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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その七十一 守られるから守るへ

放った弾丸は地面と弾丸同士がはじけ合い、複雑な軌道を描いている。

それらは私達の周りを取り囲むようにして飛び交っていた。


「これがお前が用意した舞台という事か。俺を相手にこの様な粗雑な舞台を用意するのは本来ならあまり気持ちのいい物ではないが、今は逆にこれでいい。お前とはまだ楽しめそうだなっ!」


そのままガイスはこちらに止め寄って来る。

私は一定の距離を保ちながらガイスに向かって弾丸を向かわせる。

ガイスはそれらの弾丸を気にも留めずになお向かって来る。

これ以上近づかせるのはまずい、あの領域のオリジナル魔法を使われたら今度こそおしまい。

弾丸が入った魔力事吸い取られるかもしれない。

それに私の動きが止められてしまったら、今度こそ対処される前にすぐに殺されてしまうでしょう。

だからもうガイスのオリジナル魔法を受けるわけにはいきません。


「どうした!この程度の弾丸じゃ、俺は殺せないぞ!!」


ガイスは向かってくる弾丸をその身で受け続ける。

今の回転数じゃまだガイスの体を貫けるほどじゃない。

やっぱりガイスの魔力抵抗が高すぎて容易に突破出来ないですね。


「まだ終わりじゃないですよ」


さらに弾丸のスピードを速めていく。

あと、もう少しもう少しで突破できるはず。


「ちっ」

『弾丸が視界にちらついて思考を邪魔される。これでは正常に魔法陣を展開できない。弾かれた弾丸がよくよく見ると規則性のある動きをしてはいるが、奴が少しでも弾丸の軌道を変えた瞬間それらが一気にズレる。周囲に魔法陣を展開するのは諦めるか』

「なら目の前で魔法陣を出現させ、あらゆるものを吹き飛ばすだけだ」


ガイスはそう言うと目の前に魔法陣を二つ展開させる。

弾丸を巻き込んで私を倒す気だ。

それなら、こうするまで。

私は弾丸の軌道を一部変更させる。

そうする事で今まで別の場所に居た弾丸が真っすぐ魔法陣へと跳んで行く。

他の弾丸は魔法陣に直撃したところで弾かれるのみで影響を全く受けない。


「残念だが、その弾じゃ俺の魔法陣を破壊させる事は出来ないようだな。ディザスターウォーターウェーブ、ディザスターコールドフローズン」


巨大な水の波がすべてを飲み込んでいき、そこから突如全ての水が凍り付いた。

私の弾丸は一部凍り付いたが残りの弾丸は依然として空中を飛び交っている。


「まだ終わりじゃないぞ」


ガイスは再び弾丸が飛び交う内側に魔法陣を展開させる。

今度こそ行けるはずです。

私は飛び交う弾丸の中でいくつかの弾丸をチョイスして、魔法陣へと跳ばす。


「だから無駄だと言っているだろう。スナイパーライフルでもない限り、俺の魔法陣は破壊出来ない。今度は確実に殺すぞ」


ガイスがそう言った瞬間、魔法陣が光り輝く。

だがそれよりも早く私が動かした弾丸が魔法陣に触れる。

すると一瞬にして魔法陣が砕け散り、その弾丸はそのままの勢いでガイスへと向かって行く。


「俺の魔法が破壊され——————」


ガイスは咄嗟に切り替えで光速の光の槍を出す。

弾丸はすぐさま魔法を回避すると、そのままガイスの右手を貫く。

それと同時に右手が勢いよく爆発する。


「ぐっ!」


その衝撃で右手が大きく弾かれた。

やった、決まりました。

これくらい弾丸を弾けばガイスの体にダメージを与えられると言う事ですね。

恐らく回数は百回、それだけやればダメージは与えられる。

するとガイスは追撃を恐れたのか氷の檻の中に入り閉じこもる。

だがそれもこちらとしては却って好都合、今のうちに弾丸の弾いた回数を稼げる。

私は弾丸を操作して比較的弾丸が弾く回数が多いようにする。

すると数秒後、氷が一瞬にして内部かれ弾かれて細かい氷柱がこっちに向かって来る。

まさかそれで私の弾丸を弾くつもりですか。

どちらにしろ回数を稼げることには‥‥‥いや、違います!


