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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その四十二 襲来の王

「さてと、そろそろ俺達も動き始めるか」


かつが無事に島に到着したことでブライドも動き始める。


「メメ、残り時間は?」

「もう一時間を切っているのだよ。そろそろ動き始めた方がいいね」

「そうか、皆も心の準備をしておけよ。あと少しで本格的な戦闘が始める。それが始まればもう後戻りは出来ない。覚悟は出来てるだろうな」


その言葉に皆が力強く頷く。

その瞳を見てブライドは満足げに笑みを見せる。


「よし、それじゃあ行くとするか!各自持ち場に付け!!」


その号令と共に皆は一斉に各々の役割に応じて移動を開始する。

―――――――――――――――――――

リドルたちは一度ミノルを安全な場所まで運ぶと、ゆっくりとミノルを下ろした。


「ミノルさん、大丈夫ですか」

「ありがとうリドル、長い間眠ってたから体がなまってるだけ。歩いていればその内元に戻るわ」

「無理をする出ないぞ。お主は起きたばかりなのじゃ」

「大丈夫、仲間が頑張ってるのに私だけこれ以上休むわけにはいかない物」


そう言ってミノルは立ち上がると体をほぐす様に捻ったり屈伸をしたりする。


「ミノルさんはアイラと一緒にシェルターに隠れてください。あそこは一番安全ですから」

「行かないわよ、私は」

「え?まさかミノル戦うつもり?」

「戦えるのかお前は」


その時、後から追いかけて来たブライドがリドルたちと合流する。

そしてその質問を投げかけられたミノルは表情を曇らせる。


「目覚めたばかりでまだ試したことはないけど、多分無理。そもそも今の私の体には魔力が無いように思えるの」

「魔力がないですか。それはまたどうして」

「確かお前は薬を用いて一度生死の境を彷徨ったらしいな。そしてそれを治すために再び薬を使った、そうだな」

「うん、そうみたいね。ぼんやりだけど、何かを打たれたような気はするわ」

「なら、その副作用と考えられるだろうな。お前が中々目覚めなかったのも、そう言う体の構造になる為の時間がかかっていたのかもしれない」


ブライドの見解にミノルは顔をしかめる。

自分の現状を受け入れられないと言う意味はあるが、目覚めたばかりで今までの時間を埋め合わすための協力が出来ないからだ。


「もしかしてその耳も機能してないのか?」

「ううん、耳と尻尾はちゃんと感覚はあるわ。でも魔力だけが感じられないの」

「命あるだけで充分だろ。本来なら死んでもおかしくなかったんだ。その代償が魔法を使えなくなるだけなら、ラッキーな方だ」


そう言ってブライドは笑った。

ミノルも気にせずに行こうと思ったが、やはり自分の無力さを悔やんでしまう。

それに気づいたリドルは咄嗟にフォローに入る。


「ミノルさんは十分頑張りましたよ。後は僕達に任せてください。デビさんも一緒なら安心でしょう」

「さっきも言ったけど私は行かないわよ。ここに居る、戦えなくても戦場に身を止まらせる事は出来る。皆が命懸けで戦ってるのに、私だけ安全圏で見守るわけにはいかないでしょ」

「それなら私も残る。ミノルと残るわ」

「アイラ、あなたまで何を言ってるんですか!2人ともいい加減にしてください、この地に安全な場所なんて無いんですよ」

「なら、博士の研究所ならどうかな」


するとメメ博士が不敵な笑みを浮かべてこちらにやって来る。


「博士もまだやるべきことが残っててね、それに助手は多い方が助かるのだよ」

「何か力になれる事があるなら何でもするわ。アイラも一緒に来るわよね」

「もちろん、私も出来ることはする」

「なら妾も手伝ってやるのじゃ。リドル、安心せい。こやつらは妾が責任をもって守るのじゃ。あやつには指一本触れさせん」

「‥‥‥はあ、分かりましたよ。お二人の意思は固いみたいですし、デビさんが居るのなら譲歩しましょう。ただし戦場には来ないようにしてください。魔法使いですら死ぬ確率が高いんですから」

「当たり前でしょ、そんな無茶はしないわよ」


そう言ってミノルは笑みを見せる。

それに対してリドルは少し疑いの眼差しを向けるが、納得するように息を付く。


「それではメメ博士、後はよろしくお願いしますね」

「任せるのだよ。さあ、助手の皆私について行くのだよ」


ミノル達はメメの後を付いて行った。

そしてその場にリドルとブライドが残された。


「リドル、デュラがいつもの場所に集合と言ってたぞ。早く行ってやれ」

「はい、分かりました。それじゃあブライドさん、また後で」


リドルはデュラの元へと向かう為にその場を離れて。

それによりブライドだけがその場に残される。


「さてと、そろそろ位置に付くか」


ブライドも自らの役目を果たす為にその場を移動した。


―――――――――――――――――――――――――

シアラルスの森の中


襲撃まで残りわずかとなった頃、監視を行っていたハイ&ローも緊張した面持ちで城を監視し続ける。


「あとどれ位だ」

「時間からして残り五分だね。ああ、ゲロ吐きそう」


緊張からかキャラ付けを忘れてローは吐き気を催していた。


「おいここで吐くなよ。俺だって心臓爆発しそうなんだよ」


双眼鏡を握る手からも手汗がにじみ出る。

城の監視から目が離せない、少しでも視線を逸らせば一瞬で居なくなってしまいそうな気がしているからだ。

それほどハイは自分の役目に責任を感じていた。


「あとどれくらいだ」

「えー残り五分」

「はあ!?まだ一分も経ってないのかよ!ちゃんと測ってんのか」

「測ってるに決まってんでしょ!だったらあんたが測ればいいんじゃないの!」

「監視と時間の確認をしてたらお前は何をするんだよ!」

「私はあれよ、ガイスが来た時に来たぞって知らせる係りよ。そうよ、それが私の役目」

「じゃあ、通信機はお前に渡しておくぞ。ちゃんと報告しろよ」


ハイは自分が持っている通信機をローに投げ渡す。


「ちょっと乱暴に渡すな!壊れたらどうするわけ」

「そんな事で壊れるわけがないだろ!いちいち大袈裟なんだよ!」

「はあ!?壊れますー機械は繊細なんですー」

「壊れませーん!機械は頑丈なんですー」


そう言いながら二人は睨み合いをする。

この緊張状態の中で極限まで神経質になってしまっていた二人は、ちょっとの事で喧嘩にまで発展したのだ。

だがそんな事をしている時間は本来の二人には無かった。

そしてそれは始まった。


「っ!?な、何この地響き!」

「ロー!あの城を見ろ、揺れてるぞ!」


城が突如揺れ出すとそこから崩落していく。

そして次の瞬間、城が一瞬にして吹き飛んだ。


「まずい!!」


爆発音と共に巨大な瓦礫が周りに飛び散って行く。

ガイは咄嗟にローに覆いかぶさり、その場を何とかしのごうとする。

そして周りが静かになった時にゆっくりと顔を見上げた。


「何が起きたんだ‥‥‥」


状況が全く理解できない中、城があったはずの場所に人影が見えた。

それはその場に悠然と立っており、その人物がこの城の破壊者だと言うのが容易に想像できた。

そしてそれが誰なのかも、見るまでも無かった。


「ウォーミングアップはこれ位で十分か。さてと、行くとするか」


その瞬間、周りの瓦礫を吹き飛ばす程の暴風と共にガイスの姿が消えた。

そしてローはハイがそう言う前にすでに通信機に手を伸ばしていた。


「ガイスが来る!!」



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