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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第五章 金と欲望の街カルシナシティ
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その十一 魔道具探し

「いやぁーなんか大変そうでしたね」


そう他人事みたいにリドルが言うので少し苛立ちを覚える。


「そういえばお前いたのか。話に入って来ないからすっかり忘れてた」

「僕が入っても仕方ないと思いましてね。その代わりデビのおもりをしていました」


そういえばあの時、1番に騒ぎそうな奴が騒いでなかったな。

リドルが止めてたのか。


「なんじゃ妾がまるでお荷物みたいじゃないか」


その言葉に皆が無言でデビを見つめる。


「な、なんじゃ?その無言は、うそじゃろ?なあ!何とか言うのじゃ!!」


そんなデビの訴えを無言で受ける。


「まあとりあえず、魔道具店に行きましょうか」


そう言って愛想笑いで俺たちに伝える。

もしかして気を使ってるのか。


「ミノル、俺はもう大丈夫だ。いちいちあんなこと真に受けないよ」

「え?でも―――――」

「さあ、行こうぜ!魔道具店まで競争だ!」


そう言って俺は思いっきり走った。


「ちょ―――かつ!待ちなさいよ!」

「なんじゃ!競争か!?ふっふっふっ妾の実力を見せてやろう!」

「かつさん!いきなりはやめてください!」


俺は走り出した瞬間それについていくかのようにみんなも走り出す。

俺のせいで気まずくなるのはゴメンだ。

これは俺だけの問題だしな。


――――――――――――――

ダッシュをしたおかげでだいぶ早く着くことができた。

だが―――――


「はあはあ……デビ……はあ、おまえ……早すぎだろ……」


全力ダッシュのおかげで既に体力の限界を迎えていた。

まあデビが思ってた以上に足が早く俺もムキになって走ったせいでもあるけどな。


「デビちゃんほんとに早いわね……」

「はい……驚きです」


皆も予想以上のデビの速さに驚きを隠せないでいる。


「ま、妾が本気を出せばこんなもんじゃな!」


言い返してやりたいが本当にそうだから何か悔しい。


「とりあえず中に入りましょうか」


息が整ってきたところで俺達は中に入っていった。


「いらっしゃーい!魔道具店にようこそ!」


天真爛漫で元気そうな女の店員が出迎えてくれた。


「ここがカルシナシティの魔道具店か」


そういえばリツの魔道具店以外の店に行った事なかったな。


「今日は何をお探しですか?」


中を見てみると棚の配置や置いてる物もリツの所とは少し違うな。


「今回は毒を無くすスカーフを買いに来たんだけどある?」

「それはもちろんありますよ!えっと……これなんかどうですかね?首に巻いとけば毒を完璧に遮断できますよ。値段はきっかり2000ガルア」


その話を聞いて俺は少し疑問を抱く。


「なあミノル、毒ってどういうことだ?」

「ああ、そういえば言ってなかったわね。ドリー盗賊団は毒の魔法を得意とする魔法使いが多いのよ。だからまず毒の対策をしなきゃいけないのよ」


得意魔法は確か通常よりも魔法の威力が上がるらしい。

それに魔力消費も半分で済むのでかなり連発して使えるということだ。


「なるほどだからその商品を買おうとしてるのか」

「そういうことよ。あ、ごめんなさい。話そらさせちゃって」


ミノルが申し訳なさそうに店員に謝罪する。


「いえいえ全然大丈夫ですよ。ふたりはあれですか」


そう言って店員は小指を出す。


「ち、ちが――――」

「違います!そんなんじゃないです!ねえかつ!」

「え?あ、うん」


そこまで強く否定されると少し悲しい気持ちになるのだが。


「あ〜あそうなんですか。何か仲良さそうだからそうだと思っちゃいました。すみませんね変なこと言っちゃって」


そう言って、店員さんも申し訳なさそうにしている。

なんか複雑な気持ちなんですけど。


「とりあえず話戻しますけどスカーフは何個お買い上げにしますか?」

「4つでお願いします」

「それだったら………」


すると店員さんが色とりどりのスカーフを取り出してきた。


「色はどれにしましょうか?」

「妾は紫じゃ!」


いきなりデビが俺達の間に入り紫のスカーフを手に取る。


「お前いきなり大声出すなよ」

「そんなことより妾は紫で行くぞ」


人の話を聞かないロリっ娘は紫のスカーフを大事そうに抱きかかえる。


