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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その三十四 拳一つ

「うおおおおおおお!」

『おらああああああ!』

「ぐっ!」


俺達は互いの拳を相手の顔面にぶつけると、俺は体を思いっきりのけ反らせる。


「くっ!」

『どうしたおい、全然効かねえぞ』


ロボットは余裕そうにこちらを見据える。

巨大なロボットの中から出て来た人型の俺より一回り小さいロボット。

あの巨大なロボットの時とは違って火力は格段に落ちている。

その分素早さと小さい体を利用した格闘技を駆使して戦って来る。

さらに。


「っ!」


俺は拳を握りしめてロボットに一撃を入れる。

だがロボットは微動だにせずにその場に立ち尽くす。


『効かねえよ!!』

「ぐはっ!?」


腹を思いっきり殴られ思わず悶絶して地面に転がる。

あの鉄の装甲、こっちのダメージは全く入らない上にこっちの一撃とは段違いだ。

殴れば殴るほどこっちにダメージが入る。

魔力がそこを尽きた今あいつを倒せるとしたらこれしかねえけど。


「くっ手が」


血まみれだ、骨まではまだ行ってないけどこのままやれば使い物にならなくなるかもしれない。

まるで鉄の壁に一心不乱に殴り続けているようだ。

無意味という言葉が頭に過ぎる。

でもここで諦めるわけにはいかない、まだ始まってすらいないんだから。


「うおおおお!」

『諦めの悪い奴だな!お前じゃ俺は倒せねえよ』


俺は拳を握りしめてロボットへと向かって行く。

ロボットは素早い動きでこちらをかく乱するような動きをする。

俺も同様に足を動かしてその動きに対応する。

こっちも足には自信があるんだ、そして足以外にも拳だって鍛えて来た。

それを今こそ使う時だ。


『骨が砕けるまで殴り続けてやるよ!』

「ぶっ壊れるまでやってやる!」


ロボットが振り下ろしていく拳を紙一重で避けるとカウンターを喰らわす様に、ロボットの顔面に一撃を入れる。


「ぐっ!」

『っ!損傷率0.1パーセント。驚いたまさか拳で俺にかすり傷を付けるとは。だがこの程度何度喰らおうが意味ねえよ!』


やった、入った!

