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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その百一 絶対勝つ

「くっ!何だ‥‥‥?」


突然視界が変貌したと思ったら、さらに見知らぬ場所へと飛ばされた。

一瞬見えたあの機械は何だったんだ。

いや、この状況を考えると転送装置の様な物だろう。

ここが何処かは知らないが、少なくとも自力で帰れる距離ではなさそうだ。

永久魔力機関が無ければ詰んでいたかもな。


「ようやく来たのか、待ちくたびれたぜ」

「っなるほど、姿を見かけないとこんな所に居たのか。絶対かつ」


目の前にはゼットの実の息子、絶対かつが立ちはだかっていた。

そして奴の手には光り輝く紫色の石。

高密度の魔力があそこには濃縮されている。

規模がデカすぎて魔力解析が上手く使えない。


「ようやく分かったぞ、お前らの計画が。その魔石、いや源魔石か。見なくなったと思ったらそんな所に合ったとわな。その中には島の全てのマナが注がれてるんだろ。どうりで魔法が発動できなかったわけだ」

「お前が俺の敵なんだろ」

「‥‥‥?まさか味方とでも言いたいのか」

「別に思わないな。ここに来た奴を俺は倒す様に言われているから。1つ聞かせてくれ、仲間たちはどうなった」


どうやら作戦は事細かには決められていないようだな。

どちらにしろ、こいつを殺せばすべてが終わる。


「死んだ、と言ったら?」

「あいつらは命を懸けて戦いに挑んだ。俺にはそれを尊重する事しか出来ない。それで行った仲間が居るのなら、俺はそいつらの分までお前を倒すだけだ」

「はははっ色んな奴を相手してきた。分かるか?たかが数か月で魔法を覚えた奴が、俺に本気で勝てるとでも」


絶対かつ、奴の手の内は知っている。

インパクト、それで決着を付けるつもりだろう。

奴が完璧にそれを扱えていればの話だが。

小出しで源魔石の魔力を使った所で脅威ではない。

となると全ての魔力を引き出すのが無難だが、そうすれば奴は耐えきれずに死ぬだろう。

そんな覚悟が、こいつあるか?


「何を見てる。俺の事を馬鹿にしてるのか」

「下に見ているのは確かだ。だが確かに最後に現れたのはお前なのはある意味、運命なのかもしれない」

「運命?気持ちの悪い事を言うな」

「お前、自分が何者か理解はしてるだろ。ゼットの息子、俺とゼットは互いに殺し合った仲だ」

「でっガイスが負けたんだろ」


奴は馬鹿にするように超商議見に言った。

おもわず頭にキタが、冷静さを失うわけにはいかない。

安い挑発には乗らない。


「奴の実力はトップクラスだった。俺はその前に奴の弟子と交戦している。それにあいつのオリジナル魔法は」

「言い訳は聞きたくないな。王の癖に器が小さいみたいだ。そんなに負けたのが悔しいのか」

「奴は逃げた、それが事実だ」

「お前は負けた、それが真実だ」

「口の減らないガキだな。状況は何も好転していない。むしろ、お前は死ぬことになる」

「俺は負けねえ、それが俺の役目だ。源魔石でお前を倒す。その為に皆がここまで繋いでくれた」


絶対かつは力強く源魔石を握りしめる。

やはり源魔石をこいつに託すための時間稼ぎだったか。


「それにお前もかなり無理してるんじゃないのか。体中ボロボロで血が出てるぞ」

「軽く遊んでやったら思った以上に楽しめてな。あと少しで終わらせられたんだが」

「そうやって余裕ぶってるから痛い目を見るんじゃないのか。ゼットの時も今も、負けた時の言い訳作りが得意みたいだな」

「さっきから一体何の真似だ。俺をそんなに怒らせたいのか」

「怒りたいのは俺の方だ。自分は島の王だと言っておきながら、身勝手に街の人達を巻き込み命を奪った。そんな奴が王を名乗るな」

「お前らは何も分かってない。王にとって必要不可欠な物は力だ。力なくして秩序は保たれない。この後、あの島で何が起きるか分かるか?島の姿が露わになった今、すぐにバレるだろうな。島外の連中が調査と評して沢山やってくる。その侵攻に俺達は数で押され、最悪の場合は危険とみなされ島ごと殺されるかもしれない。だからこそ先手を打つ必要がある。一番軍事的な力を持っている島を攻め落とし、それから世界に影響される島を次々と手に入れ俺は世界の王になる。そうすれば島の奴らの安全は保たれる。これが王だ」

「結局はお前が世界を支配したいだけだろう。そんな自分勝手なことに島の奴らを巻き込むな。お前は王にはなれない」


イラつく。

こんなガキに馬鹿にされた程度でイラつくわけがない。

だがなぜだ無性に神経を逆なでされる。

こいつの一言一句聞くだけでは沸々と何かが沸き上がって来る。

この苛立ちは一体何なんだ。


「それにお前だって他の奴らと一緒だったはずだ。お前は確かに強いよ。強いからこそ上に立つべきだと考えたんだろうが、それは違う。本当の強さは別にあるはずだ。分かるだろ、同じ地獄を生き抜いたお前なら、街の人達の気持ちが」

