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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第四章 地獄の一週間
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その二十四 コロット村からカルシナシティへ

ん……何だ?外が騒がしいような気がする。

後もうちょっと寝たいのにこれじゃあ寝れない。

しかも妙に視線を感じるような。

ああ、頭があまり働かない。

一旦顔洗ってからもう一度寝るか。

そう思い重い体を起こした瞬間弾けるような大きな音が部屋中に響き渡った。


「な、何だ!?」

「おはようございますかつさん!さあさあ早く起きてください」

「え?ちょ、え?え?」


寝起きのせいなのもあって状況が理解出来ない。


「ちょ、ちょっと待って!もしかして村長か?」

「はい、村長です」


ようやく状況が理解できるようになって来たがまだなぜこんな事になっているのかはさっぱり分からん。


「いや、はい村長ですって……ていうか何でここにいるんだ?なんか知らない人いっぱい外にいるし」


みんな窓から手を降ったり、騒いでる人などがたくさんいた。


「迎えに来たんですよ。みなさんを」

「え?迎えに来たってどういうこと?」

「食事にですよ。昨日自分で言ってたじゃないですか?」

「え?そんなこと言いましたっけ?」


昨日の出来事を思い出すために覚めきってない頭をフル回転させる。


「あ!もしかして寝る直前に言ったやつか?」


なんかぼんやりとそんなことを言ったような気がする。


「そうです!それです!それでは早速皆さんを起こしていきましょう」

「ちょ、ちょっと待て!もしかして今から行くのか?」

「そうです今です」


まずいな、俺あんまり朝は食べれないタイプなんだよな。

せっかく作ってもらったのに食わないのは失礼だよな。


「もう少し後には出来ませんか?」

「それは無理ですね。温かいうちに食べてもらいたいので。この日の為に作物を急いで収穫して更に1日かけて料理もしたのでね」


そんな事言われたら余計食べなければいかなくなってしまった。

そんな話を大声でしてしまったせいで他の寝てたみんなも起きてしまった。


「何じゃ?騒々しいのう」

「かつ……もうちょっと静かにして、まだ眠たいのよ」

「ちょっと黙って下さい」


しまった、騒ぎすぎたか。

まあ丁度いいし説明するか。

眠たいみんなを無理やり起こし現状を説明した。


「やったー!飯じゃ飯!はよたべにいくぞ!」


昨日からお腹空いていたと愚痴っていたデビは予想通り食べる気まんまんだ。

だが他の仲間は……


「う〜ん……私朝はあんまり食べれないのよね」

「僕もですね。さっと食べられるくらいのものなら食べられるんですけど」


俺と同じ食べられない人ばかりだった。


「じゃあ妾1人で全部食べるぞ!」


本当にそうなりそうだからなんか怖い。


「とりあえず行ってみるか」

「そうね見ないで帰るのも失礼だし」

「それじゃあ早速出発するぞー!」

「元気がいいなお前」


ご飯を食べるため一旦宿屋を出て行った。


「こちらです。ここに料理が置かれているので好きなものを食べてください」


飯屋に入った瞬間、大勢の人が俺達を迎え入れる。

そこには色とりどりの料理が机いっぱいに置かれていた。

やっぱりこの量なのか。

テビ以外のみんなは俺と同じ引きつった顔をしている。


「それじゃあいっただきまーす」

「い、いただきます……」

「さあさあ食べてください。私達の村の大事な作物です。味は保証しますよ」


そう言ってやけに色々な料理を勧めてくる村長に若干の面倒くささを感じながら一口食べた。


「うん、うまい!」

「それはよかった」

「この野菜もシャキシャキしてて美味しいわね」

「このアカマも甘くて美味しいですね」


ちなみにアカマというのは日本で言うトマトみたいなものだ。


「おかわりはないのか?」

「はや!もう食い終わったのかよ」

「何言っておるのじゃ。昨日は1日中飲まず食わずだったのじゃぞ。これくらい文字通り朝飯前じゃ!」


自信満々にドヤ顔で言われてもなぁ。

とりあえずご飯は残らなそうで安心したな。


「あのすいませんサインくれませんか?」


リドルが突然知らない女の人にサインを申し込まれている。


「はい。これでいいですか」


慣れた手付きでサインを書くリドル。

もしかして今までサインとか頼まれた事あるのか。


「キャー!ありがとうございます!」


嬉しそうな悲鳴を上げながら女の人はそのままサインを持ち帰った。


「お前すごいな」

「まああれだけの事をしましたしね。かつさんも多分サインして欲しい人いると思いますよ。あの人たちとか」


その先には少しよそよそしい女の人が居た。

ほんとだ少しこっちを見てるような気もするし。


「おいそこの娘さん。サインが欲しいならねだるといい」

「い、いいんですか?」

「皆さんいいですよね」

「はい大丈夫です」


するとその女の人が俺の所に向かって進んできた。

ああ、ほんとに異世界に来てよかったな、まさかこんなきれいな人にサインを頼まれる日が来るなんて。

だが後もう少しというところで急旋回した。


「え?」

「ミノルさん!サイン下さい!」

「へ?あ、私!?」

「はい!ミノルさんは私と同じくらいの年なのに私よりもしっかりしてて勇敢なところに惹かれました!お願いします」


ほとんど告白みたいな感じに、なってるような気がするのだが。


「あ、ありがとね。はい、どうぞ」

「ありがとうございます!」


満面の笑みで大事そうにサインを抱えながら帰って行った。


「…………」

「かつさんほらあっちの人は……」

「デビさんいいですか!サイン下さい!」


は?