でも手が、もうやばい。

一瞬の怯み、ロボットはその隙をついて足蹴りを俺のわきに入れる。


「があああっ!!」


強烈な痛み、体が浮くほどの威力で何かが大きく歪んだ感覚がする。

あばらが折れた、やばいな満身創痍だ。

拳も握るのが辛くなって来た。

さっきの一撃を入れてそれでつい嬉しくなって油断しちゃうなんて。


「馬鹿だな本当」

『それがお前の遺言か?』

「ちげえよ。今のは弱音だ。でももう大丈夫だ。もう吹っ切れた」


ここで負けるわけには絶対に行かない。

でもここで倒れる訳にもいかない。

だとしても全力を出さないわけにはいかない。

拳はもうまともに握れない、だったら補えばいい。


「あれからそれなりに時間は経ったよな」

『あ?時間稼ぎでもしていたのか?』

「そんな感じかな。アイス」


俺は拳に氷を纏わせる。

握る事は出来なくてもこれでグローブのような状態で拳を振るう事は出来る。

この魔法は大した魔力を使用しない、だからこそまだ長い時間戦えるはずだ。


『まだやるつもりか?どうせ死ぬのに』

「死なない為に戦うんだろうが!」


俺は拳をロボットに向かって振るう。

痛みを除外した全力の一撃、氷を纏ったその拳を装甲に入れる。


『っ!何だ、これは』

「おおおおおおお!!」


そして何度も何度も一撃を入れ続ける。

氷がその衝撃でひびが入って行くがその度に補強していく。


『損傷率十パーセント!?ありえない、こんなのありえねえ!!』


拳を受けながらロボットは反撃する為に手を出そうとしてくる。


「ソイル!」

『っ!?レンズに汚れが!?』

「ウィンド!!」


俺は風の魔法を用いて拳を振るう速度を速める。

それによりロボットですら対応できない程の速度で連続して攻撃を当てていく。


『損傷率、くそそんな物必要はない!お前を殺せばそれで解決だ』


ロボットは俺の拳を避けていく。

この反射速度とデタラメな動き、やっぱりロボットだな。


『おらあああ!』

「くっ!」


俺の拳を掻い潜って、ロボットは再び俺の脇腹に拳を入れた。


「ふぐっ!うっうがああああ!」

『っお前!』


俺は折れた脇腹に追撃を喰らい、発狂するほどの痛みを負ったがそれでも引くべきではない。

俺は痛みを大声でかき消して叩き落とす様にロボットを地面に衝突させる。


『っ!これは!』

「ファイヤーボム!!」


さらに拳がぶつかる瞬間に炎の魔法で爆発を起こして威力を補強する。

もう体の限界とかそんなのは関係ない、ここでこいつを倒すことに意味があるんだ。


『おかしい、おかしい!なぜだ、こんな威力、拳だけでここまで出せるわけがねえ!お前は人間のはずだろ。この威力は、この数値は、人間を超越してる!』

「おおおおおおおお!」

『お前は一体何なんだ!』


拳を握り風、氷、炎、力、それらを合わせた全力の一撃を繰り出す。


「俺は半獣だ!」


顔面にクリーンヒットした瞬間、バチバチと言う音と共にロボットから煙が出たと思いきや爆発する。

そしてそのまま吹き飛ばされたと思いきや、地面を転がりそこから動かなくなる。


「はあ、はあ、はあ‥‥‥終わった」


達成感と共に襲って来たのは脱力感、腕をだらんと垂らしてそれ以上動かすことが出来ない。

限界は越えていた、風の魔法で動きを補助したおかげで何とか振るう事は出来たけどもう駄目だな。


「‥‥‥お前もしぶといな」


立つのも精一杯の状況の中、顔半分の中の機械部分が露出し体を凹ませ、両腕を失ってもそのロボットは立ち上がった。


『が——————ぎっが——————』

「もうろくに喋れもしないじゃねえか。そういう部分が壊れたのか」

『ビ――――――』

「でももう終わりだ。これはまだ本番じゃないからな」

『ガガガ――――――ガガガガガガガガガ』


ロボットが歩くたびに体中の部品が落ちていく。

中身が露出し、胸の辺りに大きな球体が埋め込まれていた。

それは明らかに重要な部分だった。

ロボットは歩いて行くとそのままこちらに体を預けるようにしてぶつかって来る。

そのまま止まることなくぶつかりながら歩みを進める。

どうやら視覚機能がもう機能していないのだろう。

俺は一歩後ろに下がりロボットとの距離が空いた時に風の魔法で腕を上げるとその球体に手を添える。


「ウォーター、サンダー」


水に濡らした後、雷の魔法を使う事でショートさせる。

そして球体から光が失った時その歩みも止まり、鉄の塊となったロボットが地面に倒れる。


「はああああ、ようやく終わったあああ」


深いため息と共に思わず背中から倒れそうになるが、何とかそれをこらえる。

まだ終わるわけにはいかない、大事な任務があるのだから。

すると通信機から声が聞こえて来る。

いつの間にか通信が来てたのか。


「こちらウィン、ロボットはようやく倒した。皆はどうだ」

『かつ!!ようやく繋がったか、中々返事が返って来ないからどうしたのかと思ってたぞ』

「ブライド、大丈夫。俺は平気だよ」

『かつ、かなり疲労しているな。声がガラガラだぞ、だが勝てたみたいでよかった』

「ありがとなガルア。かなりギリギリだったけど、まあ何とかなったよ」


正直立っているだけでも限界なんだけどな。


『かつっちが負けるわけないよ!』

『無駄話はやめておけ。時間がない、全員が突破したところで始めるぞ。装置は壊れてないよな』


俺はちらりと横目で隣で飛んでいるドローンを見る。

見た感じ壊れてはなさそうだ、正直途中から無我夢中だったから配慮してる余裕はなかったし。


『柱の所に近づき、その装置をくっつけろ。良いか同時にだぞ。俺が合図をしたら一斉にだ』

『合図ってどういうの?』

『合図はそうだな、一、二の三で行くぞ』

『それって三のさでいくの?それとも、んで行くの?』

『んだ。ていうかそれ位察しろ。着いたか!着いた奴は返事をしろよ』


俺は装置を持って行き柱の前に立つ。

そして着いた事を報告すると通信機から全員が着いた事が知らされる。


『それじゃあ行くぞ。一、二のさん!』


そしてんが聞こえるタイミングで俺は柱にその装置をくっつけた。

装置は柱に吸着すると、電子音が聞こえて来てそしてピーっという音共に緑のランプが光った。


「終わったのか?」


その時通信機からメメの声が聞こえて来る。


『みんなご苦労!柱に停止プログラムが送られたことを確認したのだよ。これで完全に柱を停止させる事が出来るのだよ。ネット回線が繋がったら早速地図を取得して最適な場所を割り出すから、後は任せて。それじゃあ戻ってきてもいいよ』

『俺からもみんなご苦労だったな、傷を負った者はすぐに治療を受けると言い。それじゃあ解散だ』


その言葉と共に通信機が切れた。

こうして最初の作戦が無事に成功した。



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