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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第五章 金と欲望の街カルシナシティ
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その十五 明日の対策

「よし!早速作戦を立てるぞ」


俺達は昨日の反省を踏まえて、事前に作戦を立てることにした。

そのために朝食も踏まえて今料理店に来ていた。


「でも事前に作戦立てたら意味ないんじゃないかしら」

「しょうがないだろ。モンスターも変えられないんだし、策もなしで行ったら昨日みたいなことになるし」


実際昨日は本当に酷かった。

モンスターの急な変形に戸惑ってしまい、皆個人行動になってしまったせいでボロ負けしたし。

緊急停止機能が無かったらやられてたかもしれない。

そう思うとゾッとするな。


「そうですね。もう明日には本番ですしね」

「でも、お互いの連携を強化する為だったらモンスターではなく魔法使いのほうが良かったんじゃないか?」


デビは肉を頬ばりながら正論を言う。


「お前たまに痛いところつくよな」

「普通の事を言ってるだけじゃ」


なんかその言い方ムカつくな。


「まあ確かにそうなんだけど急に魔法使いに喧嘩売るのもね……」

「そうだぞデビ。皆お前みたいに野蛮じゃないんだよ」

「なんじゃその言い方!妾が野蛮みたいじゃないか」


そう言って俺の方に骨だけの元肉を突きつける。


「それじゃあ作戦の話に戻るけど」

「妾を無視するな!!」


そう言って文句は言うがちゃっかり飯は食べてるんだよなあ。


「とりあえずどうする?」

「最初にあのモンスターって序盤は人の形してるよな」

「それは分かんないわ。ああ言う擬態モンスターって相手を騙して捕食したり逃げる為に使うからもう正体がバレてる私達には擬態せずにあの気持ち悪いドロドロの姿で出てくるかもしれないわ」

