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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第五章 金と欲望の街カルシナシティ
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その十七 命の前夜

「おーい帰ってきたぞ!」


俺はポケットに割引券と手に解毒のポーションを入れた紙袋を持って帰ってきた。


「あ!かつが帰ってきたぞ!しかも何かポケットにいかがわしいチケットが入っておるぞ!」

「かつさん本当ですか!?そのチケットを詳しく見せてください!」

「何かつ?私が怪我している時にそんなことしてたんだ……」


リドルとデビは面白がってポケットからはみ出ていたチケットを取ろうとする中、ミノルは俺をゴミでも見るかのような目で見てきた。


「ちげぇよ!これはマキノの店の割引券だ!変な店のとかじゃないから!」

「本当に?」

「本当だ!ほら、見てみろ」


俺は今だに疑っているミノルに割引券を渡した。


「そうですか。なんかつまんないですね」

「何で残念そうな顔をするんだよ」

「そうじゃのつまらんのう。せっかく時間あったんだからボケの1つでも考えておけ、ばかもの」

「何で俺はデビに怒られてんだよ」


ミノルは今だに割引券を見ている。


「本当みたいね。ま、分かってたけどね。かつにそんな度胸ないし」

「な!?別に度胸が無いわけじゃない!ただ俺は紳士なだけだ!!」

「そういうやつが度胸がないのじゃ」


こいつ……!

俺がデビの目に冷気を当てようとするとそれを悟ったのか急に話を変えてきた。


「そ、それよりも!例のポーションは持ってきたのか?」

「え?ああ、持ってきたよ。ほら」


俺はデビに向かって解毒のポーションを投げつける。


「おわあ!いきなり投げつけるでない」

「そんなことよりそれで合ってるのか」

「デビちゃんちょっと見せて。うん、これは解毒ざ――――じゃなくて解毒のポーションのほうがいいかしら。とりあえずこれで準備OKね」


そう言うとミノルは全員分のスカーフを取り出した。


「それじゃあ明日は本番。皆心してかかるように」

「妾にかかればあやつらなんてちょちょいのちょいじゃ」

「そうですね。僕達ならできますよ」


みんなやる気満々だな。

やっぱりレベルが高い分自信もつくのだろうか。

俺はやはり少し不安になってしまう。


「かつどうしたの?何か言いたげな顔ね。明日が本番なんだから言いたい事言っといたほうがいいわよ」

「いや、このままでいいのかなと思って」

「いいじゃろ。作戦は完璧だしのう」

「いや、作戦自体できてないだろ。各々勝手にやってくれって言ってるようなもんだぞ」


実際相手の力も知らずに突っ込もうとしてること自体ありえないことだ。

下手したら死ぬ可能性もあるからな。


「心配するでない。妾は最強そうじゃろ」

「そこは達じゃないんだなお前は」

「なにか変か?」

「いや、もういい。分かった、それで行こう。今日はもう寝たい」


俺はいち早くベットに潜り込んだ。


「それじゃあかつおやすみなさい」

「それでは」

「じゃあな」


ドアが閉じる音がしてあたりは静かになった。


「本当にこれでいいのか。明日は俺の生死が決まる日何だぞ」


そんな言葉を零して俺は眠りについた。


――――――――――――

「いよいよ……明日……」

「ああそうだなツキノ。明日は久しぶりのデートだな。どこに食べに行こうか?」

「違う……はぐらか……さないで……」

「分かってるよ。肉は無しにしといてやる」

「違う……からかわ……ないで……」


そう言ってツキノはムスッとした顔を見せる。

相変わらず面白い反応だ。


「ふぅ……そんなに心配なのか?だったらお前が守ればいいだろ」


先程と変わらない表情で俺を見る。


「何が言いたい。はっきり言え」

「正直……分からない……何で……冷静……なの……?」

「焦る必要が無いからじゃないのか?」


俺の答えに納得いってないのか不満そうな顔をする。


「そんな顔するなよ。からかいたくなるだろ」


俺はツキノの不機嫌そうな顔の頬をつつく


「やめて……それ……嫌い……」

「そうか、頭のほうが良かったか」

「違う……ツキノ……心配……」

「何がだ?心配事なんてないだろ」


そんな事を言ったにもかかわらずツキノは未だに心配そうな顔をしている。

こいつは相変わらずの心配性だな。

俺の話をちゃんと聞いてるのだろうか。


「ブルームーン……取られる……心配じゃないの………?」

「心配ねぇってさっきから言ってるだろ。話を聞け」

「分からない……何でそんなに……平気なの………?」


このままだと一生同じ会話しかし無くなりそうだな。

しょうがない、本心を話すか。


「今回のブルームーン、正直盗まれようが俺には関係ない。どっちでもいいんだ」

「そんなことない……絶対……違う……」

「さっすが俺の付き添いだけはあるな」

「いいから……話して……」


ここで冗談……て、雰囲気って訳じゃないか。


「そうだな……俺はブルームーンをただの観賞用で買っただけだ。この街の宝石はどんなのかと思って買っただけで宝石に固執してるわけじゃない」

「だからって………そんな簡単に……手放そうとは……思わない……」

「ま、普通はそうだろうな。俺だって最初は俺の宝石を狙ってるドリーとか言う奴らを捕まえて色々聞き出した後に魔法協会に引き渡そうとも考えた。でも、そんな時あいつが現れた」

「あいつって……絶対かつ……のこと……?」


俺は想像している人物をピンポイントに当てられ少し驚いている。

こいつがあいつを知ってるってことはどっかで会ったのか。


「知ってたのか?」

「ちょっと……ギャンブルした……」

「また初心者を助けたのか。そういうのほどほどにしろよ。初心者狩って今日を生きてるやつがいるんだから」

「そんなことより………教えて……彼の……こと……」

「俺の話は無視か。まあいいだろう」


こいつにこのことを言ってもお人好しのあいつは絶対に治らないと思うしな。


「あいつは面白いんだよ。しかも面白いあいつが更に面白い状況になってるって聞いたらこれはやるしかないだろう!?」

「何を……?」


俺はニヤリとほくそ笑む。


「嫌がらせに決まってんだろ」

「趣味……悪い……」


予想通りの反応をツキノは見せる。


「新聞を見て思ったよ。また会いたいなって。そしていじめたいなって。だから今回の件を託したんだよ」

「失敗しても……失敗しなくても……どっちでもいいって……そういうこと……」

「そういうことだ。失敗すればあいつは死ぬ。失敗しなければあいつは無事生き残る。そして俺はブルームーンを手元における。どっちに転んでも俺には損はない。最高だろ?」


俺は椅子から立ち上がり窓の外を見た。


「今日は星空がキレイだ。明日はいい天気になるな」

「ツキノ……そういうの……嫌い……」

「お前が嫌いでも俺は好きだ。残念だがあれの主導権は俺にある。勝手な行為は許されないぞ」

「分かってる……」


ツキノの方を見ると少し悔しそうな顔をする。


「お前がそういうやつだから俺のお目付け役になったのかもな」

「どういうこと……?」

「自分で考えろ」


俺は再び空を見上げる。


「明日はいい日になりますように。お互いな」



今回は次回の都合上短くなってしまいすみません。

次回は前編後編に分けてやるので楽しみにしていてください。

ここまで読んで下さりありがとうございました。

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