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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その九十五 待ちきれない

「これで、終わった‥‥‥」


魔銃、スナイパーライフルの形態を握りしめながら気絶してしまった。

ナズミは正真正銘すべてを出し切った。

おそらく魔力も全て使いきったのだろう。

今、島のマナはほとんどない状態だろうね。

もうナズミは魔法を使う事が出来ない。


「よくやった、ナズミ。君は最後の最後まで戦い抜いたんだよ。後は僕達に任せて。僕も最後まで戦うよ」


気絶したナズミを抱き上げて、そのままミレイの元へと戻る。


――――――――――――――――――――

臨時休憩所


「はあ、本当に大丈夫なんだろうな」


ミレイは遠くを見つめながらそんな事を呟く。

その先には二人の影が消えていった。


「頼んだぞ、私に出来ることは状況を報告するのみだ」

「まだ、何を言っているのだよ。君にはガイスを跳ばすと言う最重要任務が残っているのだよ」


体中に包帯を巻き、ミイラの様になってしまったメメが木の棒を突きながら歩いて来る。

それを見てミレイは慌ててメメの元へと駆け寄る。


「何をしているんだ!大人しく寝て居なきゃ駄目だろう」

「クリシナの魔法が解けた」

「っ!」

「そう言う事何だろうね。状況は刻一刻と終わりに向かっているのだよ。ここが正念場、博士に出来ることが、うぐっ!」


メメは痛みでお腹を押さえると力なく膝を付く。

それを支えるようにして、メメの体にミレイは手を回す。


「回復カプセルは使えないのか。応急処置はしたが、危機的状況なのは変わらない」

「あれを使ったら完全回復するまで開かないのだよ。そんな事をして居たら、もうすべてが終わってしまうのだよ。博士はこの目で見届けなければいけない」

「なら、もう少し落ち着いて」


ビーっ!ビーっ!ビーっ!


