなる程攻略者やはたまたモブキャラやら色んな人に溺愛されまくって、はるたんを奪い合って戦争が始まるの!そして勝者に、はるたんは束縛されて屋敷に閉じ込められて幸せにデロデロに甘々で終わりらしいよ。さっきのはきっとその一歩よ!」
「いや!でもそれ!色々間違ってる!それ絶対色々間違ってる!」
そもそも束縛されて屋敷に閉じ込められてる時点で幽閉エンドと変わりなくね?というか、皆に溺愛されて戦争とか物騒だろ。そんなんで何に萌えるの?運営の意図が、益々わからん。
オッチャンそれ全否定。
「えー?このエンド素敵じゃない?はるたんが良い子になれば皆のはるたんになれるんだよ?」
「……ごめんあっちゃん。そこに有る幸せは俺には理解できない。」
俺も年とったな。
もう若者のゲームはわからん。
高校の時ぐらいだったら萌えてたのかな?
でも幽閉された挙げ句デロデロに甘々にされてもなにも楽しくない。だって相手はきっと男だろ?まだ、俺……多分男は受け入れられない。いくら、悪役令嬢レノアだって記憶はあっても……気持ちの整理がつかない。
もちろん俺は女の子だって自覚は有るんだけどね。複雑なお年頃なのよ。
………しかし、嫌な予感せいかーい!俺は自ら幽閉デロデロ甘々に進んでたのか!?
あの2人に対しても次は気をつけよう。
「まぁ、おおざっぱな詳細しか私もわからないんだけどさ。愛され過ぎて戦争。悪役令嬢過ぎてバッドエンド。適度に良い感じのキャラになれればハッピーエンド。あ、そうそう。どのキャラとも全く恋愛なしの友情エンドは噂では全て事故死らしいよ。」
俺が複雑なお年頃に浸って黙ってるとあっちゃんは酷くざっくり追加更新アプリをまとめた。
このゲームの運営はなぜレノアにそこまで鬼になれる?
これは鬼畜のなす技だ。
要するに手を抜きすぎず、力入れすぎず悪役令嬢を保ちつつ必ず誰かと結ばれないと俺に待つのはひたすらバッドエンドのみってことだな!
うん。
万が一事故死で日本人に転生できたらこのゲーム考えたやつに抗議しにいこう。
「ち、な、み、に……。」
なぜかモジモジしながら顔を赤らめてあっちゃんはこちらをチラチラ見てくる。
「女の子同士も行けるって噂も有るんだよ。噂だけど……。間違ってたら事故死だけど。」
(いや、噂に人生かけるのは遠慮させてください。)
さらりと酷いことを言ってモジモジするあっちゃんにどんどん引いてしまうのは年齢関係ないと思う。
「いや……。私そもそも女の子だからね、あっちゃん。」
もう、これ年齢関係ないよね?
この世界がおかしいんだよね?
そんなこんなで、私達は第4の攻略者エリック先生の所にやってきた。
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