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『お小遣いちょーだい!』




 そんなこんなで、ようやくやって来ましたゲームの世界ですよ。

 初めて体験するVRMMOゲームの世界は、なんていうか……前評判通りやっぱりすごかった。

 突然、文字通りに街の真ん中にぽんっ! と放り出されたノームのカロンくん。ノーム特有の小人仕様だけに目線は低くて、カロンくんの目線からは世界のすべてが大きく見えた。

 大人の意識そのままに子供の目線になるだなんて、現実では絶対にありえないことだ。

 なのに、そのありえないことが起こっていることに感動する。

 風が鼻先をくすぐって、カロンくんの薄緑色なマッシュルームヘアを揺らす。

 カロンくんが立ってるのは、異世界じみた街中の一角だ。洋風であってもとこか遊園地のように賑やかにデフォルメされているのが特徴的で、壁には蝶や花のモチーフ、きのこ屋根に丸形扉。どれもこれもがユーモラスに思えて、見ているだけで楽しくなった。

「ふわあ……」

 すっごい!

 何これほぼ現実じゃん、すっごい!!

 感動した私は、手を振り上げた! ら、足が勝手にとととっとリズムを刻んだ。


 とんとんとん、たったった♪

 くるーり、すたっ♪


「………………?」

 は、恥ずかしい。

 えっと、今のは何ですか?

 普段は説明書読まない感覚派な私だけど、急いでウインドウを出してヘルプを確認する。


 踊り子 まさに天性の踊り手。オートモーションプレイが可能で、ロールプレイを楽しみたい方に最適。モーションオフをするには――。


 結論。仕様ならまあいいか。

 私は踊り子項目のヘルプを閉じて、ヘルプ画面をタップしてスクロールする。わりと下の方にあった「コメント」なる項目に注目した。

 いやね、だって道行く人の頭上に漫画みたいな吹き出し(半透明)があるんだよね。あれってたぶん、私と同じプレイヤーキャラクターだよね。どうせなら、私もやってみたいじゃん?


『お小遣いちょーだい!』


 うん、これだな。さすが私。カロンくんにぴったりだ。

 今度こそ私の冒険が始まった……はず、だよね?




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