「うわぁ〜マジかよ。それはキツイな」


ドロドロの状態となるとやっぱりある程度の対策しておかないとまた混乱状態になるな。


「でもミノルが冷静だったらドロドロのやつ凍らせられるんじゃないか」


何回もミノルの氷魔法を見ているからあれくらいのモンスターなら凍らせられると思う。


「まあ冷静になればやれるかも」

「じゃあそれでいいじゃろ。本番でも現れた瞬間凍らせればいいだけだしな」

「そうですね。ミノルさんにやってもらいましょう」


何かミノル任せになってるが本当にいいんだろうか。


「まあそんなに言われたらしょうがないわね。私が1発で凍らせるわよ!」


本当に大丈夫なのだろうか。

不安な気持ちのまま俺はコロシアムに向かった。


―――――――――――

「よし!それじゃあ作戦通りに行くわよ!」

「はい!」

「了解じゃ!」

「お、おおう………」


何で皆こんなやる気に満ちているのだろうか。

ていうかこれを作戦と言えるのだろうか。


「来た!扉が開くわよ」


昨日と同様に鉄格子の奥から例のモンスターが現れた。


「あの姿は……人型?」

「なぜだか分かりませんが人型ですね。まあどっちみち凍らせるので変わらないでしょう」

「そうね。それじゃあ下がってて。一気に凍らせるから」


そう言うとミノルは集中するように目を閉じる。

するとモンスターの頭上と真下に魔法陣が現れた。


「すごいな……魔力をビリビリ感じる」

「こんなもんじゃないですよ。ミノルさんは」


するとミノルを中心に魔力が一気に集まりそしてそれがひんやりと冷たくなっていった。


「行くわよ!凍りなさい!プリズンフリーズ!」


一気に冷気が辺りを多いその冷気がすべてモンスターに集まり凍らせる。

そして巨大な氷の塊がコロシアムの中央に出来た。


「ふふ!いっちょ上がりね!」

「流石ですね。ミノルさん、レベル魔法を使わずにこの威力」

「お主中々やるのう。ま、妾には遠く及ばないが」

「本当に凍ったのか?」


なんかものすごくあっけないような気がする。

昨日のが嘘みたいに。


「かつ何不安になってるのよ。私の得意魔法よ。氷は!そんな簡単に壊れるわけ無いじゃない」

「ま、別にそれならいいんだけど」


ミノルは氷の塊に手をポンと置く。

ん?なんか今一瞬亀裂が見えたような。


「どうしたの?かつ」

「なあ、ミノル……ひび入ってないか」

「そんなわけ……ああ!ホントだ!でもこれくらい――――」


その時そのひびは一気に大きくなり、氷の全面に亀裂が入ったと思った次の瞬間、それが一気に爆発するように弾けた。


「ミノル!危ない!」

「きゃっ―――――!!」


弾けた小さな粒が弾丸の様に高速で飛び散る。


「くそ!やっぱりこうなったか。皆大丈夫か!」

「ええ何とか」

「妾も大丈夫だぞ」


皆現状の安否確認をする一方ひとりだけ返事をしない奴がいた。


「大丈夫かミノル!」

「大丈夫よ。少しかすっただけ―――痛っ!」

「お前これ……大丈夫じゃないだろ!?」


それはかすり傷とは言えないレベルの酷い出血だった。


「そりゃ目の前で受ければそうなるよな。早く止血しないと」


俺は袖を引き千切って出血している部分を強めに結ぶ。


「これは早く病院とか行ったほうがいいな。おい!早く停止ボタンを押してくれ!」


モンスターは飛び散っただけで死んではいない。

だからボタンを押さなきゃ扉が開かない。


「残念じゃがそれは無理みたいじゃぞ!さっきの爆発で飛び散った氷塊の一部が緊急停止ボタンを壊してしまったのじゃ!」

「な!?マジかよ……くそ!どうすれば」


するとリドルが俺の肩を叩く。


「かつさん。落ち着いて下さい。かつさんが焦ってしまったら誰がこの場を収められるんですか」

「リドル……」

「うっ………かつ……」


ここで何もしなきゃ、ミノルは死ぬかもしれない。


「皆動けるか!」

「はい!」

「妾も大丈夫じゃ!」


飛び散ったモンスターは氷を内側から無理やり溶かして爆発したのか。

その証拠にモンスターは体色が赤色に変化している。


「ただの擬態モンスターと思ったら結構色々出来るみたいだな」

「爆発や体温を上げたりもできるので逆に冷やす事も出来そうですね」

「よく分からんモンスターに会ったらとりあえず殺せばいいと父上に教えてもらったぞ」

「お前の父親野蛮だな。でも殺すか……」


凍らせても死ななかったり意外と生命力があるのか。

デビの魔法なら威力がデカイから消滅できるかも知れないな。


「よし!今から俺の言うとおりにしてくれ」

「分かりました。かつさんに任せます」

「しょうがないから手伝ってやろう!」


今飛び散ってるモンスターはほぼ溶けて動ける状態だな。

すると小さくなった液状のモンスターが個々で大きくなり人型のモンスターが大量に現れる。


「な!?嘘だろ!飛び散った訳じゃなく、分裂したっていうのか!?」


いつの間にか1匹のモンスターが10匹くらいに増えた。

しかも大きさは変わらず俺達と同じくらいの身長で分裂すればするほど大きさが変わるわけではないのか。

顔もマネキンみたいに口も目もない不気味な顔も変わってないな。


「結構やばいモンスターですね。下手に攻撃すればまた分裂する可能性がありますよ」

「分かってる。無駄な攻撃はしない。1発で決める」


まずは1ヶ所に集める必要があるな。


「デビ!例の催眠魔法であのモンスター達を集めてくれないか」

「それはいいんじゃが奴らに通じるか分からんぞ。妾の魔法は目に幻影を移すだけで本能のままに動くような奴には通じんかもしれんぞ」

「それでもいいやってくれ」

「分かった」


これでうまく集まってくれればいいが。


「いくぞ!デビルウィスパー!!」


するとさっきまでフラフラと不規則な動きをしていたモンスターが皆一斉に同じ方に向かって行った。