「一緒にするな!」

「っ!」


ちっ思わず声を荒げてしまった。

冷静になれ、心をかき乱すな。

こんな奴に言い様にされるわけにはいかない。


「俺は奴らとは違う。俺は生まれ時から特別だった」

「妄想か?その年で中二病はさすがにやばいぞ」

「何を言っているか分からないが、馬鹿にして居るのは分かるぞ。俺は貴族の人間だ。ある小さな島国のな。将来、俺は父親の家業を継ぐはずだった。あらゆる帝王学を叩きこまれ、民は皆俺に従うはずだった」

「へえ、だがそんな王様がどうしてこんな場所に。ここに来る人達は行き場を失った人達ばかりだろ」


行き場を失ったか‥‥‥


「俺の父親は民に寄り添い、民の願いを聞き、民の為に身を削る馬鹿な程のお人好しだった。父親はいつもこう言っていた」


『私達は民の上に成り立っている。民失くしてこの国はない。だからこそ王は民に感謝し、民に報いなければならない』


「良いお父さんじゃないか。どうしてその想いをお前は引き継がなかった」

「その結果国を追われたとしてもか?」

「え?」

「ある日、一部の民が反旗を翻した。王は民の為に奉仕をしていない。民の金を指摘に使い武器を買って戦争をしようとしていると。何処から出た話か分からない。だが後から聞いた話では何者かが俺達の国を乗っ取ろうと画策していたらしい。そんな事にも気付かず、王は民を信じ続けた。信じ続け、何もしなかった。徐々に王の黒い噂は広がって行き、一部ではなく大半、大半ではなく全ての民がそれを信じた。気付けばもう、味方は居なかった」

「‥‥‥」


そうだ、あの日は本当に地獄だった。

何故か島には大量の武器が隠されていた。

誰かがそれを民に配り、王を打ち倒そうとした。

戦争で自ら死ぬことを恐れ、今までの王の施しも忘れ、殺しに来た。


「信頼してきた民に剣や銃を向けられた。俺達には力が無かった、この反乱を止める力が。そして俺達は国を離れた」

「‥‥‥」

「全ての身分を捨て去り、普通の人として生活をしようとしても、俺は納得が出来なかった。なぜこんな目に合わなければいけないのかと、父親は国を離れた数日後に亡くなった。後を追うように母親も亡くなった。あの日から俺は全てを失った。俺は許せなかった、優しい父親を陥れた奴もそんな噂を信じ今までの恩も忘れて裏切った奴も。だから俺は力を欲した」

「まさか、例の研究所に自分から行ったのか」

「すべてを失った俺が向かう場所も、そう言ったいわくつきの奴が集まるような場所だ。そう言う所は黒い情報が手に入る。人体実験の被験者を探しているとかな」


半信半疑だったが、今の結果を見れば成功と言えるだろう。

おかげで奴らを殺せる力を手に入れた。

それにしても過去を思い出すのはあまり気持ちのいい物ではないな。


「自分から体を貸す奴がいる何てな。全ては復讐の為か、その為の力が必要。ガイスがただ何も考えも無しに力を欲してるんじゃないのは分かった。お前にも辛い過去があるのも分かる。だけど、この島の人々は関係ないはずだ」

「関係なくはない。力がないから地の底まで落ちた、そう言う奴らは多いはずだ。それに今島に残ってる奴らは俺の考えに賛同した奴らだ。そんな奴らの力を借りて何が悪い」

「でも人々は考えを変えた。それにお前は説得ではなく力づくで島の人々を操ろうとした。それはお前の王を陥れた奴らと変わらない。力で支配しても不幸が生まれるだけだ」


『ガイス、俺は王にはなりたくない。強い奴が王にならなきゃいけないわけじゃない。王は強くなくてもいい』


「っそうか、どうりで無性にムカつくわけだ。やはりお前はゼットの息子だ。奴と同じような言葉を言う。俺が誘っても奴は頑なに頷かなかった。奴が姿を消した今、もうあの日の決着はつけられないと思っていたが。そうでもなさそうだな」

「俺は父さんじゃない。悪いが、父さんとあんたの因縁に付き合うつもりはない。俺がここに居る理由は島の人達を助ける事、そして不安のない明日を過ごしてもらう為だ」

「どうやら世間話は終わりのようだな」


源魔石を握りしめながら奴は臨戦態勢に入る。

源魔弾を使い、最速で殺す。


「俺は絶対かつ、それがお前を殺す奴の名前だ」

「その名前、奴が付けたのか」

「そうだ、昔は嫌な名前だったけど今はこの名前が俺の背中を押してくれる。悪いが負けるはつもりはないぞ」

「名前に意味を込めるのは奴の性格上ないと思うが、いいだろうかつ。俺とお前の戦いを始めよう」



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