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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第五章 金と欲望の街カルシナシティ
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おまけ かつが去った後の話

「かつ…………」


私はかつがそのまま走り去って行く姿を、見ている事しかできなかった。


「行ってしまったのう。どうするのじゃ?」

「どうするって助けに行くに決まってるでしょ!」

「まぁまぁ落ち着いてくださいミノルさん。それよりもまず自分が何を言ってしまったのか理解するのが先では?」

「理解するって………」


そう言えばさっきもリドルは私に何か言ってたような。


「お主は天然なのか?それともバカなのか?」

「な!?それじゃあデビちゃんは分かってるの!?」

「ふっふっふ、分かっておるに決まっとるじゃろ。ズバリ!」

「ズバリ?」

「腹が減っていたからじゃ!」

「へ?」


思ってたよりも単純な理由に思わず変な声を出してしまった。


「デビさん」

「何じゃ?」

「ここにコウ馬のチケットがあります。これ以上は何も言いません」

「何じゃ!帰れと言っておるのか!?妾に帰れと言っておるのか!」


相変わらず2人は仲が良くて微笑ましいわ。

でも今はそんな状況じゃないわよね。

私は自分の頬を叩く。


「ごめんリドル。話してるところ申し訳ないんだけどかつが怒った理由を教えて!」


私は真剣な表情でリドルに聞く。

すると、リドルも同様に真剣な表情で口を開く。


「僕からは実際の答えを言うわけにはいきません。ヒントを出しましょう。ミノルさんはかつさんの立場で聞いてください」

「分かったわ」


私は心の中でかつの気持ちにかつの気持ちにと何回も自分に訴えかけた。


「よし!おれはかつだ!準備万端だぜ!」

「そこまでしなくてもいいと思いますが……まあいいでしょう。かつさん、あなたは殺されない為に1億返さなければいけない。さらに期限は明日まで、そんな時1億を手に入るチャンスがあります。そんな時どうしますか」

「手に入れるな絶対!」


私はかつの気持ちになりきり、言い切った。


「その喋り方でいくのか?」

「それを止められたらどうします。しかも仲間に」

「無視するなー!」


デビちゃんが構って欲しそうにしているが、今は他にやらなければならないことがある。

私は再びかつの気持ちになりきり口に出す。


「それはショックだな。せっかく手に入るチャンスなのにそれをしかも自分が死ぬのを分かってる仲間に止められたら裏切られたと思うな」

「分かってるじゃないですか」

「え?」


突然の事で思わず素の状態に戻る。


「なあ無視するなよー、妾もかまってくれよー」

「あ、ごめんデビちゃんちょっとだけあっち行ってて」

「な!?もうわかった!ふて寝するぞ!」


自分で言っちゃうんだ。


「そんな事よりもリドル分かってるってどういうこと?」

「今のミノルさんが演じたかつさんは本当のかつさんの気持ちと同じなんです」

「え?ちょっと待ってね。てことは私はかつに死ねって言ったってこと!?」

「まあそんなところですね」


その事実を知って私は今さら事の重大さを思い知る。


「こうしちゃいられない!みんな!すぐに助けに行きましょう!」

「いや、その前にまずかつさんが向かった場所がどこか見つけない事には追いかけるのは無理だと思いますよ」

「その紙がここにあるぞ……」


ふて寝しながらデビちゃんは紙をヒラヒラとさせる。


「それならそうと早く行ってよ。デビちゃんそれ貸して………」


私がその紙を取ろうとすると、取られないように手を動かす。


「デビちゃんありがとう」


またしても私の手から逃げる。


「………デビちゃん!ありがとう!!」


飛び込んで取ろうとしたがそれもするりとかわされる。


「………何が望み」

「別に望みなどない。しいて言うならば妾を敬えということじゃ」

「分かったわ。さっき無視して怒ってるんでしょ。ごめんね、もう無視しないから。だから、ね?」

「別に妾は無視されて怒ってるわけじゃいぞ!でもしょうがないから許してやる」


素直じゃないけどそこもデビちゃんは可愛いわね。


「それじゃあ早速向かいますか。今頃かつさんは敵の拠点に着いてると思うので」

「そうね急ぎましょう」


するとデビちゃんが何か思いついたようにみんなを呼び止める。


「待て待て普通に登場してもつまらないじゃろ。ここはカッコいい登場をしようではないか」

「それじゃあこういうのはどう?かつがピンチの時颯爽と登場してピンチを救いかっこいい台詞を言う!」

「それはいいのう!ではこう言うのはどうじゃ……」

「楽しそうですね」


リドルは他人事かのように私達の会話を見守る。


「あ、お主は紛うことなきうざ男と言えよ」

「はい?え、ちょっと待って下さい、今なんと言いました?」


この後早めに到着したのにも関わらずかつがピンチになるまで見ていたのは言うまでもない。



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