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やりきった感がすごい




 ゲーム内は、いつ訪れてもすがすがしい昼下がりだ。

 この一週間というもの……私は、がんばった……。

 このゲーム、ただ露天商しているだけでもうっかりすると殺されちゃうからね。死んだらデスペナルティで30分は街に拘束されるのが確定なわけで……まあ、ずっとログインしているだけでデスペナルティが終わるんだけど、さすがにそこまでゲームに現実時間を奪われたくないからね。遊びはほどほどが良いのさ~。

 てことで、デスペナルティに関係なく街ニートなカロンくんから全力で目を背けつつ、心の中で一人ガッツポーズだ。

 幸福の枝が完売したどー!!

 販売促進コメントと露天商を終了して確認すると、所持金はなんと1006700Gだ。いやん、私ってばすごい。やりきった感がすごい。やっちまった感もすごい……げふんげふん。

 まだおやつ代500G×2くらいしか買い物をしてないから、いまいちこの金額の価値がわかってないんだけど、こんだけあればたぶん初期装備くらい揃うよね?

 このゲームは基本どこもオートマッピングになってて、自力で歩いた場所しか地図には表示されない。でもカロンくんの場合は、アヒル船長に乗って流離いの露天商をしていたからか街の地図が完成されていて、あっさりと武器屋に到着できた。

 で、予算内で購入したのがこちら。

 

 木のこん棒 物理攻撃+5 器用+2

 みんな大好きこん棒だ! 人型であれば誰でも装備可能な万能タイプ。


 ………………。

 何ですか、これ?

 ……予算はたっぷりとあったのに……カロンくん、これしか持てないとか……。

 これで所持金は1005700Gだよ……ぜんっぜん減ってねえよ、安すぎよ。欲しいのは武器であって、これじゃないんだよ。

 でも、これがあれば装備は揃ったわけだし……カロンくんの……はっ。まだ防具やら装飾品の枠があるじゃないか!

 よっしゃ、次はその辺を購入ですよ。

 で、到着した先でさらに1000Gで購入したお品がこちら。


 手先の指輪 器用+10

 駆け出し細工師の習作。少しは役立つかもしれない。

 

 ………………。

 防具はどうなったんだって?

 それがさー、あれさー。道化師の服がめっちゃ優秀だったんだよね。

 カロンくんが装備できそうなのって基本的に服系らしくってね、防御力が良くても+7だったんだよ。ついでに言うと、カロンくんが装備できない鉄の鎧や軽装装備系とかでも防御力は物魔+40程度だったわけで。そうなると、道化師の服ってかなりすごいじゃん、てなった。

 ――さって、ここからどうすっかなー……なんてね。すっかり狩り怖い病にかかったカロンくんの中の人は、舞踏士ギルドへゴーゴーだ。踊りの道を極めることにしたよ。

 毎度おなじみなぴよぴよ移動をして、舞踏士ギルドに到着。

 さっそくアラビアンな美女にご登場いただくことにする。

「おっねえさまー!」

「あら、カロンじゃない。いらっしゃい」

 お、早いな。てか、これ初めからカウンターにいたっぽい。

「お姉様、私になんかできそうなことってない?」

「あら、あるわよ。まずは、パーティ検索よ」

「……は?」

 えっと、ダンス的なアレでソレな何かはないのでありましょうか?

「パーティ検索ってあるでしょう?」

「あるっすね……」

 強引っだな。とにかく前へ進ませようという圧力を感じる……。

 仕方がない。視界の右にある「パーティ検索」項目をぽちっとな。

「あ、これがパーティ募集中の一覧なの?」

「そうよ。募集中の職業が表記されているから、踊り子の募集があれば参加すると良いわ」

「……ないっすね……」

「だったら、募集職業が未指定のパーティに潜り込むと良いわね」

「ほっほー」

 このゲームは、最大六人パーティ制だ。見れば確かに未指定もあるんだけどこれ……他四人のレベルが30って……嫌な予感しかしない。

「お姉様」

「なあに、カロン?」

「レベル差がありすぎて、気が引けるでありますよ」

「気にしなければ良いのよ」

「いやいやいや、気にします」

「んもう、見た目通りで気の小さい子ねえ。だったら問い合わせてみれば良いのよ」

「どうすれば良いの?」

「募集を選択すればわかるんじゃないかしら」

「了解であります」

 募集を選択……タップでいいのか。

 募集欄の一番上にあった『アリ狩り』なるパーティを選択すると、参加の横にボイスチャットとチャットの項目が出てる。

 ボイスチャットを、ていやっ。

「へいへい。どなた?」

 お。繋がった。

 やほーい。

「こばはー。カロンです。レベル4の踊り子で参加してもいいですか?」

「4……まあいいか。どうぞ?」

「ありがとうです」

 うっしゃ、参加ぢゃ。

 ……て、あれ? そもそも私は狩りの予定ではなかったような。

 とか原点を振り返っていると、ぴこーんとシステム音が鳴る。

 『アリ狩りパーティに参加しますか?』だって。

 勝手がわからなくてもたついていると、相手側から促しの指示が飛んでくる。

「おーい、パーティに入ってくれないと募集枠が埋まるぞ」

「あ、はい。ありがとうです!」

 てなわけで、カロンくんは『アリ狩り』とやらに行くことになったのである。




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