「お客さん紫とはお目が高い。それ最近新しく入った色なので人気あるんですよ」

「そうなのか!やはり妾の目に狂いは無かったな」


すると早速デビがスカーフを首に巻く。

あいつまだ買ってないのに。


「それでかつは何にする?」

「え?あっと……黒かな?」


俺はこの中でも1番普通の色を選んだ。


「黒ですか………なんか普通」

「いや、なんでだよ。ていうか店員が口出すなよ」


俺は黒のスカーフを手に取った。

すると見た目はただのスカーフだが触ってみるとなんか不思議なエネルギーを感じる。


「それじゃあ私は………やっぱりこれかしら」


するとミノルは白のスカーフを手に取った。


「やっぱりそれですか!私もそれが1番似合ってると思ってたんですよ!きれいな白い髪とも合うし」

「そう?ありがとう」


白いスカーフがミノルの顔の白さを際立たせてきれいだ。


「それじゃあ最後は僕ですね」


そう言うと風間は迷う事なく緑色のスカーフを手に取った。


「……………」

「あれ?何か言わないんですか」

「え?あ、そうですね。似合ってます!」

「なんか適当にあしらわれた気がしますがまあいいですか」


何か店員さんの様子がおかしい気がする。

風間をずっと見てたような。


「それじゃあこれでお買い上げという事でいいですよね?」

「はい、会計お願いします」


するとミノルがお金を出そうとした時、リドルがそれを止める。


「ここは僕が出します」

「え?でもさっきも払ってもらったし」

「大丈夫ですよ。8000ガルアですよね。はい、ちょうどです」

「あ、はい、ちょうどで、ありがとうございます」


何だ?今日のリドル何か優しいような気がする。


「あの、ちょっとちょっと、そこの地味そうな人」

「なんだお前は俺に喧嘩売ってんのか?」

「そんなことよりちょっと」


そんなことよりって……まあいい話を聞くか。


「どうしたんだ?」

「ちょっとお節介かもしれないですが、緑のスカーフの人なんか怪しいですよ」

「怪しい?リドルが?」


まあ確かにちょっと不思議な雰囲気感じるけど。


「あの人あなた達の仲間なんでしょ?気を付けたほうがいいですよ。もしかしたらやばい人かも。私結構自分で言うのもなんですけど人の見る目あるんですよ」

「本当に自分で言う事じゃないなそれ」

「とりあえず一応忠告しましたよ。あとはご自由にして下さい」


改めてそう言われるとリドルの事を少し疑ってしまう。

いや、そんなことはない。

俺は何を考えてるんだ。


「リドルはそんな人じゃないから大丈夫だよ」

「まあ別にあなた達がいいならいいんですけどね。私には関係ないし」

「たしかにそうだが言い方もうちょっと優しくしろよ」

「私言いたい事はあまり包み隠さないので」


俺達がリドルのことについて話しているとこちらを気にした様子でミノルが近寄って来た。


「何の話してるのかつ?」

「え?いや何でも!それじゃあ俺たちもう行くよ」


今この話を聞かれるのはまずい。

こんなところで信頼関係を崩すのは駄目だ。


「はい、ありがとうございました」

「ところでお主名は何というのだ?」


こいつが名前を聞くなんて珍しいな。


「え?私ですか、私はマキノと言います。また来てくださいね」

「ええ、ここによったときにまた来るわ」

「それ、来ない人の言い方じゃありませんか」


あ、またこいつは蛇足してやがる。


「大丈夫よ。ちゃんと来るから」

「わかってますよ。冗談です。それではまたのご利用をお待ちしております」


そうマキノが深くお辞儀をしたのを見送ったあと俺達は店を出た。


「う〜ん!それじゃあ次行くわよ」

「え?まだ行くのか」


正直疲れたから寝たかったのだが。


「まだ1番欲しいもの買ってないのよ。ほら行くわよ」

「え〜、わかったよ」

「もう一度走るか?」

「ごめん、まじでやめてくれ」


―――――――――――――

「あぁ〜!疲れたー!」

「結局見つかりませんでしたね。例の物」

「そうね……また明日探すしかないわね」


あのあと2、3件回ったが欲しかったものは見つからなかった。


「今日はもう寝ようぜ。俺はつかれた」

「そうね。私も疲れたわ。おやすみなさい」


そう言うとミノルは、ふらつきながらも自分の部屋に帰って行った。


「それじゃあ僕も失礼します」


リドルも同様に部屋に戻る。

すると1人だけ部屋から出ていかないやつがいた。


「お前は自分の部屋に戻らないのか?」

「いや、お主にちょっと聞きたいことがあってのう」

「聞きたいこと?何だよ」


何かこいつと最近一緒になること多い気がするんだけど気のせいか?


