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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その三十 呼び出された者達

「いらっしゃーい、いらっしゃーい!どの商品も大特価!今だけの大バーゲンだよー!」


メイは街の八百屋さんで店の前を横切る客に対して呼びかけを行っていた。


「メイ、嘘は駄目だから。勝手にバーゲンセールを開催しないで、店主が困るでしょ」

「うう、めんどくさい。何で俺がこんな事を」

「ええーいいじゃん、安い方がみんな喜ぶよ。だよね、店主さん」

「元々客何て寄り付かねえんだ。好きにしてくれて構わねえよ、嬢ちゃん。看板娘が居るおかげで以前よりも客が来てくれるようになったからな」

「みんなー!店主さんが無料で野菜を売ってくれるらしいよー!さあ、早い者勝ちだー!」

「そこまでは言ってねえよ嬢ちゃん!!」


メイの呼びかけにより少なかった客足が伸びていた時、街中にアナウンスが流れる。

メメの研究所に集まるようにという呼びかけでメイの名前が呼ばれた。


「メイ、名前呼ばれてないか」

「え?私?まさか呼び出されて人目の居ない所でお金を奪われちゃうの!」

「そう言う訳じゃないと思うけど、急ぎの用事みたいだから言った方がいいよ」

「でも、お店のお手伝いもあと五件あるし‥‥‥」


メイはこの後の予定を気にかけており研究所に行くのを躊躇ってしまう。

するとぺプロはそんなメイを気遣うように言葉をかける。


「ここは私達に任せて。他のお店の手伝いもカビットと手分けしてやるから」

「俺一人!?そんな話聞いてないんだけど」

「空気読んでカビット」

「皆‥‥‥分かった!それじゃあ後は任せたよ!皆、必ず生きて帰って来るから‥‥‥!」


そうってメイはぺプロたちに決意を固めて研究所へと走って行った。


「何で研究所に行くだけであんな大袈裟なの」

「元気なお嬢ちゃんだな!ほら、ボウズもしっかり働け。隅っこでいじけてないで愛想よく客に接するんだよ」

「くそう、無駄に元気なメイが居るからこういう役目は来ないと思ったのに」



カビットは諦めるようにため息をついて店の外で客たちの呼び込みを始めた。


—————————————————————

研究所には作戦に参加した者達とその作戦の過程で救助された者達で回復カプセルの部屋が分かれていた。

そのうちの救助された者のカプセルの部屋にガイが居た。

カプセルの中に居るのは研究所で半獣化の手術を強制させられ、生死の境を彷徨った人だった。


「もう安心だぜ、ここの医者はすげーんだ。いや、医者じゃなかったか?まあどうでもいいか、とにかくお前の体も直によくなる。半獣の体は治らねえみたいだけど、それでも生活に支障は出ねえらしいぜ。よかったな」


その人は眠り続けているがガイはその事を気にする事なく語り掛ける。

その時、背後の扉を叩く音が聞こえて来て、ガイは咄嗟に後ろを向く。


「こんな所に居たのかい。探したよ」

「サラ、何だお前かよ」


扉を開けて寄りかかっていたサラはガイが居る所へと歩いて行く。

ガイは一瞬サラの方を見るがすぐにカプセルの中に視線を戻す。


「この子が例の研究所から救った子かい?」

「ああ、会った頃は今よりもひどい姿だった。正直生きてるのが不思議なくらいだったぜ。だけどこいつはまだ息をしてて、だけどこいつは俺にこう言ったんだ。殺してって」


ガイは淡々とした口調で語る。

いつもの口調とは違うガイの様子にサラも少し慎重に言葉を選ぶ。


「なら、どうして助けたんだい」

「殺したくねえと思ったんだよ。それだけ、別に特にこれといった理由はねえよ」

「ふうん、そうかい」

「何だよ、その言い方。言っておくけどな、俺が助けたいと思ったから助けたんだ。俺が理解出来ない事を俺じゃないお前が理解出来るわけがねえだろ」

「分かってるよ、ただモンスターの襲撃以降姿が見えなかったからね。ガイの事だから帰って言ったモンスターの後を追って行ってそのままどっか行っちゃったのかと思ったよ」

「おい、俺を馬鹿だと思ってんだろ!」


サラの言葉に猛抗議する中、サラは再びガイに問いかける。


「その子はこれからどうするんだい?面倒を見るつもりかい?」

「知らねえよ、後の事はこいつの自由だろ。生きようが死のうが、自分の命だ」


それだけ聞くと白状に聞こえるかもしれないが、ガイは続けて言葉を紡ぐ。


「ただ、まだ命があるうちに死にたいと思う程の苦痛がどれほどのもんなのか俺には分からねえ。俺も死ぬ覚悟は等に出来てる。でもそれは最強になるときだ、それまでは死ぬつもりはねえ。そう思ってたらかつが俺の夢に最も近い奴になっちまった」

「絶対かつ、あの子も数奇な運命を辿るね。強者ゆえの辛さ、あんたはあんな風に死にたかったのかい」

「最強になって命を散らすなんて最高じゃねえか。だが俺はそれが出来ねえ、あいつだからこそ出来るんだ。俺は最強にはなれなかった」


ガイは珍しく落ち込んだ様子で声のトーンが下がる。

それを聞いたわざと明るい声でガイの背中を叩く。


「じゃあ、まだまだ死ぬわけにはいかないね。あんたはこれからも生き続けるそうだろ?」

「へっあたりめえだ。俺は死なねえよ、最強になるその日までな」

「なら、その子の面倒でも見てあげればいいんじゃないかい?」

「は?」


サラはカプセルに眠っている人を指差す。


「わざわざ戦闘狂のあんたが戦いが終わった後、真っ先に来たのがここならそう言う事だろ。守ってやんなよ、ガイが守った命なんだからね」

「めんどくせえな」


そう言いながらもガイはかすかに笑みを浮かべていた。

その時建物内でアナウンスが流れる、それにはガイが呼び出されていた。


「何だ?また何か合ったのかよ」

「メンバーを見るにただ事じゃないようだね。行ってきなガイ、ここはあたいに任せな」

「まっ面白そうだし良いか。じゃあそこは任せたぜ」


ガイはそう言うと呼ばれた場所へと向かって行った。


—————————————————————

研究所へとやってきた俺は数回扉を叩く。


「メメ、入るぞー」


それだけ言うと俺は扉を開いた。

中を見るとさっき来た時とは違ってロボットが動き回っている様子もなく、中央の大きな机に呼び出された人たちが取り囲むように座っていた。


「遅かったな、もうみんな集まってるぞ」


ブライドの言う通り俺以外の全員が集まっていた。

みんな早いな。


「悪い、所でこれ何の集まりなんだ。メンツからしてかなりやばそうだけど」


どいつもこいつも武闘派の連中ばかりだ。

いや、一人だけおかしい奴は居るか。


「もしかして皆ですごろくやるの?負けないよー目指せ子供百人!」

「残念だけど違うのだよ。ついに計画は整ったのだよ」

「何だよ、計画って。ガイスとやれんのか」

「その前にやらなきゃいけない事があるの。そうよね、ブライド」

「ああ、先ずはガイスを戦うための準備が必要だ。その為に柱を無効化させる」

「その準備が出来たのだよ!君達にはその任務を任せるのだよ」


そう言うと中央の机からホログラムが投影される。

それはこの島を取り囲む柱だった。


「さてと、これより島柱無力化作戦の概要を説明するのだよ!」



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