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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その五十二 変態VS変態

まさかメメ博士があれほどの身体能力を持っていた何て、不意打ちとは言えいいのも貰ってしまった。

顔に怪我をするのは計算外だったが、以前貰ったクリシナの化粧品を借りて誤魔化すとするか。

とりあえずメメ博士の今日の下着を確認する事が出来た、これなら変装するのに困らないだろう。

念には念を入れた方がいい、その方が確率は高くなるからな。

俺は自分の部屋に向かうと、あらかじめ用意しておいた服を取り出す。

この時間帯、俺の罠にかかっているのならこの時間にストーカーがメメ博士の部屋にやって来るだろう。

早速服に着替える、女物だからか少しきついな。

端から見ればパツパツの服を着た男と思われるだろう、これだけならすぐにでもバレてしまうだろう。

俺は着替えを終えるとメメ博士の部屋に入る。

まだ来たばかりだからか物は少ない、だが何度か改造した様な跡は見られる。

隠し部屋を沢山作っているのか、余計なことはしないでおこう。

掃除も先程したからか綺麗になっている、まあ俺も掃除に来ているからそこまで来たなかったわけではないが。


「さてと、窓は‥‥‥ここだな」


カーテンが掛かっている、日差しを遮り外からはこちらの様子は見えないだろう。

だがそれでは駄目だ、カーテンは開けて外から中を見えやすくさせる。

そして窓の鍵をあらかじめ開けておく、そうして開けば中に侵入しやすいからだ。

まあ相手はそんな事もしなくても相手は外から鍵を開ける何て造作もないだろうが。


「よし、窓オーケー、鍵もオーケー。後はベッドに寝るだけだな」


ベッドはしわ一つない程綺麗に整えられている。

まあ俺がベッドのシーツを洗ってしわを伸ばしたからなのだが、整えてから変わってないと言う事はここでメメ博士は寝ていないのか。


「せっかく洗ったのだから、一度寝て欲しかったのだが」


日向で乾かしたから寝心地は最高だろうに、寝て用が寝てまいが後で洗おうとはしていたからその時にまた日向で乾かせばいいか。


「さてと、その前に‥‥‥目に見える真実」


俺は早速窓に向かって魔法を展開させる。

コンフューズは幻覚を見せる魔法だ。

相手に何を見せたいのか、具体的に想像して魔法を展開させる。

今回は俺の姿がメメ博士に見えるように窓側に魔法を展開させた。

だがこれには弱点がある、幻覚させる物があまりにも現実と隔離しすぎていると効き目が薄くなってしまう。

例えば全く体形も違く性別も違う、そして服装も違う人物となりすまそうとすれば、それは元の形から大きく乖離してしまう為幻覚が弱まる可能性がある。

だからより幻覚を正確にさせる為に、メメ博士と同じ服装をし対象を窓から覗く物に限定させる。

体形はどうしようもないがこれほど絞れば確実に見えるだろう。


「あとは対象が窓から覗きに来るのを待つだけだな」


メメ博士は入浴してから一時間は風呂に入るほどの長風呂だ。

恐らく現場で鉢合わせする事はないはずだ。

俺はちらりと時計を確認する。

そろそろだな。

部屋の電気をほんの少し暗くさせる。

真っ暗闇では俺がベッドで寝ていることを確認しずらいだろう。

下準備はこれで完了だ、俺はそのままベッドに潜り込む。

完全には毛布をかぶらずに顔は出した状態にさせる。

そして位置も窓から見えるようにベッドも事前に動かしている。

そこから窓を覗けば俺がメメ博士だと思うだろう。

後は奴が窓から覗き込みこちらに侵入するのを待つだけだ。

その間は俺も体を動かしてはならない、この位置が最も適した位置だから。

ここで寝返りを打てば俺の顔が見えなくなってしまう可能性がある。

ベッドに入ってから数十分が経った。

今だ、こちらを見られている様子はない。

この時間帯に来ると踏んでいたが来ないのか、誘いに乗っていないのだろうか。

いや、奴がこんな絶好の機会を逃すわけがない。

