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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その五十六 芽生えた希望

「先ずは小手調べていこうか」


ガイスはそう言うとこちらに魔法陣を展開して来る。

あの魔法陣は見覚えがある魔法陣ですね。


「皆さん!話し合った通りに動きましょう!」


その言葉に答えるように皆が一斉に動き始める。


「ファイヤ―バインツ」


ガイスは炎の魔法を発動させるとそのまま真っ直ぐこちらに向かって来る。

ファイヤ―バインツ、何度も見てきた魔法のはずなのにまるで別の魔法のような威力!

周りの物を飲み込みながら巨大な炎の牙はこちらに真っ直ぐ突っ込んでくる。

その時、僕の目の前にマイトさんが現れる。


「完全魔法証明!」


僕の手を掴むとオリジナル魔法を発動させてその魔法を回避する。

それにより適切な距離感を保ちながらその場を離れることが出来た。


「やはりお前らにとってそいつは重要な人物か。余程守りたいみたいだな」

「マイトさんすみません。大丈夫ですか」

「一蓮托生、こんな事でいちいち謝ってたら頭ずっと下げっぱなしになるよ。それよりリドルは自分の役割を全うして。気分はどう?」

「ガイスが弱体化しているおかげか何とか動ける分には問題ないです。ですがもう一回は無理そうですね」

「分かった。それなら当初の予定通り、僕がマイトを守りながらこちらの魔法の効果が及ぶ距離感で戦おう。かなり厳しい戦いにはなるけど、やるしかない」


マイトは覚悟を決めた様子でガイスを見つめる。

するとガイスはその場で立ち止まりながら呆然としている。

一体何を考えてるんだ。


『俺の魔法が消されたと言うよりも封じ込められたのが正しいだろうな。あの時確かに魔法は発動していたが、まるで肩透かしのような感じがした。他のオリジナル魔法も発動は出来るは出来るだろう。だが如何せん魔力が足りない』


「仕方ない、威力は劣るがやはりこちらの魔法で対処するか」

「ギガサンダーボール!」


ガイスに向かって雷のボールが放たれる。

これはガイサンの物だな、物陰に隠れて気を伺っているんだ。

ガイスはそれに直撃するも何事もなかったように平然とその場に佇む。


「喰らいなさい!ゴーレムの一撃を!」


そして後方に構えていた二体の巨大なゴーレムが動き出す。

拳を握りしめてそれをガイスの元に向かって振り下ろす。


「ロックガトリング」


ガイスは岩の魔法を発動させてその拳の勢いを落とさせる。


「ちっ小賢しい!それで終わりなわけがないでしょう」


拳は止められたがそこからは氷と炎の魔法がガイスを襲う。

ピンカさんのゴーレムは特別仕様だ、魔法を操る事が出来る。

今のガイスならその一撃を喰らって無事で済むとは思えない。

氷と炎が混ざり合い、巨大な爆発が起きる。

ガイスの魔力を感じ取れる、まだその場からは動いていない。

それにその場から逃げ出しそうになったらクリシナさんとブライドさんがその道を防いでくれるはずだ。

二人には後方支援にまわってもらった。

前線に立つよりもそっちの方が動き回りやすいからだ。

実際に作戦でもその動きで行く事が決まってた。

すると煙の中から魔法陣が展開された。


「フルアグレッシブフルート」


その瞬間、鋭い風の魔法が出現し一体のゴーレムの腕を切り落とした。


「なっ!?あの威力は‥‥‥」


僕ですらあそこまで出力を出すのは難しい。

風の魔法を極めた僕でも出せない威力となると、その魔法の許容量を超えていることになる。

いや、限界を越えるギリギリの所で魔力を操っているのか。

現代の魔法を使っているのにもかかわらずこんなにも差が出る何て。


「所詮は石の塊。俺を殺すには威力が足りないな」

「ちっ意味分かんない。どうしてたかが風の魔法で私のゴーレムの腕が切れるの」

「ピンカ、落ち着いて。戦いはまだ始まったばかりだ。ピンカのゴーレムを盾にしつつ俺達も積極的に向かおう」

「分かってるわよイナミ!それにこれだけじゃ終われないんだから」


ゴーレムは落とされた片腕を地面に落ちている腕に近づけると、そこから岩が伸びいきくっ付いて行く。


「ほうっ自動修復機能か、随分と贅沢な要素を入れてるな。少しは楽しめそうか!」


ガイスは一度に三つの魔法陣を展開させる。

まずい、あれほどの魔力が込められた魔法がすべてゴーレムに当たってしまえばゴーレムは破壊されてしまう。

あのゴーレムを起点に皆が戦いを置こう計画でもある。

すぐに失うわけにはいかない。


「マイトさん!近づいてください」

「もちろん!」


ガイスから離れない様に近づいて行く。


『やはり、俺と距離を置くことを嫌がっているか。となると魔法の効果には範囲が限定されていると言う事だな。それ以上距離を空けば効果は失われる。なら、距離を置くことに注力したい所だが』


