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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その五十 モンスター奢ります

「何の料理が食べたいのかな。好きな物をごちそうしよう」


そう言って上機嫌に俺の先頭を歩いて行く。

初めて会った時よりも明るくなった。

クリシナの影響だろうか。


「なら、なじみの店がある。そこでもいいか」

「そんなのがあるの。ならそこにしようか」

「ならその前に準備をしなきゃならない」

「準備?」


メメ博士は不思議そうに首をかしげる。

俺はメメ博士を連れてある場所へと向かって行った。

それはモンスターがひしめく洞窟だった。


「何で洞窟ーーーーーー!」

「どうした急に叫んで」

「どうしたもこうしたも無いでしょ!何で洞窟に来てるの!どこでご飯を食べる気なの!」

「別にここに飯を食いに来たわけじゃない。食材を調達に来たんだ」

「食材?」


その時洞窟の奥から何かが来るような地響きが聞こえて来る。

俺はその先を目を凝らしてみる。


「どうやら先程の大声で気付かれたみたいだな」

「え?これは博士のせいなのか!博士が悪いのか!」

「いや、むしろ好都合だ。モンスターが多い方が多い程、料理の幅も広がる」

「え?まさか料理って——————きゃっ!」


その瞬間、俺はメメ博士を抱き寄せる。


「ちょっと、何で急に触って」

「俺の側に居ろ。その方が安全だ」

「そんなこと言ったって」

「うがあああああああ!!」

「うわあああああ!?滅茶苦茶沢山のモンスターがあああああ!!」


モンスターの巣窟と言われるだけはある。

数は十を超えるだろう。

だがこれだけあれば豪勢な料理が作れるだろうな。


「ウィンドウィップ」


俺はメメ博士の目をそっと伏せた。

風の魔法を使った時、うねるようなカマイタチが次々とモンスターの首を切り落としていく。

そして向かってきたすべてのモンスターの首が落ちて、そのまま倒れる。


「何か、すごい音がしたのだよ。大丈夫なの?」

「大丈夫だ。後ろを向いて鼻を抑えてろ」

「何が起きてるのか、全く分からないのだけど」


メメ博士は困惑しながらも大人しく後ろを向いてくれた。

さてと、モンスターの駆除は済んだ。

後は持って行くだけだ。


「永久の白宝」


クリシナのオリジナル魔法だ。

やっぱり汎用性が高いな。

覚えさせてくれて助かった。

俺は洞窟の中に転がっている宝石を拾って行ってポケットにしまう。


「まだ鼻をぶざいでないどいげないのが」

「もういいぞ」


メメ博士は鼻を抑えるのをやめると鼻で深呼吸をする。


「はあ、ようやく離せたのだよ。それで一体何を‥‥‥あれ?ここに居たモンスターは何処に行った?」

「全部この宝石に閉じ込めた。少し持ってくれるか」


五個ほど宝石に閉じ込めたモンスターをメメに手渡す。

メメは何が何だか分かってない様子だったが、その宝石を素直に受け取ってくれた。

そしてその一つ一つをまじまじと見る。


「余り中を見ない方がいいぞ、首が落ちたモンスターが見えるから」

「うげ!?そんな物見せるんじゃないのだよ!」

「いや、見ていたのはメメ博士で。まあいいか」


そのまま洞窟を出て行くとメメ博士も後に続いて洞窟を出る。

すると真横に立ってこちらに近寄って来る。


「ねえ、結局ご飯はどうなったの。いつになったら食べるの」

「大丈夫だ。もう飯屋に向かう」

「それならいいのだよ。それで一体どんなご飯屋――――――」


ドカアアアアアアアアン!!


「‥‥‥あの、爆発が起きてるんですけど。お店から物凄い爆発音と煙が立ち込めてるんですけど」

「まずい!死ぬぞ!!」

「死ぬのか!やっぱり結構まずい感じなの!」

「くそ!仕方ない、俺がお店の中で巻き込まれた人が居ないか探してくる!メメはすぐに師匠を呼べ!」

「ええ!?ちょっと、急に。私ゼット師匠の居場所なんて知らないから!」

「イズナさあああああん!今助けに行きまああああす!」

「ちょっと話聞いてるの!猪突猛進か!少しは周りを見てよ!」

「けほっけほっいやあ参ったなあ」


その時、煙にまみれたお店の名から煙を払いのけて誰かが出て来た。

あれはもしかしてイズナさん!