俺しかいない状況でメメ博士の部屋に一人、そして一人はお風呂に入っている。

ここに盗聴器が仕掛けられているのは知っている、メメ博士の服に付いていた物だ。

それを風呂場に仕掛けた、シャワーの音が聞こえるが声までは聞こえない位置に。

そして通信機は俺が風呂場に行った時は電源を切っていた、だから誰が風呂に入っているかまでは分からない。

だが奴は確実に俺とメメ博士しかこの家にしかいない事を知っている。

だが必然的にここに居るのはメメ博士だと思うはずだが。

俺の読み違いだったか。

そう思った時、突如視線を感じた。

明らかにみられている、やはり素人だ簡単にみられていることが分かる。

だが出所を捜索してはいけない、俺はただ待つだけでいい。

視線に気づいてからしばらくした後、突如視線が消えた。

ん?見なくなった、どういうことだ。

まさか帰ったのか、いやこんな絶好の機会を逃すなんてありえない。

もしやメメ博士が風呂に上がったのか。

いや、まだそこまで時間は経っていないはずだ。

だが帰ってしまったのならばこれ以上待っている事もないだろう。

そろそろメメ博士が風呂に上がる、一応通信機の電源は抜いてあるからとっくに切れているだろうがあとで回収しなければな。

今回は諦めて起き上がろうとした時、再び視線を感じる。

また?戻って来たのか、しかも今回はかなり長い。

じっと見つめられている、これは来る。

そう思った時、部屋に微かに風が入った。

隣に気配を感じる、そしてゆっくりと毛布がめくられた瞬間、俺はその手を握った。


「っ!?」

「リープ」


すかさず魔法を発動させると、場所は移り変わり街から離れた森に俺ともう一人が立っていた。

フードを被っていて顔は確認できないな。


「お、お前は!」

「残念だが、お前が探している人物はいないぞ。あそこに居たのは俺だからな」

「何で、お前が布団の中にしかもその恰好‥‥‥!まさかお前、変態なのか!」

「変態?そう言われるのは心外だな。そちらの方が変態じゃないのか、メメ博士をストーキングし、家の中を覗き込むなんて。しかも風呂場を盗聴とは、人としてどうかと思うぞ」

「ワタシは別に風呂場を盗聴したわけじゃないぞ。彼女の服に忍ばせていた所をお前が仕掛けたんだろう」


先程の慌てた様子とは違く男は冷静に戻ったのか、流暢に話す。


「さてと、ここまで来たらもう抵抗は無意味だ。お前は何者で、そしてなぜメメ博士を狙った」

「ワタシが誰かはもう容易に想像が付いてるんじゃないのか。なぜわざわざ彼女を狙った理由もな」


やはりこいつはメメ博士と同じ、未来研究所の者なのか。

だとしたらもしや未来研究所を再び作ろうとしている。


「彼女はもう変わった。昔何をしていたのかそんな事はもうどうでもいい。未来へと進もうとするメメ博士の邪魔をするな」

「そう言う割には博士という言葉を使うんだね」

「これは仲間からの贈り物だ。もう一度言う、メメにこれ以上関わるな」


強い口調で再度警告をする。

お願いだ、それで身を引いてくれ。

お前が元研究者だろうが、やはり俺には人を殺すと言うのは荷が重い。

するとその人物は一つため息をつくと、懐に手を忍ばせる。

魔法ではない、もしや武器を持っているのか。

すぐに切り替えられるように準備をしておくと、そいつが取り出したのは一本の瓶だった。

毒薬か、だが投げ飛ばされてから俺に届くまで容易に瓶を破壊できる。

そう思った時、その瓶を地面へと叩き付けた。


「っ!?一体何を」

「確かにワタシは誘われた。だがただで誘われたわけじゃない。女物の服を身にまとった男が招いていたのは予想外だったが、ここに飛ばされるのは予想がついてた」

「どういう意味だ‥‥‥!」


何かが来る。

そう思った瞬間、大量のモンスターがこちらに向かって来た。


「ワタシの専門は生物なんだよ!」


そういうと、勢い良くその場から逃走する。

モンスターを盾にして逃げるつもりか。

あの薬品はモンスターを引き付ける成分でも入っていたのだろう。

だが想像通りだ!


