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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その九十 残した希望

「ブライドさん!」


僕達は準備を整えて戦場へと戻る。

すでに激闘の後が街の倒壊から見ても伺える。

クリシナさんはどうなったんでしょうか、ブライドさんはガイスと今も戦っているのでしょうか。

状況が分からない以上、すぐに合流して確認しなければ。

ブライドさんだって一対一では長くは持たないはずです。

僕がガイスの魔力を封じれば最初の時の様に有利に事が運べる。


「おい、あれじゃねえか」


ハイトが指差した方向には遠くに居るのにも関わらず大量の魔法陣が見えた。

あれはブライドさんとガイス?


「ちょっと待ってください。あの魔法の数、普通じゃありません」

「何か‥‥‥見たことがある‥‥‥」

「早く行くわよ、手遅れになる前に」


ピンカさんは険しい顔で空に浮かぶ魔法陣を見つめる。

大量の魔法陣、まるでかつさんの様ですね。

ですがかつさんとは違ってそのどの魔法が高レベルの魔法です。

普通ならすぐに魔力を枯渇してしまう程の。

本当に大丈夫なんですよね。


「はい、行きましょう」


僕らはすぐにそこへと向かう。

衝撃音が段々と大きくなっていく。

まだ離れているのに巻き込まれてしまいそうだ。


「見えた‥‥‥」


ツキノが僕の横でそう呟く。

僕もその姿を捉えることが出来た。


「あれは、ガイス何ですか?」


何故かガイスの体には宝石の様に輝いているつぼみの様な物が背中に生えている。

そしてガイスに立ち向かっているブライドさんは血反吐をまき散らしながら、大量の魔法陣を出していた。


「うおおおおお!」

「ぐっ!魔力が乱れる‥‥‥!」


ガイスの様子がおかしい、魔法を上手く展開出来ていないようですね。

あの不思議な宝石の花の影響でしょうが、それならなおさらサポートに周るべきでしょう。


「ブライドさん!遅れてすいません、今から戦線に復帰します!」

「リドル‥‥‥!お前らも無事なのか!」

「いつでもやれるぜ!」

「休んだ分ちゃんと貢献しますよ」


皆もやる気十分でガイスと対峙する。

ガイスは不機嫌そうに眉をしかめると僕達を一瞥する。


「まあだ生きていたのか。瀕死の状態で何が出来る」

「それはお前の方だろうが!!」


ブライドは瞬時に五つの魔法陣を展開させてガイスにぶつける。

ガイスも同様に魔法陣を展開させようとするが、それが何故か一部分が宝石と化し不完全な状態で発動される。

だがそんな状態では防ぐことは出来ずに魔法を直撃する。


「どうやら様子がおかしいな。ガイスは魔法が使えないのか」

「魔力が不足している訳ではなさそうですね。もしかすると、オリジナル魔法でしょうか」


そうなると発動者はクリシナさんの可能性が高いですね。

ですがクリシナさんの姿が見られませんね。

それにブライドさんの自信の体を痛め続けながら魔法陣を展開させています。

まるで死地を求めているような。


「双岩巨兵の守護神!」


ピンカさんのオリジナル魔法である二つのゴーレムが展開される。

そしてゴーレムはガイスに向かって一目散に向かって行く。

その隙に僕はブライドさんの元まで行く。


「ブライドさん、大丈夫ですか」

「はあ、はあ、はあ‥‥‥悪いな。助かった」


消耗が激しそうですね。

既に魔力もほとんど尽きかけているでしょう。

それなのにまだ、戦う事を諦めないのですね。


「ブライド、大丈夫なのか。クリシナは何処に行ったんだ、先に離脱したのか」

「クリシナは死んだ」


ブライドさんははっきりとそう告げる。

おもわず僕達は言葉に詰まらせてしまう。

クリシナさんが亡くなった、また一人居なくなってしまった。

ですが悲しんでいる暇はありません、今はゴーレムがガイスの相手をしてくれますがそれも長くはないでしょう。

戦いを止めるわけにはいきません。


「戦いましょう、ブライドさん。亡くなってしまった皆さんの分も、僕達が戦う事でその意思は受け継がれるはずです」

「もちろんだ、俺も戦いをやめるつもりはねえよ。お前ら、俺は正直言って限界が近い、分かるな」


その言葉に僕らは頷いた。


「時間は残りわずか二十分って所か。俺にはまだ切り札がある。それを必ず当てたい、お前らには一瞬でもいいから足止めを頼みたい」

「切り札って一体」

「俺のオリジナル魔法の真髄はただ魔法の命中率を高めるだけじゃない。それを見せてやるよ」

「おいおい、俺の出番はまだなのか!」


ガイさんは自己主張するようにして何度も指差す。


「お前の出番はまだとっておく。まずは俺から先にいかせてくれ。現状、ガイスはクリシナのオリジナル魔法で魔力を阻害されている。体の奥深くに蒔いた種は、奴がすべての魔力を放出しても無くすことは出来なかった。それを利用する」

「クリシナの命がけの一撃がこの状況を作ったのか。よし、俺が足止めする。奴の魔法の威力ならまだ耐えられるはずだ」

「俺も足止めなら出来ます。今のガイスの威力なら鏡も破壊せずに通り抜けられる」

「ゴーレムなら盾にも成れるわ。悪いけど、威力の方は期待しないで。あれが限界だから」


確かに今のゴーレムは耐久面に集中している様ですね。

最初に出て来た時よりも威力が落ちています。


「私は‥‥‥コピーで‥‥‥数を‥‥‥カバーするよ‥‥‥」

「俺は雷の魔法でチャージしつつ、迎撃するぜ」

「僕はガイスがすべての魔力を放った瞬間に永久魔力機関を使うと思うので、それを狙います」

「今ある戦力で出来ることを考えられるが、まだ完全な足止めには足りないな。せめて一分、その場に留めさせられないか」


一分、クリシナさんの魔法のおかげで弱体化しているとはいえ、流石に長すぎますね。

他に何か方法が。


「はいはーい!私立候補するよ!」


考え込んでいるなか元気いっぱいに手を上げるメイさんの姿があった。

そう言えばメイさんには何か隠し玉があると言っていましたね。


「メイさん、出来るんですか」

「もちのろん!私のオリジナル魔法はそれにピッタリだよ」

「オリジナル魔法‥‥‥びっくり箱‥‥‥」

「うん、私のびっくり箱はその状況に適した魔法を発動してくれるの。びっくりでしょ」

「つまり、足止めをする為の適した魔法が放たれると言う事ですか」

「ううん、違うよ」


違うんですか。

てっきりそうだと思ったんですが。


「じゃあ、何でそんな自信満々なんだ。言っておくが魔力レベルの差をちゃんと理解してるんだろうな」

「私の魔法は魔力レベルとか関係ないもん。だから私を信じて」


そう言ってメイさんはまっすぐな瞳でブライドを見つめる。

後方でゴーレムが吹き飛ばされる。

そろそろ耐久力も限界が来ている様です。


「時間はないわ。そろそろもう一体もやられる。どうするの、こいつに任せるの」

「出来るんだろ。お前の魔法なら」

「うん!」

「よし、任せた。その隙は俺達が作る。お前が止めてくれたら、俺のすべてを懸けてあいつを殺す」


その瞳に答えるようにブライドさんも覚悟を決める。

もう一体のゴーレムも粉々に破壊されて、視界が晴れる。

すでに何十発も放たれたであろう魔法が、ガイスの現状を表している。


「行くぞ、お前ら!!」




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