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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
最終章 異世界で最強を目指す物語
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プロローグ ただいま

あの日、見ず知らずの彼女の手を振り切って逃げられていたらどんな人生を歩んでいただろう。

おそらく、変わらない日常が続いていたはずだ。

誰にも興味を示されず、名前のせいで馬鹿にされ、つまらない日常を送る。

でもそれはまだ幸せだったのかもしれない。

人の死に関わらないのなら、それは幸せな日常だったのかも。


「‥‥‥ここは?」


目覚めると日差しが差し込み思わず目を瞑る。

少ししてゆっくりと目を開いて辺りを見渡す。

下はコンクリートで堅く、自分が普通は寝っ転がらない場所で寝ていることに気付いた。

周りに人が居ない事に安堵してすぐに立ち上がり、服に付いた汚れを落とす。

その時、自分が学生服を着て傍らに学生カバンがある事に気付いた。

それならばあれもあそこにあるはずだ。

早速ポケットに手を突っ込んでみると、予想通りスマホが中に入っていた。

久し振りに触るその機体に少し懐かしさを感じながら、手探りでスマホのロックを外す。


「顔認証にしておいてよかった。パスワードだったら忘れてたな」


それから連絡先やメールの履歴を見る。

日付と時間を確認して見ても、俺が異世界に行った時間からあまり進んでいない。

つまりここは俺が何か月も離れた時間ではなく、その日の続きという事か。


「とりあえず、家に行こう」


俺はスマホを仕舞って路地裏を出た。

そこは見知らぬ道、そう言えばここに来たのも普段とは違う道を歩いてみようと思ったからだっけ。

えっと、元の道に戻る為にはどっから行くんだっけ。

日が沈む前に何とか家に着かないと。

かつての記憶を辿りながら何となくで歩いて行く。

すると突如、見たことがあるような道に出た。


「ああ、この店見たことがある気がする。てことはこっちから行けば、家に帰れるかな?」


そして何度か立ち止まりながらもようやく家に着くことが出来た。

やはり懐かしさを感じてしまう。

それに入りずらい。

家出をした訳でもないのに、無断で家に帰っていない様に感じて気まずい。

まあ、実際は時間の感覚が違うから変に気にする必要はないんだけど。

だけどここにずっと突っ立っている訳にもいかない。

この時間帯なら父親が家に居るはずだ。


「おっと、その前に鍵を開けないと」


その事を思い出してカバンの中から鍵を取り出す。

そして鍵穴に差し込むとカチャリという音が聞こえて来た。

そしてゆっくりとドアノブを捻ると、大小様々な靴が並べられた玄関が見えた。

そうだったこの景色、ようやく帰って来たんだな、自分の家に。

中に人が居る気配がする。

父さんだろうな。

俺は靴を脱いで玄関を通り過ぎて居間へと向かう。

そして扉を開けると、そこにはソファーで寝っ転がりながらテレビを見ている父親の姿があった。


「んっかつか。おかえり」

「‥‥‥ただいま」


それは数年ぶりに合ったような懐かしさと家族に会えた安堵感が込み上げ、思わず涙を浮かべそうになった。



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