「あのなんか絵が付いている紙を見せてくれないか?妾あれ食事中だったから見れてなくて、もう1度見てみたいのじゃ」

「お前はいつでも食事中だろ」

「何じゃその言い方は妾はそんな食いしん坊ではないぞ!何じゃその顔は!そうなの!?みたいな顔をやめろ!」


とりあえずこのままだと話が進まないから、ちょっと記憶を振り返って思い出すか。


「写真が付いた紙………もしかして新聞のことか?」


多分それ以外考えられないのだが。


「名前は知らんが多分それじゃ。それを見せてくれ」

「見せろってお前知らないのか?あれは貴族しか見れないんだぞ。だから俺が持ってるわけ無いだろ」


するとデビが不思議そうに俺を見る。


「それはおかしいのう。お主ら見ておらんかったか?あの妾たちが初めてパーティーを結成した時に」

「結成した時…………」


その瞬間忘れていた記憶が目を覚ますように瞬間的に思い出した。


「そうだ……俺見てたじゃないかあの時」


モンスターの事とか風間の件もあってすっかり忘れてた。


「あれ?でもおかしいぞ。なんで俺は新聞を見れたんだ」


確か風間の話だと新聞は貴族にしか配られないもの。

あの時新聞が合ったとしたらもしかして……


「この中の誰かが貴族なのか………」


それ以外考えられない。

風間が嘘をついてるという可能性もあるが……くそ!!1回気になったらずっと気になってしまう。


「確かめるしかないか」


デビの方を見ると頭にまだ?マークが出ているような顔をしている。

こいつに聞いても時間の無駄だな。


「だったらあいつ等に聞こう」


俺はそう思いすぐに部屋を出た。


「ちょ!かつ!どこいくのじゃ!?妾の質問に答えろ!!」


俺はデビの声を気に留めないでそのままミノルの部屋に向かった。


「ミノル!ちょっといいか!」

「きゃ!かつ!いきなりレディーの部屋に入らないでよ」


なんか怒っているようだが今の俺にはそんなことを気にかけている余裕がない。


「ミノル!新聞!」

「え?新聞?」

「そう新聞!あれ何処で手に入れたんだ!」


興奮状態の俺はミノルに一方的に質問する。


「それってもしかして情報紙のこと?」

「そうだよ!あれって貴族しか手に入れられないんだろ!?」


今の言葉を聞いて全てを察した様な顔をする。


「それ、誰から聞いたの?」

「風間だ」

「そう…………その話は本当よ」


その言葉に俺はつばを飲み込む。


「お前は貴族なのか」


緊迫した雰囲気を感じる。


「かつ………なんか勘違いしてない?」

「へ?勘違い?」


するとミノルが1つため息をした。


「実は私の友達に貴族がいるのよ。その人にクエストを有利にする為にいくつか新聞―――じゃなくて情報紙をもらったのよ」

「そ、そうだったのか」


肩の荷が下りたのか、俺は腰を落とす。


「てっきり俺はお前が貴族だと」

「私が貴族なわけ無いでしょ」

「そ、そうだよな」


少し考えれば分かったことなのに。


「駄目だな俺。少し疑心暗鬼になってるかも知れない」

「そういう時はぐっすり寝ること!ほらもう遅いし寝な。私も眠たいし」

「そうだな。ごめんな急に押しかけてちゃって」

「別に大丈夫よ。でも今度からちゃんとノックしなさいよ」

「ああ、気をつけるよ」


俺は腰を上げドアノブを捻った。


「おやすみミノル」

「おやすみかつ」


そのまま俺は部屋を出た。


「ふぅー………今日はぐっすり眠れそうな気がする」


俺はそのまま部屋に戻ったが部屋には置いてかれたことで、涙目になっていたデビが居たことは言うまでもない。



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