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だい にわ!

もう、死んでしまおうと何度思ったことか。

それでもしなかったのは、自分の勇気が足りないからか、それとも、まだ何か死んではならないと思うことがあったからか。

どちらにせよ、それもここまで。

お父さんお母さん、ごめんなさい。

さようなら。













あの神様と会い、様々な情報を聞き、光に包まれると同じく意識も遠のいた。

意識がはっきりしてくると、妙に浮いている感覚を覚える。


「……は?空?」


この世界の基礎知識などはあの神様にある程度貰っている。周りを見ると高層ビルが建ち並んでいる。

こちらの世界の人間は、空を飛ぶ技術などあっただろうか?今私は空を自由落下している。


「ちぃ、なんで新しい世界に来てすぐ、命の危機かな」


悪態をつきながらもすぐに飛行魔法を発動させる。

しかし、速度がつきすぎていて止まるとこはできない。


「水よ、集まれ!」


水を集め、クッションにする。水を操りどうにかこうにか速度を殺すことに成功した。


「この体の持ち主は厄介な趣味をお持ちなのかな」


びしょびしょの制服に身を包んだ、黒髪の少女は、自分の髪の毛をくるくるといじりながらつぶやく。

急に体の力が抜け、崩れ落ちてしまう。

体に別の魂が入り込んだことによる反動なのだろうか。

そのまま意識を失った。













目が覚めるとすぐに白い天井が視界に入ってきた。


「るか!大丈夫なのっ!?」


あぁ、そうだ。

この体の名前は、るかだ。

高尾 るか。14才で中学校2年生。

まぁまぁいろいろとネガティブなことが多く。この度自殺を決行。私、ルシフェリアにより阻止されるって感じかな。


ベットの横には両親が私の体の名前を呼んでいる。

両親いるのに自殺とは何事かと思うが……そこは価値観の違いなのだろう。


「るか、体の調子はどうだい?」

「大丈夫よ」


両親が目を丸くして私を見る。

普通に返事を返しただけだけれど、いつもと様子が違うのかもしれない。やってしまったな。


「るか、なんで自殺なんかしようとしたの!」


おっと、自殺しようとしたことはばれているのね。

そんなこと聞かれてもわからないけれど、さて、どうしたものか。


「母さん、その聞き方は良くないってお医者さんが言っていただろう。るか、心配することは無いよ。体が良くなったら家に帰ろう」


その言葉を聞き、体が震えた。

心の奥の方にまだ るか はいるのか。

この反応は るか の気持ちを表しているのだろう。

……つまりは帰りたくないってこと?

神様に るか の感情についての情報は貰っていないので全くわからない。そもそも人の感情をよんで動こうなんてあまりしてこなかったし……これは難題だな。


「失礼します。るかさん入りますね」


ドアのノックとともに人が入ってくる。

白い服……確かこれは白衣だったかな。を来た女性が入ってきた。


「先生、いつもありがとうございます」

「先生、よろしくお願いします」


そういうと両親は退室して行った。


「るかさん、調子はどうかしら?」


るか の反応的には……なるほど、信用しているのね。


「全くもって問題ないです」


先生の表情が笑顔から驚きにかわる。

持っていたカルテがぎゅっと握りしめられたが……何事だろうか。


「るかさん、今日は何日かしら」


何日とはなんだ。

神様からもらった情報からさがす。

カレンダーをみれば分かるのか。

……カレンダーどこだ!!


「……忘れてしまいました」

「ふふ、そうね、3日も寝ていたから分からないわよね。今日は11月15日よ」


手のひらで踊らされている感じがするが。何がしたいのかいまいちわからない。この人は何をしに来たのだろうか。


「……単刀直入に聞くわ。なんで自殺しようとしたのかしら」

「いや私が聞きたい」

「はい?」


心の声がもれだしたようだ。


「あ、いや、お、覚えてないです」


今思えば、この答えは良くなかったのだろう。

この後しばらく頭に異常がないかの検査の日を入れられてしまったのは、別の話。


「……るかさん、私の名前は?」


神様データーベースにアクセス!

残念わかりません!

しかし、体は勝手に動いた。


「……みき先生……」


るか の体に染み付いていたのだろう、その質問に対してすっと口から出てきた。

それにしても弱々しい声だな。なるほど、みんながハキハキと喋る私を見てビックリするわけだ。


「あーもう、訳分からないわ!」


先生が急にお手上げ状態になる。

うん、私もお手上げだわ。

……まてよ、今後もこんな状態が続くのか……となると、信用しているこの人を味方につけるのがいいのかな。

るか どう思う?


[みき先生は……いい人]


初めて聞えてきた るか の声。わかったよ、そうしよう。


「るかさん貴女……二重人格になってたり……」

「先生お話いいでしょうか」


先生の訳の分からない話が始まる前に、話の主導権を握ろう。


「え、えぇ、いいわよ?」

「実はですね……私、るかではないです」

「……二重人格か……」

「まぁ、似たようなものではないでしょうか。るかが、あなたのことは信用出来ると言うので、全部お話しますね」


別の世界から来て、るかの体に入っているということを丁寧に説明した。


「……まぁ、いいでしょう。それであなたの名前は?目的も教えて欲しいわ」

「私の名前はルシフェリア。前世でかけられた呪いを解いてもらう条件に、るかの人生のお手伝いをするように言われたの」


これは信じてもらえていないように感じるが。

どうしたら信じてもらえるのだろうか。


「なるほどね、いまいち信用出来ないし、二重人格ってことにしたくなるけど……主人格に協力的なのはよくわかったわ」

「どうしたら私が異世界から来た魂という事が証明できますか」

「そうねぇ……」


みき先生は何かいい方法はないかと考える。


「異世界ってことは、魔法とかあるのかしら?」

「ありますよ、ほら」


といいながら、水を集めて宙に浮かせて見せた。


「!?!?!?」

「地味ですよね……あ、そうしたら……時よ止まれ」


世界から音が消える。


「外を見てください、私たち以外の時は止まっていますよ」


みき先生は無言のまま窓の外を見る。外を走る車は不自然に止まっており、人の話声なども何も聞こえない。

時計の秒針も止まっている。


「……な、なるほどね、こんな現象見ることになるとは……信じるしかないわ」

「解除しますね」


軽く指を振り、魔法を解除する。

するとまた人の声や生活音が聞こえてくる。


「みき先生、どう生活していけば、家族に馴染めるでしょうか。話し方も違うようですし、私自身も るか に似せることは不可能です」

「いえ、そのままでいいのよ」


みき先生は何も問題は無いとばかりに説明を始める。


「御両親には二重人格のようなものということで伝えるわ。あなたの人格のことや、目的も伝えましょう。悪いことではないってね。ルシフェリアさんが両親と仲良くなれるまではその設定でいきましょう」

「なるほど。そのあと話すか話さないかは私しだいと」

「そういうことよ。ルシフェリアさん……呼びにくいし、不自然ね」


確かに、日本で思いっきり日本人なのにルシフェリアと呼ばれるのは不自然だろう。


「るーってよんでください。そうすれば、るかともちょうど被りますし」

「わかったわるーちゃん御両親への説明は任せてね」


案外頼りになりそうな先生だ。なんとかなりそうだよ、るか。

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