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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その二十三 科学の結晶

研究所跡地


「よいしょっと、ふう結構集めたね。ピンカの方はどう」


イナミは鉄くずを一か所に運ぶと、額の汗をぬぐう。

そしてピンカの方に視線を移すと、椅子に座ってくつろいでいた。

その横に小さなゴーレムが次々と資材を運んで行く。


「見て分かんない?ゴーレムが絶賛運び中でしょ。私の事はいいから自分の事に集中しなさいよ。私に負けてるんだからさ」

「いや、別に勝負はしてないはずだけど。まあそれはピンカの魔法だから効率を考えて何も言わないけどさ、ピンカも何か物運ぶとかしないの?」

「ゴーレムが運んでるのに私が運ぶわけないじゃない。力仕事は私の役目じゃないし、ほらゴーレムに負けてるわよ。早くしなさい」


そう言うとピンカは笑みを浮かべてこちらを急かす様に手を払う。

イナミに不満に思いつつも自分を納得させながら残りの鉄くずを運んで行く。

その時、奥から何か大きなものが地面を擦れるような音が聞こえて来る。


「ん?何だろう、ゴーレムが何か大きなものを運ぼうとしてる?」

「メモに書いてある通りの物を運んでくるように指示したはずだけど、まさか変な物持ってこようとしてるんじゃないでしょうね」

「確認しに行こう。研究所壊されちゃったら、せっかく集めた鉄くずが無駄になっちゃうし」

「はあ、めんどくさいわね」


ピンカは椅子から飛び降りるとそのまま音が聞こえた方へと歩き出す。

イナミも鉄くずをその場に置いてピンカの後を付いて行く。

ゴーレムは研究所中に散らばっており、目的の物を察知すればそこへと最短で向かいそれを手に入れればピンカの元へと戻って行くように指示されている。

その為、強引な手段に出ることも多い。


「この先ね‥‥‥」


ピンカは研究所の壁に大きな穴が開けられているのを見つける。

イナミもそれを見つけてピンカに流し目を向ける。


「ピンカ、だからゴーレムに無駄に魔力を使わない方がいいって言ったんだよ。無駄に強くしたせいでこんな風に壁壊して行っちゃって」

「別にいいでしょ。その方がもっと多く持ってこれるし、それよりも行くわよ。欲しい材料なら持って帰りたいし」


ピンカは特に悪びれる様子もなく穴の中へと入って行く。

それに続いてミニゴーレムも続々と入って行く。

イナミは不安を感じながらもその列に続いて行った。

奥へと進むと新たな空間が現れる、そこはまだ誰も見つけられていないのか埃が被っていたが比較的綺麗な状態で残っていた。


「ここも研究機器が置いてあるね。壊れてないのも多いし、これを持って行けば喜ぶんじゃないかな」

「確かにそうね。それじゃあゴーレムたち、ちゃちゃっとここら辺の物持って行っちゃって」


ピンカがそう指示すると一斉に周りの物を持って行こうとする。

その時また引きずる音が部屋の中に響いて行く。


「そう言えばゴーレムが何か大きい物を持って行こうとしてたね。あっピンカあそこ見て」


イナミが音のする場所を指差すと、そこには巨大なロボットをゴーレムが複数で無理やり引きずって運んでいた。


「何あれ、不気味ね。メメが作った奴よりも大きいし、妙にごつごつしてるわね」

「腕とかも変形しそうな感じもするし、あまり刺激しない方がいいんじゃないかな。変な所弄って起動してもあれだし」

「まあ、あんな巨大なロボット持って行くのも大変だし置いて行きましょう。ゴーレムたち、そんなガラクタ置いて行って他の物持って行きなさい」


ピンカがゴーレムたちにそう命令すると、持っていたロボットを手放す。

それによりバランスを崩したロボットはそのままゆっくりと倒れていき、衝撃音が部屋に響き渡る。


「ちょっとゴーレム!要らないとは言ってたけどもうちょっと慎重に置けなかったの!」

「そこまで細かな命令は無理でしょ。ゴーレムだってそんな繊細な動きは出来ないだろうし、とにかく早くここから離れよう。何だか嫌な予感がするんだ」


ウィンっ


「ん?今何か変な音が聞こえて気が」

「何言ってんの。ここの電力は全部停止されてるんでしょ、しかも何年も動いてないんだから動くわけないじゃない」

「ああ、そうか。確かにピンカの言った通りだ。戻ろうか」

「そっ早く戻るわよ」


ピンカはそう言うとゴーレムと共に戻って行こうとする。

イナミは辺りを気にしながらもその場を離れて行った。

そしてある程度素材を集め終えて、ピンカ達は帰還する為にマイトの帰りを待っていた。


「ちっ遅いわねあいつ。すぐに戻るって言ったのに全然帰って来ないじゃない」

「確かに一度街の様子を見に言ってくるって行ったっきりだね。もしかして町で何かがあったんじゃ」

「まさかガイスが何か仕掛けて来たとか?もしそうなら性格悪すぎるでしょ」

「でも大人しくガイスが待ってくれるとは思えないし、もしかしたら本当に何かがあったのかも」

「はあ仕方ないわね。わざわざあいつが運んで行くからゴーレムの方に魔力を注いだのに、結局私達が持って行かないといけないの」

「まあそう言わないで、今回はかなりの収穫だし置いて行くのは勿体ないでしょ」


ピンカは嫌々テレポートの魔法陣を展開させる。

イナミも自身が集めた者と一緒にテレポートの魔法陣を展開させた時、研究所が突如揺れ始めた。


「っ地震?」

「研究所の癖に建物に耐震工事もされてないの。有名な研究所か何か知らないけど、ケチってるんじゃないわよ」

「いや、ピンカこれは違うよ」

「は?何が違うっていうのよ。とにかく揺れが収まるまで、姿勢を低くして‥‥‥は?」


ピンカが姿勢を低くするために体の向きを変えた瞬間、そこに居る者に気が付いた。

鋼鉄の戦士は目の前の侵入者を逃がしはしない。

赤いライトの瞳が輝くと目の前の二人をスキャンする。


『侵入者発見、戦闘モードに移行します』

「これって‥‥‥」

「まさか‥‥‥」

『排除します』

「「さっきのロボット!!」」


その瞬間、両腕に搭載された高熱レーザーが二人に襲い掛かった。



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