「まずい!!」


私は慌てて弾丸を操作する。

だがすべてを操作する事は不可能である為、数発が氷柱に当たったことでそのまま弾かれることなく弾丸が凍り付いてしまう。

そしてそのまま地面に転がり落ちる。


「くっやられました」

「さすがに俺の魔法を直撃で受ければ受け流せないようだな」


魔法を発動させる余裕もなかった。

残りの弾は三発、その中で百回に到達しているのは一発だけ。

数が減ればそれだけ弾く回数も減少してしまいます。

もう私に魔法を放てる魔力は残っていません。

ミレイさんが言っていました、今は島のマナが減少し始めて魔力回復が落ちていると。

この戦闘で弾丸をもう一発生成するのは不可能でしょうね。


「数発は残したようだが、やはりすべてを操作するのは無理だったか。それはそうだ、これほどの弾丸をすべて把握して操作するなど、二つの目玉と一つの脳では不可能だからな。そして残された弾丸は一際強力な物だったんだろうな。だが三発だけでは予想も出来る」


その瞬間、ガイスは周囲に魔法陣を展開させる。

それは弾丸が飛び交う外側に展開されていた。


「死ぬ準備は良いか?」

「‥‥‥」


私がガイスに向かう瞬間、ミレイさんは私にこう言いました。

『ある程度力を出し切って時間を稼げたら戻って来い』

そうは言っても私はまだ戦えないわけじゃありません。

確かに状況は絶望的ですが、まだ戦えないわけじゃない。


「どうした、死ぬのが怖いのか?」

「死を恐れない」

「は?」

「お姉さまはいつだってそうでした。あの時まで自分の命が尽きるその瞬間まで戦う事をやめませんでした。私はそんなお姉さまを尊敬し、同時に怖かった。どうしてそこまで戦う事をやめないのか」

「それは奴が異常者だからだ」

「それは違います。今ならよく分かるんです。戦う事の意味とその決意。私はこの命が尽きるその瞬間まで戦い続ける。それは守りたい物があるからです」


そう、お姉さまは戦いたかったわけじゃない。

少なくとも最初の頃はそうだったはずです。

守られる側から守る側になったことでその意味がよく分かります。

幸せは続くとは限らない、だからこそ自分の手で守らなければいけないと。


「私はこの命が尽きるその瞬間まで大切な物を守り続けます」

「あの世でそれを守り続けると言い。じゃあな」


その瞬間、周りを包み込むように炎が放たれる。

私はすぐさまその場を移動させる。

それを追うようにして魔法陣が次々と展開されていく。


「くっ!」


何とか障害物で魔法を避けていくがガイスの魔法が強力すぎて、それすら意味がなくなっている。

私自身、そんなに動けるわけじゃないからこれ以上はしんどい。


「はあ、はあ、はあ」

「どうした、逃げ足が遅くなっているぞ。早くしなければその大切な者すら守れなくなるぞ」

「分かって、ますよ!」


ガイスはわざと本気を出せば逃げれる位置に魔法を放っている。

私をおもちゃにしていると言う事ですか。

その慢心が命取りですよ。


「いけ!」


私は三つの弾丸を縦横無尽に動かす。

この数ならすべてを把握できる。

これで何とかやるしかない。

ガイスは向かってくる弾を体を捻って回避していく。

だが弾丸の素早さに追いつけなくなったのか、魔法陣を展開して反撃しようとしてくる。

私はすぐさま弾丸を操作して、魔法陣へと突っ込ませる。

そして魔法陣に弾丸が貫通した。


「っもうか」


ガイスは魔法陣が破壊されることを想定していたのか、すぐさま四つの魔法陣を展開させる。

あの魔法陣の中で一番危ない魔法陣を弾丸で破壊し、放って来た魔法陣に対して距離を取って回避する。

炎の魔法や風の魔法は危険、岩の魔法や氷の魔法はまだ動きが分かりやすいから大丈夫。

光の魔法は弾丸に当てて軌道を逸らす、水の魔法も距離を取れば大丈夫。

またもや魔法陣が展開されて危険そうな魔法を破壊すると、岩の魔法がこちらに放たれる。

すると別の魔法から水の弾丸が放たれる。

あれは私に向かって放ったわけじゃない、あれはさっきの岩に向かって放たれた物!

水の弾丸は岩に直撃するとそのまま岩がはじけ飛んだ。

氷の時と一緒だ、でも岩ならぶつかっても何も問題はない。

逆に弾丸の弾く回数を稼げる。

私は弾丸を操作してこちらに向かって行く物を全て弾いて行く。

すると弾かれた岩がこちらへと向かって来る。


「っ!?」


思わず頭に直撃してしまう。

思ったよりも岩が軽い、まさか弾かれることを考慮した岩の一撃だった。

岩が惜し負けるせいで弾丸の軌道が読めない。

これは罠だ、すぐに引き戻さないと。

だが休ませる時間を与えないかのようにすぐさま魔法陣が展開される。

まずい、岩が多すぎて弾丸を操作しづらい。

このままじゃやられる、それなら。

私は弾丸をガイスの方へと向かわせる。

切り替えでガイスは弾丸を弾こうとするが、二つの弾丸はぶつかり合い左右に分かれる。

ガイスは一瞬足を止めるがすぐに魔法陣を発動させようとする。

そういう事ですね、そっちも共倒れが狙いですか。

ならやってやりますよ。

魔法が放たれる直後、私はガイスの体に弾丸を当てる。

内部からの電撃によりガイスの体が痺れたのを見計らってもう一撃を心臓へと向かわせる。

いけ——————!!

私がそう弾丸を操作した瞬間、意識が途切れた。



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