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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その二十八 友達の様子

「おいリツー魔石を持って来たぞ」


俺はリツが作業している部屋へとやって来ると中から作業音が聞こえて来る。

どうやら絶賛製作中のようだ、手伝っているロボットも忙しなく稼働している。

すると俺が来たことに気付いたリツがこちらへと駆け寄って来る。


「あ~ぜっちゃんだ~ようこそ~私の工房へ~」

「リツ、忙しそうだな。メメの頼みで転送装置を作ってるんだろ?」

「そうだよ~これは~私にしか出来ない事だからね~ほら見て~」


そう言うとリツは巨大な機械を指差す。


「あれが例の転送装置」

「うん~基礎は~私が作った魔法協会に~置いてある装置なんだけど~それを改良したんだ~」

「じゃあ、これも役に立つと思うんだけど」


俺はクリシナと共に手に入れた魔石をリツに渡す。

するとリツはわあって言う声と共にそれを受け取る。


「これって~ガイスの魔石~これがあれば~装置の改良が出来るよ~」

「役に立ったのならよかったよ。俺が出来ることがあれば何でも言ってくれよ」

「ありがとね~でも皆に~十分手伝ってもらったから~あとは任せてよ~」

「マキノとマイトは何処に居るんだ?二人とも技術班だろ?」

「二人は~雑務を~手伝ってもらってるよ~会いたいなら~会いに行く~?」

「いや、二人の邪魔しちゃ悪いし俺は行くよ。リツも頑張れよ」


俺はそれだけ言ってリツの工房を出て行こうと扉へと向かう。


「皆が~心配してたよ~」

「皆?」

「魔法協会の人達や~ぜっちゃんのお友達が~皆ぜっちゃんの事を~心配して~信じてたよ~」

「そうか、皆が俺の事をそんな風に」

「会いに行ってあげないの~話したいと思うよ~」

「そうだな、街の救助やモンスターの件でばたついてたから全然皆に会いに行けなかったし会いに行こうかな」

「うん~それがいいよ~」


リツは満足げに笑みを浮かべる。

魔法協会の人達、そしてサキトにも会いに行くか。


「じゃあ、また後でな」


俺は工房を出て早速街の方へと向かって行った。

街ではモンスターの襲撃による被害から復興を行なっていた。

この街の人々は強いな、何度も襲撃されているのにその度に前に向かおうとしている。

それはこの街の王であるムラキとガルアの存在が大きいのだろう。

王が居るから人々は信じて前を歩いて行けるんだ。


「おっ魔法協会が見えて来た。結構人が来てるな」


早速魔法協会へと入って行くと、中には大勢の半獣が居た。

この待ち唯一の魔法協会なだけはあるな。

従業員たちも窓口での対応や料理を運んだりと大変そうだな。


「おっかつ!!来てくれたのか!」


すると真っ直ぐこちらにウルフが走って来た。


「ウルフ!大分賑わっているみたいだな」

「まあな、私としちゃ仕事が増えてめんどくさいんだけどな」

「それは仕事をして居る人のセリフじゃないかな」


そう言いながらアカリはモップを手に持ちやって来た。


「アカリ、ていうかアカリもちゃんと仕事をしてるのか」

「もちろんだよ少年、私はここの床をピカピカにするという重要な任務を受けているからね。ほら、ここの床何て磨き過ぎて鏡みたいになっているだろう」

「いや、それは逆にやりすぎなんじゃないのか」

「もうーーーーいやだーーーーーー!!!」


突如魔法協会内でそんな叫び声が上がる。

思わずそちらの方を向くと誰かがこちらに勢いよく走って来た。

その人物は俺の見たことがある人物だった。


「サキト!?お前何でここに居るんだよ」

「かつ!おわっ!」


その瞬間、サキトは思いっきり滑ると頭を床に打ち付けた。


「誰だこんな所を無駄に磨いた奴は!危ないだろうが!」

「あちゃー早速被害者が出ちゃったか」

「もう待ってくださいよ!」


するとルルさんはサキトの後を追ってこちらへと駆け寄って来る。


「あっルルさん!そこの床気を付けて!」

「へ?ひゃっ!」


その瞬間、ルルさんはアカリが磨いた床に足を取られる。

転びそうだと思った時、咄嗟にウルフがルルさんを抱きかかえる。


「大丈夫かルル」

「あ、はいありがとうウルフ」

「アカリ、そこの床磨き過ぎだぞ。後で注意書きしておけ」