「何だ、この音は!」


メメの胸元から突如甲高い警報音が聞こえて来る。

メメは咄嗟に懐をまさぐると小さな端末を取り出した。


「それは?」

「回復カプセルと繋がっているのだよ。何か異常が起きたり、回復カプセルが開いたりした場合知らせてくれるのだよ」

「という事は、回復カプセルが開いたのか」

「いや、どうやらそう言う事じゃなさそうなのだよ」

「どういうことだ」


するとメメはすぐさま端末を操作する。

その直後に、再び警報音が鳴り始めた。


「今度は何だ!」

「別のカプセルが攻撃を受けているのだよ!」

「はあ!?どういうことだ!」

「さっきの警報音は内部から無理矢理カプセルを破壊して外に出たと言う事なのだよ。そしてそのカプセルの場所はK‐42とK‐43なのだよ」

「簡潔に頼む」

「つまり、そこに居た人物はメイ君が連れて来たザックとニュートなのだよ。そして今攻撃を受けているのがラミアの回復カプセルなのだよ!」

「な、何だって!」

「すぐにでも救出に行かなければ、取り返しがつかないことがっげほっ!げほっ!」


メメは興奮気味に声を荒げた事で思わず咳き込んでしまう。

口元の血を拭うと、そのまま端末を操作する。


「どうするつもりだ」

「開かない様にロックを強固にするのだよ。ラミアの身に何かが起きたらガルアが持たないだろうからね」

「私もすぐに向かおう。ラミア様をお守りしなければ」

「いや、ちょっと待つのだよ」


すぐに向かおうとするラミアをメメが制止させる。


「何を言っているんだ。一刻も早く助けに行かなくてどうする。あの二人組、せっかくメイが助けたというのに恥知らず目」

「‥‥‥これは、もしかして」


―――――――――――――――――――――――――――――


「決まった‥‥‥?」


ガイさんの魔法が直撃した。

しかもガルア様の魔法陣の中に入った状態で。

これはさすがのガイスも倒れたでしょう。

皆さんが繋いでくれた、そのおかげでここまでガイスを追い詰めることが出来ました。

誰一人欠けてもこの状況にはならなかったでしょう。


「本当に終わったのよね」

「ガイ、よくやったな。お前のおかげだぞ」


ハイトさんが気絶しているガイさんを優しく抱き上げる。

ガイさんも全ての力を振り絞ってくれました。

ガイさんの魔法が無ければガイスにトドメをさせなかったの。


「本当に‥‥‥倒せたの‥‥‥」


ツキノさんが不安げにそう呟く。

ガイスは地面に倒れたままピクリとも動かなくなる。


「当然だよ、私達の大勝利!それじゃあ帰って町の皆でパーティーをしよう!いぇーい!」

「メイさん!あんまりそう言う事を言うなとかつさんが言っていましたよ!」


おもわず身構えてしまう。

だがやはりガイスは倒れたまま動けない。

考えすぎでしたか。

その時、すぐ近くで倒れて居るブライドさんの姿が目に止める。


「ブライドさん‥‥‥」


すでにブライドさんは事切れていた。

あれほどの重傷を負っていたのにも関わらず、最後の最後まで戦っていました。


「ありがとうございました、ブライドさん。あなたのおかげでガイスを倒すことが——————」

「まだだ!リドル!!」


ガルア様の叫び声が聞こえた瞬間、足元に巨大な魔法陣が展開される。

それに触れた瞬間、体がピクリとも動けなくなった。

真王の領域‥‥‥!

ですがあの時の様な一瞬で魔力を奪われる感覚はありません。

徐々に少しずつ吸い取られているような。

どうやらあのギリギリの状況で不完全ながらも魔法を発動させたのでしょう。


「いまさら、何をするつもりだ‥‥‥」


ガルア様は身動きが取れない中、口だけを何とか動かして声を振り絞る。

ガイスは倒れたまま身動きを取ろうとしない。

もしかして時間稼ぎのつもりでしょうか。

誰か、ガイスにトドメをさせる人は。

何とか視線だけを彷徨わせますが、見える範囲だけでも全員身動きが取れなくなってしまっていますね。

最後の悪あがきと言う事でしょう。


「何とか、体を‥‥‥」

「‥‥‥」


時間は刻一刻と迫っています。

時間稼ぎとしてはこちらも喜ばしい所ですが、トドメを刺せる状況ならこれ以上長引かせたくはありませんね。

せめてミレイさんにこの状況を伝えて来ていただければ、任せる事が出来るんですが。


「‥‥‥ふぅ」


その時、ガイスがゆっくりと起き上がった。

もう目覚めたんですが、あれほどの深手を負ったと言うのにまだ立ち上がれるなんて。

半獣としても相当なタフネスですね。


「永久魔力機関」


当然のように魔力を全回復、この状況で魔法が使えればあれを止めることが出来たんですけど。


「さすがにこれは効いたな。だがあと少し魔力レベルが高ければもしかしたら殺せただろに。俺の肉体は全盛期に戻っている。魔力レベルが低下しようとも、この体を破壊させる事は出来ない」


ガイスはそれだけ言うと、ゆっくりと俺達に背を向ける。


「この状況で奴が現れないと言う事はもう確信を持ってもいいだろうな。絶対かつはここにいない。正確にはこの島にか」


くっ流石にこれ以上は隠し続けられませんか。


「ならばもう出し惜しみする必要はないな」


その時、ガイスが新たな魔法陣を展開させる。

あれは源魔弾、僕達をここで始末するつもりですか。


「くっあの魔力は」

「まずいぞ、あれは最初の源魔弾と同じ」

「この島を丸ごと破壊するほどの威力‥‥‥!」


今までの源魔弾は威力を抑えていたという事ですか。

だとしたらこの一撃は完全に僕達を葬り去る為の一撃。

何とか、体を動かさなければ。

これ以上魔力を失えば、オリジナル魔法を使う事が叶いません


「くっそおおおお!ふざけんじゃないわよ!」

「大人しくしておけ。どうせ今のお前が動けるようになった所で、意味はない。残りの奴らもそうだ。ブライドが死んだ今、そしてガルアが負傷し最後の攻撃も失敗に終わった瞬間から、お前らの敗北は決定した」

「まだ、終わってない!」

「ガルア、これ以上醜い真似はよせ。お前が大人しく俺と手を組めば世界の王になるなど、容易かっただろうに。お前は最も簡単な二択を間違えたんだ」

「いや、間違ってないな。力で支配する世界なんてクソだ。俺は俺のやり方で王として民を導く。力ではなく行動で示す。お前の後ろには何も残らない。空っぽの玉座でまっさらな大地でふんぞり返っているだろうな」

「遺言はそれだけか」


何とか、しなければいけないのに。

僕には、何も出来ない。

後もう少しで終わると言うのに。

こんな所で、死ぬんですか!

皆さんが繋いでくれたのに、僕は何も繋げていないのに!


「げんま――――――」

「ちょっと待ったあああああ!!」


突如大声が響き渡る。

瓦礫の上で一人の人物が立っていた。

皆、そちらの方に視線を奪われ息をのむ。

それが誰か、分かってしまったから。


「絶対、かつさん?」



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