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「クリアー!」




「おおおおおおお!」

「クリアー!」

「やったね!」

 ボスステージから吐き出された途端に、ジロチョーが盾を持った手を振り上げて歓喜した。すき焼きさんと私は飛び跳ねながら抱き合って、喜んだ。

「すげえ。早かった! 勝った!」

「うんうん。みんな強かったよね!」

 興奮しすぎてコミュ障が消し飛んでいるらしいすき焼きさんに、全力で私は同意する。

 白百合ギルドの時は、10分が経過してもこれから本番だって感じだった。

 でも、さっきのは明らかに違う。どちらかと言えば、ジンギスカン協会な人たちよりな気がしたよ!

「本当に早かったわね。火力があるパーティだろうと思っていたけれど、さすがにこれは予想外よ」

 と、これはえみりー☆さん。

 むふふ。ほめられたですよ!

 ぜひともお礼を言わねば。

「えみりー☆さん、雲海さん、ぶっちゃさんお手伝いしてくれてありがとう!」

「良いのよ~。私も楽しいし。はっ、ノームが抱き合っている……これは、シャッターチャンス!」

 えみりー☆さんは、何かが乗り移ったかのようにぬぬぬぬっと言葉では言い表しにくい、何とも言えない微妙に気持ち悪くて奇妙な動きをし始めた。どうやら、自主的に記念撮影を始めたらしい。

 ……えっと、うん。えみりー☆さんは、しばらく触らずにそっとしとこうかな……。

「カロン、ドロップアイテムは確認したか? 初回クリア時は、貢献度とは別枠でドロップ補正があるから、なんかゲットしてるかも。暁姫は、装飾品を落とすはずだ」

「あ、ぶっちゃさん……えーと。ちょっと待ってね。見てみる」

 確かに何かドロップしていたっけな。

 いつも手元には何も来ないから、気にしてもなかったよ。


 ワールドピース

 暁のブローチ


「ワールドピース?」

 はて? 何ぞこれと首を傾げていると、ぶっちゃさんが教えてくれた。

「ワールドピースは、使徒表示のあるボスモンスターの初回撃破時に入手できるワールドストーリーのキーアイテムだな」

 このワールドピースには、ボス攻略によるエリア開放とワールドマップに加えてストーリーが添付されているのだそうだ。

 試しにワールドマップを確認してみると、ダンジョン方向の近隣地図が見えるようになっていて、ミニチュア暁姫がかわいらしく手を振っている。暁姫の横には?マークがあって、クリックするとウインドウがぱぱぱっと開いて覚えのあるストーリーが記載されていた。

「おお、地図ができている!」

「良かったな。それで、もっと他には……装飾品はドロップしてないのか? 初クリアだと、ドロップの優先率が上がるはずなんだが……」

「あったよー」

 私は地図を閉じて、再びイベントリを確認する。


 暁のブローチ 物理防御力+30 魔法防御力+5 確率で体力が10%回復


 ほほう、これか。

 正直よくわかってないけど、私の目にはなかなかに良いお品に見えますぞ!?

「暁のブローチ、だって」

「お、当たりだ。おめでと」

「ありがとうです? でもこれ、本当に私が貰っても良いのかな」

 なんたって、カロンくんこのパーティで一番役に立ってないからね。

 首を傾げていると、笑顔全開この世の春って顔をしたジロチョーが答えてくれた。

 いや、何ていうかだらしない顔になっていてさ……こう、本当に嬉しいんだなって、ね……。

「坊主よ、そこは最初におれが『ドロップアイテムは、恨みっこなしの自動振り分け勝負』つって全員から言質取ってあるから、気にしなくて良いぞ。おれは普段から野良をメインで遊んでいるから、こういうので揉めて遊びに水を差されるのが嫌なの。だから、なるべく初めに言質を取るようにしてるのよ」

「ああ、そういえば……用意周到なことで」

 そこまでするとは、ジロチョーの過去に何があったんだか。

 ジロチョーは、どちらかと言えばさっぱりとした大雑把な性格をしている。そんなジロチョーがこんなことをするまでになるには、さぞかし色々な事件があったのだろうと推察せずにはいられない。

 気になるから、機会があればまた聞いてみることにしよう。

 ……てことで、まあ? この『暁のブローチ』はカロンくんの物ってことで良いんだねっ!

 私は浮かれた気分になって、久しぶりに右手振り上げ&左足ステップでカロンくんの華麗なるモーション芸を披露する。

「きゃあ! カロンさん、もう一回! もう一回お願い!」

 えみりー☆さんから黄色い悲鳴が上がったから、熱いリクエストに応える。

 これぞエンターテイナーなんだぜ。

「ところで、皆さんにご相談なんですが」

 あらたまった物言いでそんなことを言い始めたのは、期待に目をきらっきらさせたジロチョーだった。

「じろさん?」

「これだけ手軽に倒せるなら、あと何回かしませんか? ドロップアイテムは、恨みっこなしの自動振り分け勝負、誰かが死ぬか終わりたくなったらそこまでってことで」

 そんなわけで、追加でさらに三回することになったのでありました。

 四回目にして言い出しっぺのジロチョーが死んで終わったのは、ご愛嬌ってことで。




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