「よし!効いたみたいだな!」

「当然じゃろ!妾の魔法は最強じゃからのう!!」

「さっきまで効くか不安がってたくせによく言うな。ま、でもサンキューな」


とりあえずミノルは安全な所に休ませよう。


「しばらくここにいてくれ」

「ごめんなさい。私」

「なぁに気にすんな。あとは任せろ」


俺はミノルにそう告げて2人の元に戻った。


「皆様子はどうだ?」

「順調じゃぞ。みんな中心に集まっておる。でもやっぱり少しだけばらけが出てるかもしれんな」

「じゃあ早めに終わらせるか。リドル風を頼む。出来るだけひとまとめにしてくれると有り難いな」


そうすれば威力をバラけさせることなく、満遍なく行き届けることができるな。


「分かりました。それでは邪魔にならない程度にヒューストーム!」


小さな竜巻がちょうどよくモンスターを真ん中に集める。


「よし!デビ!最後に決めちゃってくれ」

「ふっふ〜んかつ分かっておるのう。そう!最後を決めるのは妾だということが!行くぞ!デビルオンインパクト!!」


空から轟音と共に黒い稲妻がモンスターに向かって降り注ぐ。


「うお!?相変わらずすごい威力だな」

「そうですねこれなら消滅させられたと思いますよ」


しばらく雷で辺りを煙が包んでいたが徐々にそれも薄れていき姿が見えてきた。


「さぁ〜ってあいつらは消滅してるかな」


俺はモンスターの所に向かい生死を確認した。


「うん、跡形も無いな」


焼け焦げていてとても生きてるとは思えないほどだった。


「よし!討伐完了だな。早くミノルを治してもらはないとな」

「そうですね。ここで死んでもらうわけには行かないですしね」


俺はミノルを背負って扉を開けようとした。


「ん?どうなってんだこれ?」


扉を押しても引いても左にうごかしても右に動かしても上にも下にも動かしてもびくともしない。


「どうしました。かつさん?早くここを出ましょう」

「いや、やってるんだけど扉が開かなくて」


おかしいなモンスターは倒したはずなのに。


「何しておるのじゃ。はよ出さないか。ここは焦げ臭くてかなわん」


すると後ろから何やら気配を感じた。


「ま、まさか……」


俺達は恐る恐る後ろを見た。


「!?……いない。気のせいか」

「お、驚かすでない。何も居ないじゃないか」

「悪かったって、もしかしたら力が足りなかったのかもしれないな。次はもうちょっと力を――――」


扉の方を見ると、マグマの様にグツグツと煮えたぎった赤い皮膚を身にまとったグチャグチャのモンスターが張り付いていた。


「ぎゃゃゃゃゃぁぁああ!!!!」

「うぎゃゃゃゃゃあああ!!!め、めの、めのま、目の前に!いるではないか!!」


俺は反射的に後ろに避けた。

するとそのモンスターは扉から勢い良く跳ねこちらに向かってきた。


「ぎゃぁぁああ!?こっちきたぁぁあああーー!!!デビルオンインパクト!!デビルオンインパクト!!デビルオンインパクト!!」

「ばか!お前もっと狙え!!全部外れてるぞ!」


デビの魔法はモンスターにカスリもせず的外れだ。

そのままモンスターは俺達の所にすごい勢いで突っ込んでくる。


「お、おい!誰か止めろ!こっち来る!」

「僕に任せてください!」


そう言って風の魔法を出すがデビと同じ的はずれ過ぎるくらい的外れだ。


「いやー中々当たんないですね」

「いや、お前わざとだろ!モンスター真っ直ぐ突っ込んできてるだけだぞ!」


そんな事をしているとあっという間に、後もう少しというところまで迫ってきたと思ったら、そのまま上空に跳ねて網みたいにグチャグチャの赤い体を広げて来た。


「ぎゃゃぁぁあああ!!食われるーーー!!」


デビはもう無理だし、リドルは何かやる気出さないしもうヤケクソだ!


「どうにでもなれ!インパクト!!」


その魔法が放たれた瞬間衝撃波で後ろまで吹っ飛びそうになったがミノルを背中に乗せてるのでぎりぎり耐えた。


「ぐおぅ!急にそんな強い魔法を打つでない!危ないじゃろ!?」

「しょうがないだろ!緊急事態なんだったから!」


でもおかげで完全に消滅したみたいだな。


「ドア開いたみたいですよ。これでミノルさんを助けられますね」

「リドルには色々言いたいことがあるがまあこっちの方が先だな」


俺達は急いでコロシアムに出た。


―――――――――――――

休養場


「回復のポーションを飲ませたので大丈夫ですよ。あとはゆっくりしとけば」

「そうですか。ありがとうございました」


俺は医者みたいな人に礼を言ってその場を後にした。


「大丈夫だったみたいですね。ミノルさん」

「ああ、あとは安静をしてればいいって。にしても回復ポーションって便利だな」

「飲めば大抵の傷は治りますからね」


すっかり忘れてた。

ここは異世界だったな。

手術とかじゃなく飲むだけで治るなんてな。


「それよりお主ら手紙が来たぞ」

「手紙?誰からだ」


俺はデビから手紙を受け取り中を見た。


「『この前はうちの店に来ていただきありがとうございます。今回はこの前お伝えした、例の解毒剤のポーションを新しく入荷したので手紙を送らせていただきました。せっかく教えたので来てください。逃げるのは許しませんよ?それでは入店を楽しみにしております。マキノ』あいつからか。そういえば解毒剤入荷したら教えてくれって言ってたんだっけ。よし俺行ってくるからお前らはミノルのことを見ててくれ。起きたら誰もいなかったなんてやだろ?じゃあ任せたぞ」

「了解じゃ。行ってくるが良い」

「終わったら宿に先に帰っといてください」

「分かった。じゃあな」


そう言って俺は別行動をした。



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