「バーストライトニング」


その瞬間、雷の魔法で辺り一帯のモンスターを纏めて攻撃する。

体の芯まで喰らったモンスターは体を痙攣させるとその場から動かなくなった。

このまま逃がすわけにはいかない。


「逃げた方向はあっちか」


俺は逃走経路を瞬時に見極めて風の魔法で一気にそこまで行くと、そこに必死に逃げている奴の姿があった。

俺はすぐに目の前に止まると、奴は驚いた様子で慌て足を止める。


「早いな、そんなに弱いモンスターではないはずだが」

「悪いが、ゼット師匠の弟子である以上失態は晒せないんだ」


そいつは観念したかのように両手を上げる。


「ワタシはこれから殺されるのか」

「お前次第だ。これ以上関わらないのなら、見逃す。だがそれでもメメ博士を狙うのなら‥‥‥」


殺すしかない。

生死を選ばなければいけないのなら、どれだけ苦しい選択だろうと仲間が幸せになるのなら。


「やめるよ」

「え?」

「諦めよう。もう彼女には関わらない。君のような番人があと三人も居るんだ。手を出して痛い目に合いたくはない。ただ同じ研究者として話せることもあるのではないかと思っただけだ」

「ただ話しをしたかっただけだと?」

「そう言ったら、話す機会をくれるのか?」


俺の心を見透かすようにしてそんな事を言ってくる。

確かにそれだけならと一瞬、許そうとしてしまった。

今のメメ博士に研究者を合わせては駄目だ。


「やらない、このまま行け」

「そうか、感謝します」


そう言うと奴はそのまま走って居なくなった。

これでよかったんだ、口約束だとしても俺の強さをこの目で見たんだ。

それにあいつには魔法の技術は全くない。

そうだな、俺がちゃんと守っていればもう大丈夫だ。


「帰るか」


全てが終わり俺は魔法で自宅へと帰った。

部屋に戻ると、すでにメメ博士がお風呂から上がっていて既に部屋に居た。

俺も服に着替え終えて、何食わぬ顔でその部屋に入って行く。


「お風呂あがったのか」

「‥‥‥」


反応がない。

椅子に座ったまま、こちらに見向きもしない。


「どうした、何か合ったか?」

「変態‥‥‥」

「え?」

「お前は変態なのだよ!!」

「いや、俺は変態じゃないぞ。何か誤解しているな」

「誤解も何もないのだよ!これを見るのだよ!」


そう言うと、ベッドのシーツを指差す。

俺が寝ていたから柏が出来て少し捲れている。

ああ、そう言えばメメ博士はまだ寝ていなかったか。


「いや、これはだな。重要な任務があって」

「何が重要な任務なのだよ!人の服勝手に着て、挙句の果てにはベッドに寝る何て変態の何者でもないのだよ」

「誤解だ。あの服は俺が買ったものでメメ博士の服ではないぞ」

「そう言う問題ではないのだよ!というかそっちはそっちで変態なのだよ!」


どうやらかなり怒らせてしまったようだ。

今の状態では冷静に言葉を交わすことは無理だろう。

とにかく要点だけを伝えよう。


「メメ博士、これからは俺が守ろう。何があっても俺が側にいる」

「変態に側に居られても迷惑なだけなのだよ!というかお前にメメ博士何て呼ばれたくない!さっさと部屋に出てけ」


俺は背中を押されて無理矢理部屋に出されてしまった。

どうやら俺は変態になってしまったようだ。

だがこの誤解はいつか解けるだろう。

明日また話せばいい、その時にはベッドで寝てしまった事を謝るとするか。

俺は体を休める為にお風呂場へと向かって行った。



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