「何じゃ妾の下僕にして欲しいのか?」

「はい!下僕にしてください!」

「俺も!」

「俺もだ!」

「何言ってんだ!俺のほうが下僕に向いてる!」

「安心しろ!みんな妾の下僕にしてやるぞ!」


俺は一体何を見せられてるんだ。

みんなの周りには人が居るのに俺の周りには誰1人も居ない。

何か思ってたのと違う。


「あのう俺のサインは……」

「あ、結構です」

「いや、ちょこっとだけでも」

「いえ、間に合ってます」


そう言って逃げるように帰って行った。

俺なにか悪いことしたか?

なぜこんなにも差があるんだ!


「くそぅ、しかも何でデビがあんなに人気あるんだ」


俺が現実を受け止め切れずうなだれていると目の前で誰かが立ち止まった。


「サイン頂戴!」

「え!よろこん―――」


そこに立っていたのは小学生くらいの小さな子がいた。


「何だ子供かよ」

「サイン頂戴!」

「あのなぁ、冷やかしならお断りだ」

「冷やかしじゃないよ!」


純粋な目で俺の心に訴えかけてくる。

贅沢は言えないよな。


「分かった。サイン書くよ。ほら貸して」

「やったー!」


まあこんなに喜んでくれるなら別にいいか。

ていうかサインなんて考えてなかったな。

まあ普通の名前でいいか。

そう思い書こうとしたその時手がピタリと止まった。


「どうやって書くんだっけ?」


そういえば今まで普通に読んできたけど異世界語なんて改めて考えると何で読めたんだ?

でも書きたい言葉が自然と頭に出てくる。

俺はペンに身を任せて書き進めた。


「出来た……」

「やったー!ありがとうお兄ちゃん!」

「ちょ、ちょっと待って!これ読んでみて」


俺は確認の為に自分で書いた文字を子供に読ませた。


「うん、いいよ。ぜったいかつ」

「うん、分かった。ありがとう」

「うん、ありがとねお兄ちゃん!」


そう言って笑顔で手を振りながら店を出て行った。


「書きたい文字ちゃんとかけたな」


何でかは分からないがもしかして俺を異世界に連れて来た女の人と関係があるのか?


「かつそろそろ行くわよ」

「え?もうそんな時間か」


気づいたら周りを取り囲んでいた人達が満足そうな顔を見せていた。


「それじゃあ俺たちもう行きます。ご飯ごちそうさまでした」

「いえいえ、お礼を言うのはこちらの方ですから。本当にありがとうございました」

「また越させていただきますね。次は観光で」

「はい、お待ちしております。次はちゃんとしたドラゴン料理を振るわせていただきます」

「楽しみにしてますね」


俺達は店を出て行きコ車乗り場に向かった。


「おいまたあれやるのか」

「しょうがないでしょ。かつはやらないからいいじゃない」

「いや……そうだけどこいつが異常に震えてるんだが」

「コ車もういやだ……」


あんなに元気一杯だったデビが一瞬にして顔色が悪くなり元気が嘘のようになくなった。


「そこのお嬢さん今回は何もしなくてもいいぞ」

「へ?そうなの」


その言葉に少し元気が戻る。


「この写真を見せてからコウバが張り切ってくれるようになったから、当分は何もしなくても走行できる」

「それってどんなやつだ?」

「これだ」


その写真はデビがいろんな格好をしている恥ずかしい写真だった。


「な!?なぜそれを持っておる……」

「これってもしかして」

「はい、僕がこの前見せようとした写真ですね」


なるほど、コウバはロリコンということか。


「その写真を今すぐ消せ!」

「駄目ですよ!これは貴重なコウバの動力源なんですから」

「ならばお前ごと消してやる!デビルオン―――」

「わー!何しようとしてんだお前!?」


その後デビとミノル、リドルと俺の組で乗ることで何とかデビの暴走は収まった。


「それじゃあさよなら!」

「またいつでも来てくださいね!」


みんなの姿がどんどん小さくなりついには見えなくなった。


「ずいぶん大変な休憩所になってしまいましたね」

「ああ……そうだな」


これからもっと辛い戦いをする事をまだかつ達は知る由もなかった。


《ただ今絶対かつ魔法レベル1 覚えた魔法インパクト 仲間 リドル、デビ、ミノル》








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