その七 腕輪
「えっとね〜〜。確かここらへんにあったはず何だけどな〜〜」
リツはミノルが頼んだ道具がないか棚などを見て探していた。
棚には色々なものが置いてあり、どれも見たことが無いような物だった。
「これは飲み物か?」
その液体はたくさん置かれていて、赤や黄色など様々な色があった。
「なぁミノルこの液体は何だ?」
「ん?ああそれは、飲んだら魔力を回復できるポーションよ」
「へ〜〜、魔力を回復できるのか。じゃあこの黄色は」
「確かそれは魔力を一時的に使えなくして身体能力を上げるだったかしら」
名前を聞いただけだとただのゴミだな。
「それって使えるのか」
「使えるわけ無いでしょ。第一わざわざ魔法を使えなくして身体能力を上げるなんてそんなのモンスターにボコボコにされたいドMぐらいよ」
「なるほど。これはドM専用ポーションか」
多分買うことは一生ないだろうな。
「ミッちゃん、ミッちゃんあったよ〜。これだよね」
手には腕輪のようなものを持っていた。
これが必要な物なのか?
「そうこれこれ、ありがとうリツ。ごめんね無理言わせて」
「そんなこと無いよ〜。レベル1専用魔道具なんて使わないと思って在庫処分しようと思ってたから逆に助かるよ〜」
「それなら良かったけど。これからもちょくちょく買いに来るから」
「うん、分かった〜」
「それじゃあかつ。早速この腕輪付けてみて」
それは今まで倉庫に閉まっていたせいか、所々ホコリが付いている。
腕輪の周りには古代文字のようなものが彫られている。
色はまるで古びた茶色のような色をしていて古代の腕輪みたいな古さを感じる。
ていうかこれいつ作られたやつだ?
なんかあまり付けたくないんだが。
「なあミノルこれ付けなきゃ駄目か」
「魔法を使いたくなきゃ付けなくてもいいけどね」
そんな言い方されると付けるしかないじゃないか。
「何でこれ付けなきゃ魔法が使えないんだ」
「それはリツの方が分かると思うわ」
するとリツはいきなり振られたせいで飲んでたお茶を少し零した。
「う、ううん……私?いいよ〜教えて上げる〜。その腕輪は魔法を抑える効果があるの〜」
そして何事も無かったように説明を始めた。
触れてほしくないんだな。
「それは分かったけど何で魔力を抑える必要があるんだ」
「まだ魔法を覚えたてだと魔法の威力を調節できないから〜魔力が暴走する事があるんだよ〜。それを防ぐ為に魔力を抑えて魔法に慣れてきたら外すの〜」
「なるほど。ようは慣れるまでの補助みたいなもんか」
「そういう事だね〜」
これが外せるようになったら俺もプロ魔法使いってことになるのか。
そう思うと早く魔法を使ってみたいな。
「腕輪のことも分かったことだしそろそろ行くわよ」
「何処に行くんだ?」
「決まってるでしょ。かつの魔法を使いに行くのよ」
「まじ!やっと魔法が使えるのか」
いよいよ実戦かなんかワクワクしてきたな。
「でもその前にクエストを選びに行くわよ」
「クエスト?………クエスト!」
俺は一瞬なんの事かと思ったが、クエストと分かった瞬間更にテンションが上がった。
「そうよ。かつも魔法協会で見たでしょ。掲示板みたいなのを見てた人。あれはクエストを選んでいる人よ」
なるほどあれはクエストを選んでいたのか。
「それじゃあクエストを選びに魔法協会に戻るわよ」
「分かった。リツは来ないのか?」
「私は店があるから行け無いよ〜」
「ああそう言えば、これからやるんだったな。ごめんな邪魔しちゃって」
「大丈夫だよ〜。かつは優しいね〜」
優しい?
そんな事言われたのは初めてだな。
いや、言われる機会がなかったのか。
学校では俺に話しかける物好きなんて居なかったからな。
「かつどうしたの?ぼーっとして」
「いや別に……何でもない」
俺が日本での事を話す機会はあるのだろうか。
今のところ話そうとは思はないけど、いつか話す機会がある時は、ミノルはどう思うのだろうか。
「かつそろそろ行くわよ」
「……ああ」
「じゃあね〜〜」
こうして俺達は魔法を使う為に魔法協会でクエストを選びに行った。