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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その二十一 痛みの検証

「無事にペンを手に入れたな」


そう言っているデュラさんの顔は腫れあがっていた。


「えっと、それは無事とは言わないんじゃないですかね」

「取り戻したのか、随分と酷い顔になっているがあの男は大丈夫なのか?」


こっそり部屋に戻っていたミレイさんが戻って来たデュラさんの姿を見て僕に耳打ちをする。


「ちょっとメメさんと色々ありまして」

「早速強化に入ろう。ミレイ、魔法陣を書き出してくれ」

「分かった」


ミレイさんはペンを受け取ると紙に魔法陣を書き出していく。

そして無事に魔法陣を書き終えるとそれをデュラさんに渡す。

デュラさんはそれを見て、新たな魔法陣を書き出す。


「出来たぞ」

「何!?もう出来たのか!オリジナル魔法を作るのにはそれなりの時間がかかるはずだが」

「デュラさんはこういう人なんですよ。僕のオリジナル魔法も強化してもらったので」

「今回の作戦様に改良を施した。効果範囲は島外まで引き上げ、さらにストックとして三つほど候補を補完できる。候補枠は慎重に考えろ」

「そんなに強化できたのか。にわかには信じがたいな」

「試しに使って見ます?」

「確かに試運転は大事だろう。訓練場に行こう、そこで力を試せ」


と言う事で僕達は訓練場へと向かって行った。

その道中で色々な物を試しに持って行く事となった。

訓練場に付くと早速持って来た物を置く。


「ペンに机」

「ロボットに紙」

「とりあえず検証していこう。ミレイ、先ずはこのペンを候補にしてみろ」

「分かった」


ミレイはそのペンを受け取る。

すると青色に光るとそれは徐々に消えていく。


「これでいいのか?」

「青色に発光しましたね。これで完了と言う事でしょうか?」

「そうだ、候補に選びたい物に触れると最初は青色に光る。そのまま別の候補を選ぶと黄色に最後は赤色になる。取り出したい物が色分けされているから、どれを最初にしたのかも分かりやすくなってる」