「分かったよ。さすがにやりすぎちゃったか。ルル大丈夫」

「おい、何でそいつの心配や転ぶのは止めたのに誰も俺を助けないんだよ」

「お前は別にどうでもいいからな」

「おいかつ!あんまりだとは思わないか!!」


そう言ってサキトは俺に泣きついて来る。


「サキト、そもそも何でお前がここに居るんだよ。てっきり部屋で休んでるもんだと」

「こいつらにこき使われてるんだよ!」

「別にこき使ってるわけでは、ただここで依頼を受け取った方の個人情報の管理と届いて来る依頼を纏める情報管理を手伝ってほしいとお願いしただけですよ」

「何だ、全うそうな依頼じゃねえか。正直こいつに個人情報の管理をさせるはかなり不安だけどな。お前からしても断る理由はないだろ」

「それだけ聞いたらな!最初はもちろん快く受け入れたよ。だがまさかそれをやるのが俺一人だなんて誰が思う!毎日毎日書類とにらめっこ、さらに全く必要事項が書かれていない書類の再提出の申請による二度手間、ストレスはたまる一方で缶詰で気が狂うんだよ!」


どうやらかなりの過酷な現場のようだ。

まあでもこういった事が出来る奴がこの街には居ないんだろうな。

他の魔法協会で働いていた人たちも、やっくる客の対応で精一杯だろうし。


「お前が快く引き受けてくれたから私達も安心して仕事を押し付け、じゃなくて任せられるんだよ」

「何が信用だ!俺の情報によるとこれはただの利用してるだけだろ!一ヶ月の休暇を申請する!このブラックが!」

「私達だってほぼ寝ずに働いてるっていうのにわがままな人だねえ」

「アカリ、昨日客に紛れてあそこの机で普通に料理喰ってたよな」

「それを言うならウルフだって誰も使ってない倉庫で昼寝してるじゃないか」

「ならお互い様だな、あははは!」

「そうだね、ははははは!」


そう言って意気投合するように笑い声をあげる。

こいつら全く仕事してない事を互いに告げ口しただけじゃねえか。


「ええっとお二人にはこの後溜まった仕事を渡すとして、サキトさんがそこまで苦しんでいるのは知りませんでした。たしかにサキトさんに甘えていた部分はあるかもしれません。ですが私達も現状を乗り越える為に必死に仕事をしています。辛い気持ちは分かりますが、どうか一緒に戦ってくれないでしょうか」

「ルルさんもこう言ってるし、後もうちょっと頑張ってくれないか?」

「‥‥‥かつ、本当に俺達は大丈夫なんだよな」


サキトがおもむろに俺にそんな事を聞いて来る。

やっぱり内心では不安を抱えているのか。


「ガルア様の演説、正直痺れたよ。だが俺はどうにも額面通りには受け取れなかった。虚勢を張っている部分も確かに見えた。情報を扱っている身からすると、聞いた物だけが真実とは思えない。俺達の未来を本当にガルア様は保証してくれるのか」

「もちろんだ、あいつはやると言ったらやる男だ。だから何も心配しなくてもいい」

「まっ私は心配してねえけどな。ガルア様って言うよりかはかつの方を信じてるし」

「え?俺?正直俺は何もしてないんだけど」

「ふっ俺を舐めるなよ。今回のモンスター襲撃事件、それを収めた奴がお前だって事を俺は掴んでるんだよ」


こいつ、忘れていたが情報屋としては結構優秀なんだよな。

いつの間にそんな情報を掴んでたのかよ。


「私も信じていますよ。今回も何か大きなことをしようとしてるんですよね。でも大丈夫です、私達はかつさんの帰りを待っていますから」

「頑張れよ、少年。君なら出来るさ」

「皆、ありがとう。任せて、この島は必ず守るから皆で力を合わせて」


あの事は言わないでおこう。

皆がここまで信じてくれるんだ。

そこに水を差すわけにはいかない。


「ルルさん!先程のお客様から素材の買取について苦情が。値段に納得がいかないと言って今にも暴れ出しそうだ」

「分かりました、ほら皆さん仕事に戻りますよ。それじゃあかつさん、また」

「しょうがないなあ、じゃあなかつ。今度こそいいんかいを食べに行こうぜ」

「それじゃあまた会おう少年!」


そう言って三人は仕事に戻ってしまった。

それじゃあ俺も戻るとするかな。


「てっおい俺滑る床の上に乗ってて立ち上がれないんだけど。誰か手を、おい誰か助けてくれーーー!!」


俺はそのまま魔法協会を後にした。



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