「もう一つの鏡世界!」

「びっくり箱!」


魔法が発動されると同時に別の魔法がそれらを防ぐ。

鏡が魔法を通り抜けていき、もう一つは魔法通しが衝突し相殺され、最後の一個は炎のゴーレムが対処した。

そして氷のゴーレムは拳を振り上げる。


「ん?何をしている」


その矛先は全く違う場所に向かっていた。


「イナミ!」

「鏡の中の転移口!」


ガイスに向かって鏡が連なって行くと、最初の鏡にゴーレムの腕が入ると一瞬にしてガイスの真横に現れる。


「なっ――――――」


その瞬間、氷の一撃と共にガイスが打ち上げられる。

僕達も急いでそれを追いかける。

風の魔法で体を浮かせてガイスの後を追う。


「このまま離れられれば上出来なんだが」


ガイス、もしやこのまま僕と距離取るつもりですか。

残念ですけどそれは無理ですよ。


「ガイス!逃げるつもりですか!」

「逃げる?何やら勘違いをしているな。ストーカーをされるの趣味じゃないんでな。ここまではなれれば援助もないだろう」


そうするとガイスはこちらに向かって五つの魔法陣を展開させる。


「くっ!」

「リドル!魔法は使うな!!」

「っ!」

「死ね」


マイトの言葉で僕は魔法を発動する手を止める。

その瞬間、複数の魔法が一気にこちらに向かって来る。


「しっかり掴まって!」


するとマイトが次々とその魔法を回避していく。

すごい、威力が弱まっているとはいえこれほどの魔法を回避していくなんて。


「ほうっ回避に特化したオリジナル魔法か。だが逃げを想定したオリジナル魔法など、弱者の発想でしかないな」


回避して行けばいくほど魔法陣が展開されていく。

キリがない、絶えず魔法を展開して行ってる何て。

このままじゃマイトさんがいずれ力尽きてしまう。


「くっ!」

「マイトさん、大丈夫ですか!」

「だい‥‥‥じょうぶ!」


そう言いながらもマイトさんは苦しそうだ。

何かしなければ、先にマイトさんが力尽きてしまう。


「はあ、はあ‥‥‥」

「やはりこの程度、魔法で押し切ればどうとでもなる。俺から離れたくないんだろ、どうしたこのままではさよならすることになるぞ」

「くそ、確かにこれはまずいね。なら無理してでも懐に」

「残念だが、選択肢は間違いだ」


マイトさんがガイスの懐に向かおうとした時、瞬間的に魔法が発動される。

それはマイトがオリジナル魔法を発動する隙さえ与えない程の速度だった。

約一秒後に自身の死を連想させた瞬間、ゆっくりと声が聞こえて来た。


「永久の白宝!」


その時、ガイスの放った魔法全てが宝石と化す。

見るとすぐ近くに空を飛んでいるクリシナさんとブライドさんの姿があった。

空中に浮かんでいるのはぺプロさんの魔法!


「マイト!」


ブライドさんがマイトさんの名前を叫んだ瞬間、落ちていく宝石をマイトさんは手に取るとガイスの方へと放り投げる。


「ストロングロック!」


ガイスの逃げ道を失くすために宝石と共に閉じ込める。

そして更に魔法陣が展開される。


「愛の赤宝!」


赤い宝石がガイスの体を包み込むとそれは真っ逆さまに落ちていく。

そして僕も少し距離を置いてそれを追いかける。

赤い宝石が地面に落ちる途中、二体のゴーレムが待ち構えていた。


「解放!」


そしてゴーレムが挟み込むようにして拳を振るった瞬間、生身が出てきてそれが直撃する。


「‥‥‥っ!」


その一撃はガイスの体に深い傷をつけた。

そのまま転がると、口元を拭いながら恨めしそうにこちらを睨みつける。


「お前ら」

「どうやら先程までの余裕は無くなって来たようですね」


ここまでは順調、ガイスこのまま源魔石がすべての魔力を吸収するまで粘らせてもらいますよ。



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