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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その四十五 犠牲者

デュラが放った宝石魔法の解放により、ガイスの体は一瞬にして凍り付く。

それだけにはとどまらず、後方の建物ごと巻き込んだ巨大な氷の塊が生成される。


「ガイス自身が放った魔法だがこりゃ圧巻だな」


その光景を見てガイスは思わず言葉を零す。

だがデュラは依然として警戒を緩めなかった。

それはたとえガイスが放った魔法だろうが、ガイス自身には何の意味も無いと言う事を理解していたからだ。

クリシナは氷の魔法が解かれる前に再びオリジナル魔法を展開させて待ち構える。

その時巨大な氷に亀裂が走った。


「来る!」


ブライドがそう確信した瞬間、氷の亀裂が一気に広がると共に炎が氷の中から溢れ出していき周りの氷を一気に溶かしていく。

それにより大量の水が街の中へと浸水していく。


「この程度で俺を止められると思っていたのか!」


その瞬間、別の魔法陣を展開させる。

それが何の魔法陣なのか気付いたリドルは瞬時に周りに知らせる。


「皆!飛べ!!」


ブライドの緊迫した口調からクリシナたちは瞬時にその場を離れていく。

だがその様子を見てガイスは不敵な笑みを浮かべる。


「おそい、ディザスターサンダー」


巨大な魔法陣から数多の雷が降り注いでいく。

それは水を伝って行き、下に居るブライドたちに襲い掛かる。

水に濡れていたブライドたちはその伝達に抗う事が出来ずに、直撃する。


「があっ!?」

「ぐっ!」

「うぐっ!」

「ああっ!」

「がっ!?」


その強烈な電撃は水を経由したおかげで威力は抑えられたが、それでも体の自由を奪うのには十分な威力だった。


(体が痺れて動けねえ。まずいな、不覚にも一撃を貰っちまった)


