さあ、冒険の始まりだ!
お気に入りのゲームタイトルが一つあって、私はそれだけをしつこく遊ぶような子供だった。
そのゲームは、有名というほどでもなく、派手にメディアに取り上げられることもなく、かといってほとんどの人が知らないというほどでもなく。
たぶん売れていないんだろうな、マニア向けなんだうなと、子供ながらに察せられる売り出し方をされていた。
そのゲームタイトルが、いつの間にやらオンラインになっていて、VRMMOとしてサービスが開始されていたらしい。
私がその情報をゲットしたのは、ゲームのオンラインサービスが開始されてから三ヶ月ほどが経過した時期だった。
正直なところ、社会人になってから早?年、ゲームって年齢でもないからと悩んだりなんかもした。だけど、好きなものは好きだからと自分に言い訳をしながらネット検索をしまくる自分に気が付いて、悟っちゃったのですよ。
ゲームタイトルは、カオスティック・オンライン。
軽くネット検索をして調べてみると、どうやら難易度はかなり高めらしいけど、好きなタイトル以外はほぼゲームをしないザ・ど素人で隠れオタク女な私でもできなくもなさそうな感じ? しかも、手持ちの機器のスペックでプレイ可能ときたら、遊ばないという選択肢はない。
自分に言い訳をしながらうじうじ悩むくらいなら、いっちょやってみるかってなった。
一度決断すると、そこからの動きはいい歳した大人であるだけに早いものだ。
ゲームパッケージのダウンロード済ませてから登録して、ネットバンクから月額課金を支払って……。
うん? この、VRゴーグルの視界に表示された外部パスワードってなんぞ? えっと、一定時間ごとにパスワードが変化する……ああ、なるほどあれか。んじゃさっそく外部接続してパスワード管理アプリを呼び出して、アカウントを連動して……出た出た、外部パスワードってたぶんこれのことだろ。……ん、オケ。認証が通った。
そんでもって次が、バイオメトリクス認証……要は生体認証ってやつか。しかも網膜と虹彩の両方とか。セキュリティがっちがちですね。VRゲームで複数アカウントは無理って、そりゃそうでしょうよ。オンリーワンすぎる。
それにしても、ゲームパッケージのダウンロードですら時間がかかったというのに、さらにこれとか。プレイするまでのハードルが高いゲームだなあ。
でもま、聞くところによるとVRゲームは全般的にシンクロ率が高く設定されているものであるらしいし、安全のためにもこのくらいしないとダメなんだろうな。
ゲームに意識が閉じ込められてログアウトできません、だと遊びが遊びにならなくなってしまうものね。
そんなこんなで予想外にアカウント登録作業で手間取ってイライラしていると、ようやく視界に「登録完了」の文字がでかでかと表示される。
遊ぶかどうかをあれだけ悩んでいたのが嘘みたいに、わくわくした。
むふふ、てな含み笑いなんかをしながら言っちゃいますよ?
「ログイン!」
さあ、冒険の始まりだ!