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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第四章 地獄の一週間
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その二十三 帰還

「あっ!おい、みんな!帰ってきたぞ!」


誰かの大声が聞こえた瞬間村人たちが一斉に外に出てきた。


「本当だわ!帰ってきた!」

「すっげぇーほんとに帰ってきたぞ!」

「おかえりなさい!ずっと待ってました!」


俺達の姿を捉えた瞬間皆の歓声が辺りを包む。


「もしかして倒したんですか?」


顔が少し震えていて笑みを抑えきれないでいる。

言わなくても分かっているだろう。

俺達はその言葉に頷いた。


「バッチリ、討伐成功です!」


その瞬間、先程よりもより高い歓声が響き渡った。

中には俺達を神様というやつもいた。


「本当にありがとうございます!疑ってしまい申し訳ありませんでした」

「別に大丈夫ですよ。見知らぬ人に大切なドラゴンを渡すなんてそう簡単にできませんからね。疑うのも無理ありません」


どの口が言うんだと思ったが何とか押し留まった。


「本当にありがとうございます。どうかお礼をさせてください」

「それじゃあご飯が食べたいのじゃ!」


皆が言うのより先に答えたのは当然このバカデビだった。


「おい、バカ!お前には我慢という言葉は無いのか!」

「何じゃ!妾は頑張ったんだぞ!少し位ご褒美があっても良いじゃろう」

「まあーまあー落ち着いて下さい。デビさんすみません。料理は今作物など畑で取れるものしかありません。それで宜しかったら作りますよ?」

「まあ、しょうがないのう――――イテッ!いきなり何するのじゃ!」

「お前は少し自重しろ!」


もう1発食らわされたデビは頭を抱えている。

たく……どういう生き方したらこんな礼儀知らずなやつになるんだ?


「うう……妾頑張ったのに……」

「かつちょっと言いすぎじゃない?」

「かつさん、デビさんはデビさんなりに頑張ったんですよ」

「な!?う、うう……」


確かにデビが居なかったらこの作戦は達成できなかった。

こいつなりに頑張ったのは分かる。


「少し……言い過ぎたな。デビごめんな、別に何も食べるなって言いたい訳じゃないんだ。ただ村の人達の迷惑になるなって事を言いたいだけで……だから……」


すると頭を抱えていたデビが手をおろしゆっくりと立ち上がり。


「しょうがないのうー!許してやろう!」


ムカつく顔を見せて来た。


「やっぱり飯抜きだ」

「何でじゃー!」


すると肩に何か重たい物が乗っかって来た。


「ミノルさん、大丈夫ですか!?」

「な!?ミノル!大丈夫か!?」


肩に乗っかってきたのはこいつだったのか。


「ごめん。ちょっと疲れが一気に来ちゃって」


そうかこいつも魔力出しっぱなしだったしな。


「あのう、すいません!宿まで運びたいんですけど手を貸してくれませんか」

「でしたらこの宿に泊まってください」

「確かこっちの方は僕達が泊まるところとは別の方では?」

「こちらはVIP専用の宿です」

「そんなところに泊まっていいんですか?」

「全然構いませんよ。さっ、こっちです」


みんなの尊敬の眼差しを背に受けてミノルを宿まで運んだ。


「よし、これで大丈夫だろう」


ミノルをベットに寝かせ布団を上からかける。


「にしても村にしては豪華だな。この宿」

「これも作ってもらったんですよ」

「例の人にですか?」


村長さんが答えるより先にリドルが答えた。


「はい……」

「その例の人って誰なんですか?この村をかなり

特別扱いしてるみたいだけど」


答えるのに悩んでいるのか難しい顔をしている。


「……あなた達なら会えると思いますよ。カルシナシティに行くならね」


深くは教えてくれないか。

でも会えるってことはカルシナシティにいるってことだよな。

すると村長が思い出したかのように質問をした。


「そういえばドラゴンはどうなりました?一応渡さなきゃいけないものなので回収したいんですが」

「「あっ」」


その言葉に2人が声を揃える。


「え?あって何ですか?え?ちょ、待ってください。そんなわけ無いですよね?まさか食べられたんですか!?」

「食べられては無いんですけど。なぁリドル」

「そうですね。ただ毒の霧に置いてあるだけですしね」

「おい、お前何言ってんだ」

「え!?毒の霧に置いてきたんですか!?どうしてですか!」


村長が荒い息をたてながら詰め寄ってきた。


「ちょ、落ち着いてください!それは作戦上仕方なかったんですよ!」

「そうですね。まあ幻覚を見せるだけなら実はドラゴンは必要無かったんですけどね」

「え?何それ聞いてないんだけど」


突然の告白により脳が一時停止する。


「え、じゃあドラゴンは必要なかったってことか?」

「はい」

「全く?」

「全く」

「これっぽっちも?」

「これっぽっちも」


オウム返しの答えに動揺を隠し切れないでいる自分がいる。

するとさっきよりも息を荒くした村長が再び詰め寄って来た。


「どういうことですか!?つまりあれですか!あのドラゴンは無駄だったってことですか!」

「あっと…、えっと……、うっと……」


うう……正直もう面倒くさい。

デビとミノルはぐっすり寝てて羨ましいな。

俺も疲れたから寝たい!

何でこんな面倒くさい事しなきゃいけないんだ。

第一リドルは何でこのタイミングでそんな事言うんだ。

当の本人はこっちをニヤニヤしながら見てるし。

ていうかあの顔腹立つ!

ああ、何かもうどうでも良くなってきた。


「ちょっとどうするんですか!?」

「いや……もう諦めるしかないんじゃないですか」

「いや、ちょっと諦めるって、あなた達のせいでこうなったんですよ!」

「勝手に俺達のせいにされても、あのモンスターは倒せたんですからいいじゃないですか」

「それとこれとは……」

「第一あのモンスターを倒すのだって奇跡みたいなもんなんでしょ?それなのにドラゴンも欲しがるなんてちょっと欲がありすぎませんか?逆にこれで良かったんですよ」

「うう……ああもう!分かった!あなた達は英雄だ!こんな責任の押し付け合いをするべきではないしな」


納得してないような気がするが許してもらえたみたいでよかった。

まあ後でリドルには何でこんなことしたのか理由を問いただしてやる。


「ふぅあ〜……寝るか」

「あれ?寝ちゃうんですか。これから食事を用意しようと思ってたんですけど」

「明日でいいよ。俺はもう眠い」


そう思った瞬間体から一気に疲れが襲ってきた。

俺はそのままフラフラと移動してベットに体を預けた。


「おやすみ……」


そのまま深い眠りについた。



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