地面に倒れたまま動けないでいるブライドたちをみて余裕の態度でガイスは歩み寄る。


「確かに俺の魔法を俺にぶつけるという案は中々いい。だが自分の魔法で死ぬ馬鹿はいない、それに各々が自分の火力に自信がないと言っているようなもんだ」

「くそ、が‥‥‥」

「俺の魔法を直に浴びたんだ。すぐには動けないだろう。安心しろ、全員まとめて俺が殺して――――――」

「インパクト!!」


その瞬間、ガイスの真横に魔法陣が展開され衝撃波が襲い掛かる。

だがガイスは吹き飛ばされることなくその場に止まった。

そしてかつの方を心底呆れた視線を向ける。


「お前はそればかりだな」


そう言うとかつの背後に魔法陣を展開させる。


「ワープ!」


かつはすぐさま魔法でその場を離れる。

だがその離れた方向にはすでに別の魔法陣が展開されていた。


「お前の手はもう見飽きた。コアを殺した魔法使い、楽しめると思っていたがもうお前は死ね」

「俺は、まだ――――――!」


その岩の魔法はかつを押しつぶそうと真っ直ぐ飛んでくる。

その瞬間、かつの前に魔法陣が展開された。


「カウンターーー!」

「っ!」


ガイスの魔法がその魔法陣に直撃する。

だがその魔法はガイスの魔法を完全に跳ね返すことは叶わずにそのまま魔法陣がはじけ飛び、かつの体が吹き飛ばされる。


「くそ!強すぎるだろ!」

「お前も粘るな。だが死ぬのが先延ばしになっただけだぞ」

「それはどうだろうな。別に俺はお前の役割はお前を倒すわけじゃない」

「何?」

「ただのつなぎ役なだけだ」

「何を‥‥‥!」


その時ガイスは気付いた。

すでに地面に倒れているブライドたちの姿がない事に。


「王の領域!」

「同じ手段が二度も通じると思うな!」


ガイスの足元に展開された魔法陣から逃れるように走り去ろうとした時、もう一人の魔法使いがその隙を見逃さなかった。


「悪いが、逃がさねえぞ」

「ブライド‥‥‥!」


二人の視線が重なり合い、そしてブライドは魔法陣を展開させる。

その魔法陣の展開先はガイスの足元、ガルアのオリジナル魔法に被さるようにして展開された。


「百発百中!」

「何!?」


その瞬間、ガイスの足が止まる。

百発百中、そのオリジナル魔法は魔法陣に対して効果を発揮させる。

対象の魔法陣に被さる事でその効果に必中効果を付与させる事が出来る。

不可避の一撃だ。


「喰らえよ、王様!雷撃」


身動きが取れなくなったガイスの体に向かって二度目のガルアの一撃が入る。

その時ブライドたちはほんの少しだけ希望を抱いた。

ガルアのオリジナル魔法はガイスに一撃を入れる可能性がある魔法だ。

それが二度も入ればいくらガイスと言えど相当なダメージが入る事は確実だった。

だがブライドはすぐに気を引き締めるとすぐさま攻撃を続ける。


「続けろ!」

「分かってる!エング、借りるぞ。インフェルノキャノン!」


デュラはエングのオリジナル魔法を借りてその一撃を放った。

ガイスの体が炎と共に吹き飛ばされるが空中に投げ出された瞬間、巨大な宝石がガイスの身を包んだ。


「愛の赤宝」


最初の頃よりも満身創痍なガイスならばこの宝石の中から脱出するすべはないと踏んだ。

確かにガイスは魔力レベルが下がった状態で二つのオリジナル魔法の攻撃を受けている。

その状態であればガイスは確かに瀕死の重傷を負っていたはずだ。

だがガイスはなぜあの一撃を受けたのだろうか。

その思考に至ったのはブライドが最初だった。


『ガルアの一撃は俺のオリジナル魔法を施してるから喰らうのは当然だが、デュラの一撃は避けられたはずだ。なぜわざわざ受けるような真似をした』

「いや、違う。わざと受けたのか!そうなるとあれはブラフ、クリシナすぐにそこから離れろ」

「え?それよりも出てきた所を追撃した方がいいんじゃ」

「その必要はないぞ」


その声は背後から聞こえて来た。

クリシナは咄嗟に後ろを向くがそれよりも先にガイスの手がクリシナの体に触れる。


『まずい!』


クリシナはその瞬間死を連想させる。

切り替えによる一撃はクリシナにとって死を意味していた。


「クリシナ!!」


ブライドは瞬時にクリシナの元へと急ぐ。

それに続いてデュラとガルアも続くが明らかに間に合う距離には居なかった。

魔法陣を展開するが、ガイスは発動するよりも先に魔法陣を展開しそれを妨害する。


「くそ、なら王の――――――」

「お前は目障りだ」


その瞬間、ガルアの上空に巨大な岩が出現しガルアの元へと落ちていく。

ガルアはその対処に追われ、オリジナル魔法の展開に遅れる。


『ここまでか、ちょっと早かったけど。でも頑張った方かしらね』

「ブライド、皆‥‥‥勝ってね」

「先ずは一人目」


ゆっくりとクリシナは目を閉じて自分の運命を受け入れる。

そしてガイスの一撃がクリシナの体へと注がれる――――――


「ワープ!!」


その前にかつがガイスの元へとワープで向かう。

この状況でかつが取った行動は自らも切り替えによる一撃を行なう事だった。

ガルアと同じくガイスに唯一ダメージを与えられるオリジナル魔法。

かつはガイスの体に触れることに成功する。

今まで魔法陣のみのインパクトしか打って来なかった為、ガイスからしては予想外の一撃だった。


「じゃあな、ガイス。ブレイクインパクト!」

「く――――――!」


ガイスはクリシナを投げ飛ばすとかつの首を鷲掴みにする。

だがガイスの身には何一つ変化は起きていなかった。


「まさか、騙したのか」

「へへ、クリシナを離してくれてありがとよ」

「ははったまげた根性だ。女一人の為に命を捧げたのか」

「そんなんじゃねえよ、ただ仲間を失うよりはマシだと思っただけだ」

「くだらないな。だがその勇気ある行動に敬意を表して、一瞬にして息の根を止めてやろう」


首を絞める力が強まると共に魔力も高まって行く。

クリシナはただその姿を見続ける事しか出来なかった。


「悪いな、約束守れなかった」

「かつ――――――」


その瞬間、かつの首は吹き飛ばされた。



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