「そう言う事か。確かにこれは便利だな」

「そして候補にした物は対象に触れなくても入れ替えする事が出来る。もちろん、入れ替わる場所の印を入れた状態でだ」

「何だと!?それは便利だな。デュラ、感謝する。これはいい物を貰った」


デュラさんに向かってミレイさんは足を揃えて頭を下げる。


「出来るかどうか、試してみてはどうですか?」

「そうだな、やってみよう」


ミレイさんは印を紙に付けてそれを握ると、ペンを遠くへと跳ばす。

通常なら交換したい対象に触れることで印と交換する事が出来るはずです。

ですが強化したオリジナル魔法はそれを省略させる事が出来る。


「行くぞ」


そう言ってミレイさんは魔法を発動させるとペンは青色に発光し、一瞬にして紙と入れ替わった。


「「おおっ!!」」


その光景に僕とミレイさんは思わずうなる。


「ちなみに同時に入れ替わりをすることは出来ない。順番に使う事は出来るけどな。再度枠を使う場合は青、黄、赤の順番で消えていく。注意しろよ」

「そうなると重要な物は赤、すぐに使用する、もしくは必要がなくなる物は青、その中間は黄色に入れればいいと言う事でしょうか」

「そういう使い方で構わない」

「なるほど、それじゃあ他の者を登録してみようか」


ミレイさんは次に机とロボットの順番に登録していく。

光り方も黄、赤の順番で光って行く。


「リドル、ちょっといいか」

「あっはい、どうぞ」


僕はミレイさんと手を繋ぐ。

その時に魔力を注がれた感覚がした。

これは印にされたと言う事でしょうか。


「先ずは、机」


そう言うと机が黄色に光り輝いた瞬間、僕はいつの間にか机があった場所に移動していた。


「なるほど、これが移動された時の感覚ですね。あまりにも一瞬で、自分が何処に居るのか分からなくなりますね」

「それじゃあ次にロボット」


今度はロボットが赤色に輝いた瞬間、その場所に僕が居た。


「移動のインターバルはそれほど長くないな。上手くやればヒットアンドアウェイが出来ると言う事か」

「そうだ、青を移動させた時もう一度青にさせることも出来る。やりようはいくらでもある」

「聞く限りだと、使い方によっては強力な魔法になりそうですね。印を付けられれば不意の一撃を入れることも確かに可能そうです」

「今の一連のやり方を通して大きさによって魔力の変化はなかったな。小さい物も大きい物も移動させる時の魔力は等しいようだ」

「まだ検証は残っているぞ。俺を試してみろ」


そう言うとデュラさんは手を指す出す。


「魔力レベルの差で効果にバラツキがあるのかも検証が必要だ。ちなみに俺の魔力レベルは二十だ」

「うっ高いな。私は魔力レベルは十だ」

「僕は十一ですね。と言う事は一レベルの差では特に問題はないと言う事でしょうか」

「魔力レベルの差が十ある場合はどうなるか、試してみよう」


ミレイさんはデュラさんの手を握る。

そしてしばらくした後にゆっくりと手を離した。

どうやら印を付けること自体は成功した様ですね。


「それじゃあやるぞ」


ミレイさんは緊張した面持ちで魔法を発動させる。

するとペンは青色に発光し、二つの位置は見事に入れ替わっていた。


「成功しました!」

「よかった、上手く行ったようだな」

「自覚しつつ、魔力レベルの十の差があろうと問題なくできた。となれば次は規格外の魔力の持ち主ならどうかの検証だ」

「デビさんを呼ぶんですね」

「ああ、お願いできるか」

「分かりました。すぐに連れて行きますね」


僕はすぐにデビさんを最後に見た場所へと向かう。

その部屋に入ると、まだデビさんは眠っていた。


「デビさん、行きますよ」

「ふえ?リドルか、急にどうし——————っな!?何するのじゃ」

「すみません、時間が惜しいので説明は歩きながらで」


僕はデビさんの手を無理矢理取ってデュラさんの元へと戻って行く。


「デュラさん、デビさん連れてきましたよ」

「何じゃ何じゃ、妾の凄さを見たいらしいのう」

「リドル、きちんと説明したのか」

「まあ、大体似たような物だと思うので、大丈夫かと」

「デビ、すまない。少し手伝ってくれないか、その例として食堂でご飯を奢ろう」

「おっ気が利くのう、それならよし。でっ妾は何をすればいいのじゃ?」

「デビ、私の手を取ってほしい」


そう言ってミレイさんはデビさんに向かって手を差し出す。


「この手を取ればいいのか?」

「はい、お願いします」

「‥‥‥まあ、よい」


デビさんは一瞬間を開けてからその手を握る。

そしてそれから数秒経って、ミレイさんは手を離した。

印を付けられたのだろうか?


「何じゃ?お主は一体何を——————」

「はっ!」


そしてミレイさんは魔法を発動させる。

発動、させたはずだけどデビさんの位置は依然として変わらなかった。


「っ失敗してしまったんですか?」

「‥‥‥駄目、上手くいかない」

「何じゃ、何をしようとしてるのか知らないが何かしようとしてるのは分かったのじゃ。だからちょっと警戒してみたんじゃが、どうやら失敗したみたいじゃのう」


そう言うとデビさんはニヤリと笑みを浮かべる。


「はっはっは!やっぱり妾は最強と言う事じゃな!」

「これで分かったな、過剰な魔力レベルを持つものは何かを感じ取った時、身構えられたら防がれる。オリジナル魔法と言えで限界はある」

「そうですか、少し残念ですね」

「何じゃん何じゃ、この空気は!まるで妾が悪いみたいじゃろ!叩き起こされてここまで来たのにこんな責められるいわれはないのじゃ!」


するとデビさんはその場を離れて扉の方へと向かう。


「デビさんどこ行くんですか」

「帰るのじゃ、起きたら腹減ったから何か食べて来る。もう妾を呼びつけるなよ!」


そう言うとそのまま出て行ってしまった。


———————————————————————————

「たくっ一体何なのじゃ、無理矢理起こされて気分が最悪じゃ。こういう時は甘いものを食べるのに限るのじゃ」


デビは食堂に行くとスイーツをありったけ頼む。

そして机に並べるとその中の一つを手に取る。


「それじゃあいっただきまーす!」


デビは大きく口を開けてそこにかぶりついた。


「‥‥‥いっだーーーーー!!!?」


だがそこには口の中に広がる甘味はなく、自分の腕を噛んだ血の味が広がって行く。


「おっどうやら成功したみたいですね」

「上手くいったようだ」

「なっ!?お主ら、これは一体どういう事じゃ!妾のスイーツセットは!」

「すみませんデビさん、実は検証はまだ終わってなかったんですよ」


リドルは爽やかな笑みを浮かべて謝罪の言葉を言う。

だがデビは嚙んだ手を冷やしながらリドルに詰め寄った。


「意味分からないのじゃ!と言うかお主、全然謝ってないじゃろ!」

「私の魔法は身構えられたら効かないが、不意に発動させたら効くと言う事か。これは良い情報を得た、最初に印を施せば忘れたことに発動すれば、成功する確率が高い」

「よかったですね、これで希望が持てます」

「くっお主ら、絶対に許さないのじゃ!!」


その後、デュラがデビの手に包帯を巻いてお詫びのご飯を奢ってあげた。



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