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たったったっ♪




 冒険を始めようとした矢先に、私は重要なことに気が付いちゃいました。

 これ、何をしたら良いんだろう!?

 よく考えなくても、VRMMOなんて初めてなんだよね。そもそもVRがまだ存在していなかった頃のMMOですら未プレイだった私なわけだし……。

 はっはーん。ど素人いきなり詰んだね。

 ダメダメすぎて逆に楽しくなってきた私は、適当にステップを踏んだ。


 たったった♪

 たたた♪


 いやこれ、ほんとにすごいよね。

 適当なのに、ステップがそれっぽくなるし。

 調子に乗って、何回も回ったり飛んで跳ねてを繰り返してみたりなんかする。

 そうしたら、なんとなくモーションの傾向がわかってきた。

 右手を上げたら首を傾げてあざといターン。

 左手を下げたらバックステップハイキック(ただし足が短……)。

 左足でステップを踏んだらバク転。

 ――て、恐いわ!

 視界がぐるんでなったよ、ぐるんて。

 踊り子への道はなんて厳しいんだ!

 でも、私は負けない!!

 これぞ炎のダンス! 情熱の高速ステップ!

 モーションのきっかけになる動作の判定がかなり厳しいところだけれど、やってできないこともない。

 ふんふん言いながら、ステップジャンプの練習を繰り返したものでして。

 だからね、やる気を出しすぎた私はそれが街中の道の真ん中だってことを完全に忘れていたのですよ。ゲームだからって、他人の目があるのも忘れてたんだよね。

 突然ちゃりん、て小銭の音がした。

 続いてちゃりちゃり続いて、ぱちぱちって拍手の音がした。

 気が付いたら私の周りが人だらけで、しかも金色やら銀色やらのきらきらしたコインが私の方に投げつけられてて、ひゅんってコインがどっかに消えてくのを見たんだよ。

 慌てて視界の隅っこの表示を見てみれば、しっかりと所持金が増えている。

 所持金100Gが、いつの間にやら1350Gになっている。

 え、こわっ。

「何事ですかー!?」

 思わず叫んじゃったわ。

「何事って、露天スポットの大通りでそのコメントだし大道芸なんだろう?」

「えっ?」

 見物客の一人に指摘されて、そこで私がそういえばと思い出したのが、『お小遣いちょーだい!』コメントだった。

 いやだってさ、適当ステップで所持金が13倍になるとか思わないじゃん。

「え、て。おもしろい坊主だな。よっし、せっかくだから追加でお布施をやろう」

 厳つい皮装を着た戦士っぽいそのヒューマンは、そう言って金色のコインを投げてきて――私の所持金が2250Gになった。だけじゃなくて、他の人からも絶え間なくちゃりんちゃりんしてるし?

「おおおおおおお!」

 興奮して叫んだならば、ぴこーんてシステム音。


『ジロチョーからフレンド申請されました。登録しますか?』

 はい いいえ


 よくわかってないけど、もちろん答は「はい」だ!

「お? これからよろしくな、カロンの坊主。またなー」

「こちらこそ!?」

 軽い挨拶を交わすと、満足したらしいジロチョーが去って行く。

 それが合図になったのか、私のふところをほくほくにしてくれた人たちが解散して、各々に散って行く。

 人垣がなくなって、ぽつんと取り残されるカロンくん。

「あー、確かにここだと大道芸人だって思われるのも仕方がないのか」

 見れば、道脇のそこここで個人出店された露天商であふれている。

 NPCもいれば、プレイヤーもいた。

 いかにも賑やかな街中って雰囲気だった。

「ところで、フレンドって何だろねー。直訳すると……友達?」

 さすがにもう『お小遣いちょーだい!』コメントを出し続けとくのは違うだろうと、吹き出しコメントを畳むことにする。

 所持金は驚異の5400Gになっていた。





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