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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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エピローグ 願い事

「おかえり、絶対かつ君」

「‥‥‥ここは」


意識が吹き飛ぶほどの衝撃が全身を駆け巡ったと思ったら、気が付くとこの場所に立っていた。

俺は死んだのか?


「どうやらまだ意識が朦朧としているようだね。それじゃあ状況把握のためにも状況を説明しようか」


そう言うとアキサさんは机に手を置いた。

するとレーザーなような物がその手をスキャンするように手の甲を通り過ぎていく。

そして無事に終わったのかアキサさんは手をはなすと机の上に映像が流れる。


「君がガイスを殺したことでこの島は真の平和が訪れた。ガルアとラミアがその島を統治するようになり、島民の協力の元復興計画が開始された。魔法を失った彼らはモンスターに対する対抗策を失ったが、事前に君達がモンスターを大量に殺したことで大きな問題にはならなかった。だがそれも少しだけだろうね。モンスターは環境に合わせ進化する。今はその間の待期期間だから。そしてもう一つの問題は外からの来訪者の対応。島が認知されたことで多くの招かれざる客がやって来る。それらに対して島民は明らかに無力、しまいには未知の人種として人攫いも起きている。この状況に苦言を呈したガルアは自らの島を正式な有人島として認めてもらい、法の下守られるようにする為、それを決定する組織に会いに行くために島へと旅立ち」

「ちょっと、待って。一体何の話だよ。島の復興?招かれざる客?ガイスを倒したのはついさっきだろ。何でそんな先の話を今話してるんだよ」


するとアキサさんは映像を消すと一拍置いて口を開いた。


「あの日、君はガイスを倒した」


あの日?

どうして過去形なんだ。


「なあ、正直に教えてくれ。俺が目覚めたのはいつなんだ」

「君が目覚めたのは、ガイスを殺したいおよそ三年後だ」

「っ!三年‥‥‥」


そんなにも経っていたのか。

どうして、何で!

俺はガイスを倒した後、三年も眠っていたのか。


「混乱する気持ちはよく分かる。だが必要な時間だったんだ。君はあの日絶命した。だがそれは仮の体だ。君の魂、その残影は辛うじて私が回収した。だが器失くしてそれを維持するのは不可能だった。だからすぐに元の体にその魂を戻すことに先決した」

「なら、どうして三年もかかるんだよ!」

「絶対かつ君がこの島に来て経験したことが全て元の体に入って行く。それは数年と満たないが、その濃さは数十年の価値がある。全てを一瞬で受け入れさせるには君の脳が持たなかった」

「つまり俺の体が無事に記憶を受け継ぐまでの期間が三年もかかったってことか」

「加えて魂自体もひどく傷ついていた、命を繋ぐための時間も必要だったんだよ」


てっきりすぐに目覚める物だと思っていた。

なのに、三年も経っているのかよ。

三年も時が進んでるのかよ。

皆、どうなったんだ。


「なあ、教えてくれ!皆は、どうなったんだよ。さっき言ってたよな。島が大変なことになってるって。その為にガルアは島を出たって。どうなったんだよ、大丈夫だったのかよ」

「ガルアは、島を出た三日後不慮の事故に合い。そして一週間後、死体となって発見された」

「っ!?」

「そして王を失った島はその行き先を見失い。到来する者と戦争を始め、島外から持ち出された兵器によって皆殺しにされた」

「みな、ごろし‥‥‥?皆殺しって、それってみんなしんだのか?死んだのかよ。あんなに、必死に戦ってそんな、そんな最後って」


守れなかったのか、俺は。

俺は守る事が出来なかったんだ。

ガイスを殺せばすべてが解決すると思っていた。

それなのに結局島は滅んで、皆死んじまったのかよ。


「あそこには未知の技術や生命体が沢山いたからね。それらを全て調査するよりも消してしまった方が早いってことだよ。それに彼らからしたら残したくない場所だろうし」

「え?それってどういう」

「さてと、暗い話はもう終わりにしよっか。おめでとう、絶対かつ君。君は間違いなく島を救った」

「救えてないだろう!皆、死んじまったんだぞ!」

「最初に言った事を覚えているかな。目的を達成した暁に願いを叶えてあげるって」

「そんなの、もう意味が‥‥‥!まさか」

「さあ、君の願いを聞かせてくれ」


俺の願い。

こんな話をいきなり聞かせられて、それで願いを教えてくれって。

そんなのもう決まっている。

それに願いは最初から決めていた。

今更変えるつもりもない。

でもこうなったら変えなければいけない部分がある。


「その願いって言うのは、何でもいいんだよな」

「叶えられる範囲でならね。なるべく答えるようにはする。なんせ君は救世主だからね」

「分かったよ。それじゃあ、俺の願いは——————」


それから俺はアキサさんに俺の願いを告げた。

アキサさんは驚いた様子を見せ、それから少し戸惑いながらも俺の願いに了承してくれた。


「分かったわ。まさかそんな願いをする何て、少し予想外だ」

「決めていた事だ。これが俺の願いだから」

「絶対かつ君がそう決めたのなら私はもう何も言わない。彼女らは寂しい思いをするだろうね」

「かもな、でもいいんだ。始めてくれ」


俺は覚悟を決めてアキサさんにお願いします。

この選択に後悔はしない。

これが俺が決めた事なんだ。


「分かった。目覚めた時、君の願いは叶うだろう。絶対かつ君、改めて感謝するよ。また会おう」


光が体を包み込み、妙な浮遊感が全身を襲った。

会いに行くから、帰って来るからな。

そう思いながら俺の体はその場から消えた。


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