フラグ
「あ、あっちゃん……。それ一応この国の王子。」
目覚めた王子にレノアが声をかけるといきなり襲いかかって来てびっくりしたけれど……。
それ以上にあっちゃんがシュワルツに向かって跳び蹴りをかましていた事に驚いた。
(いや……一応王子だよ。この国の最高権力者の息子。ってか、君縦社会で悩んでたんじゃないの?)
色々ツッコミ所がありすぎて精神年齢35才にはもうついて行けてない。
「だって……つい。」
あっちゃんは可愛らしく瞳を潤ませる。
美少女がそれをすると威力大だな。思わず許してしまう。
「まぁ……ごほん。次やらないように。」
「はいっ!はるたんがするなって言えば私、我慢するね!」
「………。それより、追加更新アプリについて教えて。」
「あ、それがね。私、それ実際にプレイしてないの。その前に転生しちゃったから。でも、事前告知とネタバレサイトは簡単にだけど見てたよ。」
王子が起きると面倒臭いので2人は別の場所に行こうと教室を出ればそこにはレノと3人目の攻略者短髪の赤髪レイド・モーンがたっていた。レイドとのバッドエンドは投獄後病死。
レイドはレノと同じくらい背が高く、瞳も燃えるような赤。その瞳に見つめられたものは燃えるようにレイドに恋に落ちてしまうらしい。イケメンなレノと並ぶとそこだけ光り輝いてみえる。
因みにレイドは実はレノアとレノと4歳の頃からの顔なじみだった。
何たって同じ爵位の侯爵家。攻略対象者の中でもっともレノアと仲良くしてくれる存在だ。
性格は無口でクール。だけど内心は情に厚く正義感も強い。だからこそはっちゃけパラダイス☆でレイドレートでレノアの暴走を許すことが出来ないレイドは断罪イベント後容赦なくレノアを投獄してしまうのだ。
因みにレノアがレイドルートを邪魔する理由は仲良くしていた幼なじみを子爵令嬢如きに取られることが許せなかったから。
「レノア様とアノード様。授業をサボりましたね。先生がお呼びです。1限目は生物学でしたのでエリック先生の所に行ってください。」
レイドが淡々と告げる。
怒ってるレイドはレノアを様づけで呼ぶ。
だけど、そんなことよりも………。
えっ……それって4人目の攻略対象者。思わずあっちゃんと顔を合わせてしまう。
エリック先生ははっちゃけパラダイス☆の設定だと来年の参加になるはず。出て来るには早すぎる。
「それに、レノア様。侯爵令嬢の貴方がサボると下の階級の者に示しがつきません。以後ご自分の立場を考えて行動ください。」
「うん。わかった。ごめんなさいレイド。もうしない。」
そう言ってちゃんと謝ればレイドは大抵は許してくれる。約束。と呟くとレイドはレノアの頭を優しくなでる。
「そういえばレノアしばらく休んでたけど具合大丈夫か?」
「うん。もう大丈夫。ありがとうレイド。」
「そう。」
レイドは再びレノアの頭をなでる。
昔からレイドは基本的にレノアに優しい。正義感からちゃんと怒るところは怒るが何時も最後は優しく頭をなでてくれる。
そんなレイドの手をレノが抑え、払うとレノは何も言わずレノアにデコピンをしてきた。
「いった!」
「……心配した。」
デコピンが心なしか昨日より痛くて下を俯いて額を抑えていたらレノがしゃべった。
(心配?レノが俺を心配?)
思わずレノを見上げればレノは眉間に皺を寄せてはいるものの汚れたものを見る目はしていない。
「え?心配?」
「……授業居なかったから。」
(あ、気付いてたんだ。)
「うん。レノもごめんね。」
ちゃんとレノにも謝れば、隣でレイドが驚いた顔をしている。
「別に……。ペン。ありがとうございました。」
そう言ってレノからシルバーの小鳥のブローチを渡された。
そしてなぜか再びデコピン。
でも、さっきより痛くない。
額を抑えながら俺は満面の笑みでレノにお礼を言った。
この展開ってレノが俺に歩み寄ってきてくれてるってことだよな!
ビバ!バッドエンド回避!
「……。はるたん、先生の所に行こう。」
「あ、そうね。じゃあねレノ、レイド。」
あっちゃんに引っ張られレノとレイドに別れを告げてその場を去ると2人から少し離れた所であっちゃんに睨まれた。
「はるちゃん。今、絶対フラグたったよ。きっとこれやばいよ。」
(え?なぜ?何フラグ?)
訳がわからない。そんな顔をしていたらあっちゃんが苦笑いしていた。
「だってはるたん。プレゼントとか、デコピンとか頭ポンポンとか萌えすぎでしょ!私にやけちゃったよ!萌えフラグよ萌え!あれ絶対好感度あげたよ!」
(好感度あがるって事は良いことだよな?)
なのに嫌な予感しかしないのはなぜでしょう?
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