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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第一章 ようこそにゃんこ島へ
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その六 友達

「どこに行くんだ」

「魔道具店よ。そこに私の知り合いがいるから、久しぶりに会おうと思って」


魔道具店、異世界にしかない店の1つと言ってもいいこの店に行けるなんて俺はなんて幸せ者なんだ。


「しばらく会ってなかったのか?」

「………ちょっとね。色々忙しかったから」


ミノルも色々あるのだろう。

俺も早く魔法を使ってミノルと冒険なんかしてみたいな。


「ついでに会うって事は、その店に他の用事があるのか?」

「そうよ。かつがちゃんと魔法を使えるようにするための道具を買いに行くの」

「魔法を使えるようにって……もしかして杖を買いに行くのか」


魔法を使うと言ったら杖を使うのがやっぱり定番だよな。


「そんなわけ無いでしょ。あんなもの持ってたって邪魔になるだけじゃない」


こいつ、魔法使いが言ってはいけないこと言ったぞ。


「そうゆうお前は何で杖持ってんだよ」


初めて会った時から持っていて、魔法を見せてもらった時も使ってた所を見ると、杖は必要なものだろ。


「この杖は特殊な杖なの」

「特殊って何が特殊何だよ」

「そうね、この島をまるごと滅ぼすくらいの魔法を使うのに使う杖かしら」


そんな恐ろしい言葉を笑顔でまるで当たり前のように言い放った。


「……え、冗談だよな」

「さあどうかしら」


これからは杖のことについてあまり聞かないようにしよう。

それよりも気になるのは魔道具店で何を買うかだ。

杖を買わないのは分かったけどだったら何を買うんだ?


「なぁミノル。結局何を買うんだ?」

「それはついてからのお楽しみ」


なんですぐ言わないのだろうか。

まあ着いてから分かるし気長に待つとするか。

それからしばらく歩いたあと目的の場所に着いた。


「ここがミノルの言ってた魔道具店か?」

「そうよ。早速入りましょう」


一見ただのお店だが、よく見ると所々苔や草などが生えていて魔女の家みたいになってしまっている。

掃除とかしていないのだろうか。

屋根の上には看板らしき物もあるが、雨などに打たれたのか文字がほとんど無くなっていてなんて書いてあるのか分からない。

本当にやっているのだろうか。

なんか心配だ。


「ミノル、これって本当にやってるのかよ」

「やってるわよ。リツーー買いに来たわよ!」


ミノルは店の扉を開けると同時に店主らしき人の名前を叫んだ。

お店の中は色々な商品が棚に置かれているが、肝心の店主がいない。


「いないな………もしかしてどっか出かけたのかもな」

「そんなこと無いわよ。かつ、今何時?」

「時計なんか持ってるわけ無いだろ」

「それもそうね。えっと〜〜……あ、あった」


するとミノルはカウンターの所に置いてある時計を見つけ、時間を確認した。


「15時半ね。てことは、まだ店やってない時間帯ね」

「いや、15時半は店やってなきゃ駄目だろ」

「あの子気まぐれだからね。いつもはもっと早いんだけど、なぜか水曜日は起きるのが遅くて16時に店やるのよ」


そんなんで、店続けられるのか。

今もやってるってことは続いてるって事なのだが、店の雰囲気を見るにいつか潰れそうだな。


「多分こっちで寝てると思うわ」


そう言ってミノルはカウンターの横にある扉に入っていった。


「もしかしてここが家なのか?」

「そうよ。元々普通の家を店に改造したの。そっちの方がわざわざお店まで歩かなくていいからって」


扉に入ってすぐ廊下が続いていて右と左に扉が有り、右の扉には寝室と書かれている。


「ここに居るのかしら」


そう言ってミノルは寝室に入って行った。


「女の子の寝室に入るのは不味いよな」


俺は少し部屋の中が気になったので廊下の正面の扉に入って行った。


「ホントにこの店で暮らしてるのか」


中は電気が点いてなくとても暗い。

台所が有り食器などが乱暴に置かれている。

台所の横に冷蔵庫があり、その前にテーブルがある所ここはリビングだろう。

あまり人の部屋を見るのは良くないな。

そう思いミノルの所に戻ろうとすると足元に冷たい感触を感じた。


「何だ?水か?」


水を零したのかと思いなにか拭くものがないか辺りを見渡した。

するとテーブルの横に人の気配を感じた。


「―――――っっっ!」


俺は思わずテーブルから目線を反らし、台所を見た。

人が居たかは確認出来なかったが、人らしきものを見たのは確実だ。

心臓の鼓動が早くなるのが分かる。

もしかして倒れてたのか?

俺は濡れた足を確認すると、赤い液体が付着していた。


「―――――っっっ!!??!?」


やばいやばいやばいやばいやばいやばい。

これってもしかして血か?