よかった、だがすぐにでも店から出さなければ二次災害が起きる可能性もある。


「あっ何か人が出て来たのだよ。どうやら無事で」

「イズナさあああああん!」

「あっデュラさん。来てくれたんですね、うれし――――――うぐっ!」

「ちょっと!何やってんの!何でその勢いのままぶつかるの!」

「イズナさん!?どうしたんだ!どうして動かないんだ、やっぱり爆発の影響で!」

「お前が頭から突っ込んだからだろうが!」

「何をやってるんだ」


その時、倒れたイズナさんを抱きかかえていると煙からゼット師匠が出て来た。


「ゼット師匠、居たんですか」

「飯食いに来ただけだ。それで何やってるんだ」

「大変だ、ゼット師匠!イズナさんが爆発に巻き込まれてそれで‥‥‥」


その時抱きかかえられていたイズナさんがゆっくりとその身を起こした。


「えっと‥‥‥私は大丈夫ですよ」

「あれ?」

「はあ、相変わらず小さい事を大きい事にするな。この店が爆発する何て日常茶飯事だろ」


ゼット師匠はそう言うと、イズナさんの手を取ってそのまま立ち上がらせる。


「どうやらメメも来たみたいだな。入れよ、イズナの飯を食べて来い」

「え?あ、はい」

「どうやらイズナさんは無事みたいだな。よかった」

「いやいや、ほとんどお前のせいなのだよ!」

「ほら、喋ってないで来い」


俺とメメ博士はゼット師匠の言葉でお店の中へと入って行く。

少し煙たいが風邪の魔法を使って何とか店の中に充満した煙を外に出すことは出来た。


「ごめんねえ、ちょっとお料理失敗しちゃって。お店の中荒れてるけど、適当な所に座っていいから」

「爆発する料理作るってどういうことなのだよ。そんな危険な料理聞いた事がないのだよ」

「安心しろ。爆発の原因は新作料理を試していたからだ。お前らに出すのは爆発しない安全な料理だ」

「やっぱりガンガンを三百度で熱すのはまずかったみたい。熱がこもりすぎて暴発しちゃったもの」

「三百度!?石炭でも生み出そうとしてるんですか!」

「大丈夫だ。イズナさんのモンスター料理は絶品だ」

「モンスター料理!?普通の料理じゃないの。博士は出来るだけ普通のが食べたいんだけど」

「ごめんなさいね。それは無理なの。普通の食材を使うと、何故か炭が出来上がってしまうの」

「そりゃ出来るのだよ!料理に三百度使ってれば何もかも灰になるのだよ!」

「そんな事よりイズナ。はやくこいつらに飯を食わしてやってくれ」


ゼット師匠がそう言うとイズナさんは思い出したかのように両の手を合わせる。


「そう言えばさっきのお料理で食材が消し飛んじゃったんです。だから狩り足しに行かないと」

「ごめんなさい。今の言葉一つも聞き取れなかったんですけど」

「大丈夫だ。ここに来るんだ、手土産はちゃんと持ってきてる。メメ博士、持ってきた宝石を渡してあげて」

「あっそう言えばそうだったのだよ」


ポケットに入れていた宝石を取り出すと、メメ博士も持っていた宝石を取り出す。

それを見たイズナが目を輝かせてそれを受け取る。


「わああ!いつもありがとうございます。それじゃあすぐに作ってきますね」


大量のダイヤを抱えたイズナはウキウキとしながら奥の厨房へと向かって行った。


「それにしても師匠が居るとは思いませんでした。てっきり仕事に出かけているのかと」

「仕事は正解だ。今は昼飯を食いに来ていただけだ。その時にちょうど新作を作っていたからな。味見をしようとしたら爆発した」

「日常茶飯事って言ってたけど、本当に大丈夫なの?また奥で爆発が起きたりしない」

「安心しろ。普通に作ってる時にそんな事は起きない。大体は新作を作るときだ。他にあるとすれば」


ボゴオオオオオン!!

その時厨房の奥から何かが壊れた様なそんな音が聞こえて来た。


「おい、デュラ。さっき宝石を渡していたが、あの中に居るモンスター人型のサイズだよな」

「デュラ師匠、洞窟に住むほどの大型のモンスターです」

「そろそろ増築するか」


天井から見える巨大なモンスターを俺達はただ見つめていた。



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