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さて、反省会だ




「さて、反省会だ。すき焼きさん、坊主。意見はあるか?」

 パーティ限定会話仕様にしてノリノリでそう言ったのは、パーティリーダーのジロチョーだった。

 でもさ、人見知りするすき焼きさんだと話が……て、おや?

「強すぎる!」

 おお、普通にしゃべったぞ。何があったんだ……て、そういえば白百合パーティの時も最後は普通に仕切ってたんだっけ。

 すき焼きさんの人見知りスイッチポイントはどこなんだろうな……謎だわ。

 それと、意見……意見、ねえ? 気が付いたことといえばあれだろうなってことで、私も言ってみることにする。

「暁姫の体力ゲージが半分になるのがすごく早かったような?」

 うん、これだろうな。

 白百合パーティの時のことは、暇過ぎてつらかったからよく覚えている。確か、武器の乱舞になった時点でボスステージの残り時間が20分になっていたはずだ。ボスステージの制限時間は30分だから、開始10分が経過していたことになる。今回は、カロンくんのスキル発動時間程度だったから……え、それって暁姫の体力ゲージ半分まで1分くらいで到達したってことなの!?

「確かに早かったな。というか、すき焼きさんの火力がかなり上がってないか?」

「カロン、の、お、かげで……」

 あ、戻った。

 すき焼きさんのスイッチ切れるのがはやっ。

 いつも思うんだけどさ、すき焼きさんの背中に実は起動スイッチか何かが設置されているんじゃないだろうか。

「……その新装備が原因てことか。坊主の新装備といい、性能がおかしいわな」

「お話中で悪いんだけれども、ちょっと良いかしら?」

「あ、はい。えみりー☆さんどうぞ」

 ジロチョーがえみりー☆さんに主導権を譲った。

「私もすき焼きさんと同じ魔法火力職として、すき焼きさんの装備に興味があるのよ。どういう品物なのかを教えてもらえると嬉しいわ。こう言っては何だけれども、まさか私が魔法火力で後れをとるとは思わなかったのよね」

「それは……すき焼きさん?」

「えっ、は……」

 ジロチョーとえみりー☆さんに見詰められたすき焼きさんが、物怖じしたように一歩下がる。

 そりゃそうだよねー、すき焼きさんだものねー。

 待っていても仕方がないから、代わりに私が答えることにする。

「すき焼きさんの魔女っ子衣装は、私が案内した街中の服屋さんのユニーククエストでゲットした物ですよー。しかも、無料!」

「えっ、そのダサいヤツはタダなのか!?」

「ダサい言うなし。フラミンゴ衣装ははちゃんとお金払ってるもん!」

 げしっとジロチョーのつま先を蹴りつけておいた。

 まったく。もう、もう!

「そんなものがあるのね。カロンさん、悪いんだけれど暁姫の攻略が終わったら詳しいところを聞かせてね」

 強くなることに貪欲なえみりー☆さんが言って、フレンド申請が飛んでくる。もちろん承諾して、カロンくんのフレンドリストにまた一人新しい名前が刻み込まれた。

 新しいフレンドをゲットだぜ!

 ……えーと、クリアしたら記念撮影と悪徳商人面のおっちゃんのことを話す、ね。気に止めておかないと忘れそうだなっと。

「他に何か意見はあるか?」

 そして、再び未攻略組の三人で意見交換のお時間に戻りますよ。

 でも、有効性のある意見なんてそう出るものじゃない。浮遊する武器を処理するのに範囲で焼き払えば~だとか、すき焼きさんのスキルに行動遅延効果のデバフがあるから~だとか、意見は出るものの決定打に欠けるものばかりだった。

 にやにやするえみりー☆さんに視線を向けてみれば、「ノームちゃんが戯れているって良いわね」だそうだ。

 そんな中、打開策を見出せずに気落ちする未攻略勢を見かねたようにぶっちゃさんが意見した。

「パーティ全体での火力は、クリア水準を満たしていると思う。だから、定番のやり方をしたらたぶんクリアはできるんじゃないかな」

「あら、ぶっちゃさんは言っちゃう気なのね?」

 すぐに察して茶々を入れたのは、えみりー☆さんだ。

「まあ、そうですね。攻略方法を未攻略組が聞くのが嫌なら、おれの参加は次がラストってことで」

 と、なかなかシビアな提案がぶっちゃさんの口から告げられた。

 まあねえ、ぶっちゃさんだって自分のプライベートな時間を削って付き合ってくれているんだから、これは当然のことなんだよね。

 とはいっても、ここでぶっちゃさんたちお手伝い組に対して時間を奪ってしまって申し訳ないと思うのは、たぶん違う気がする。クリアしてもしなくても私は「一緒に遊んでくれてありがとう」と手伝ってくれた人たちに感謝して、そしてできれば最後はみんなで笑って終わりたい。

 だから、私はジロチョーに問いかけた。

「どうする?」

「おれはもう20回くらい挑戦しているから、正直言ってクリアできるなら何でも良いぞ」

「すき焼きさんはどう思う?」

「こ、」

「……うん?」

「き、」

「あー、うん。わかった。攻略方法をぶっちゃさんから聞くなら手をグーで、聞きたくないなら手をパーで答えてみて?」

 すき焼きさんは、強張った顔のままグーな拳を振り上げて自己主張した。

 よっしゃ、決まり。

 ということでぶっちゃさん、説明をよろしく。





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