いやいやそんな訳がない、これは血じゃないな。

だっていきなりこんな展開になるとかありえないし、これはあれだないちごジャムとかかな。

そうだこれはいちごジャムだ。

頭の中が混乱しすぎてわけわからん解釈をしているがこれが今の俺にとっては1番の結論だった。


「すぅーはーすぅーはー」


俺は軽く深呼吸をして少し落ち着いた。


「よし、おけ、大丈夫だ」


まだ少し手が震えるがさっきよりはマシだ。

これがいちごジャムだとするとあの倒れている人は寝ているだけだな。

俺はそう心に何度も訴えかけ倒れている人を起こそうと近付いた。


「大丈夫ですか――――――」


そこには体中赤い液体まみれの人が倒れていました。

……………ぎ


「ぎゃゃゃああああ!!!」

「どうしたのかつ!!」

「………ひっ………人が………倒れ……」


やばい腰抜けた!


「どうしたの何があったかちゃんと………あれ?リツこんな所で何してるの?」

「………は?リツ?」


俺はミノルの言ってることが理解できず口を開けたままポカーンとしていた。


「そうよ。この子がわたしの友達のリツ。ちょっと何寝てんのよ。こんなところで寝たら風引くわよ」


すると倒れていた人がゆっくりと起き上がった。


「……ふぁぁぁ〜〜、ん………おはよミッちゃん」

「おはよリツ。あんた体中液体まみれよ。何してたの」

「んにゃ……ホントだ。何でだろ」

「知らないわよそんなの。ちょっと待ってこの匂い………これケチャップじゃない」

「そう言えばオムライス食べようとしたらコケて机に頭ぶつけて気絶しちゃったんだった」

「リツはホントにドジね。そうゆうところ直しなさいって言ったでしょう」

「ごめんね〜ミッちゃん」

「別に謝らなくていいわよ。怪我がなくてよかったわ」


これは一体どういうことだ。

状況が全く理解出来無いのだが。

結局俺がトマトケチャップを血と間違えただけであのリツって人は死んでなかったってことだよな。

よかった〜人生初の死体を見てしまったと思った。

ふとミノルが思い出したように俺を見てきた。

もしかして俺が居た事忘れてたのか。


「そう言えば自己紹介がまだだったわね。リツこの人は絶対かつって言うの。かつこの子はリツ」

「えっと……よろしく」

「よろしくね〜」


何かすごいふわふわした人だな。

ドジっ娘なのがよく分かる。


「それでミッちゃんは今日私に会いに来たの〜」

「それもあるけど、今日は違う用事。かつが魔法初めて取得したから魔法力を抑える道具が欲しくて」

「それはいいけど〜。何で、今魔法をおぼえたの?」

「ああ、かつこの島に始めてきたの。何か知らない女の人に連れてかれて来たらしいけど、かなり怪しいよね」

「たしかに怪しいね〜」


何言ってんだミノル。


「それにね。初めてあったとき私胸触られたんだから」

「え〜、すごいエッチだね〜」


やめろよ。


「でしょでしょ。それに――――」

「ちょっとストップ!!」

「何よかつ。いきなり大声出して」

「ちょっと来い!」

「ちょっ!引っ張らないでよ」


俺はミノルを廊下まで引きずり出した。


「それで何?いきなり大声出して」

「そりゃあ大声出すだろ。ミノル自分で言ってただろ。ここの世界に来たことを人に話すなって。何でお前がペラペラ喋っちゃうんだよ」

「大丈夫よ。リツはそうゆうの気にしないし。それに、秘密にしてって言えば誰にも話さないわ」


ミノルはそうなのだろうが俺自身あいつのこと知らないわけだから不安だ。


「本当なんだろうな」

「何?私が信じられないの」

「そうゆう訳じゃ……」

「じゃあ大丈夫でしょう。それに秘密を話し合える人が増えた方がかつもストレス溜まらないでしょう」


う―――確かにと思ってしまった自分がいる。


「分かったよ。でも次からは俺の了承を得てから言えよ」

「はいはい、分かったわよ」


いきなり俺の秘密を喋ったのには驚いたが、俺を思っての事なのだろうか。

……いや、単に話したかっただけだろう。

とりあえずリツって人は俺の秘密を知っているってことになるな。

確かに話し相手が増えるのは良い事だ。

でもやっぱり次からはちゃんと人を選ばなきゃな。

俺は話を終え、リツのもとに戻ってきた。


「あっ、話は終わったの?」

「ああ、ごめんな待たせちゃって」

「全然大丈夫だよ〜。あなたのことは秘密にしとけばいいんでしょ?」

「そうだな。そうしてもらうと助かる」


秘密にしてなんていつ話したっけ?

まあ話の内容的に秘密にしといた方がいいと思ったのか。


「それで、魔力を抑える魔道具だっけ〜?着いてきて、こっちにあるから」


そう言って俺たちはリツの後ろに付いて行き店に戻って来た。





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