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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その二十 乙女の魔法

「かつさん、これからどうするんですか?」


会議が終わった後、リドルがこちらに向かってくる。


「とりあえずガイスをどうやって倒すか考えようかなとは思ってる。後何か手伝えることがあれば手伝おうかなと」

「僕とミレイさんはデュラさんの元に行こうと思ってるんですが、かつさんもどうですか?何かヒントが掴める可能性もありますよ」

「うーん、俺は良いかな。お前らがやるのは魔法関連の特訓だろ?俺はそう言うのは今はいいから、遠慮しとくよ。邪魔するのも悪いしな」

「分かりました。それじゃあまた後で合流しましょう」


リドルは俺に別れを告げるとそのままミレイとデュラの元へと戻って行った。

さてと、それじゃあ一旦街の方に向かおうかな。


「ふー」


そう思い歩き出そうとした瞬間、耳元で息を吹きかけられた。


「うわあああああ!?」


体がぞわぞわっとなり反射的に頭を逸らしてしまう。

するとそこにはクリシナの姿があった。


「あらっ随分可愛らしく鳴いたわね」

「いやいや、急に何をするんだよ!それはどう考えても反則だろ!」

「うふふっちょっとデートしない?」

「は?いやいや、何を言って‥‥‥おわっ!」


するとクリシナはこちらの腕を組んで俺を引っ張って来る。


「可憐な美少女の誘いは断らないものよ」

「いや、何処に行くんだよ」

「そんなに警戒しないで、ほら私の手を取って」


クリシナは足を止めるとこちらに手を出しだしてくる。

何をするつもりなんだ、目的は分からないけどとりあえず付いてくだけ付いて行くか。

俺は黙ってクリシナの手を取った。


「テレポート!」

「え——————」


周りが光にまれた時、景色が一変しそこには森の中だった。

だがそこはただの森ではなく、ちょっと前までモンスターと激闘を繰り広げていた場所だった。

その証拠に周りには大量のモンスターの死体と木々が倒れており地面もえぐれていた。


「えーっと、デートって言うのは‥‥‥」

「もちろん、戦場の後処理よ」


何故かクリシナは嬉しそうに言うのだった。


「後処理ってこれを全部か?かなりのモンスターの死体の山が居るけど」


そう言えば転移魔法陣を破壊した後にまだ外に居たモンスター全員殺したんだよな。

おそらくクリシナやブライドたちがやったんだろうけど。


「このまま放置しておくには衛生的に悪いでしょ?私もこんな臭いのする環境には流石にずっと居たくないのよ」

「まあ確かに臭いはやばいよな。すぐに処理しなきゃいけないのは分かるけど、この数を二人でやるのか?」

「だってせっかく二人っきりでデート出来るのに、他の人を呼ぶのは無粋でしょ?」

「デートだとしたら最悪過ぎるだろ。まあ、分かったよ。とりあえず処理するか、それでどうするんだ?」

「あっちょっと待って」


するとクリシナは巨大なモンスターの側に行くと胸元から紫色の石を取り出す。

あれは魔石?

何で今更そんな物を。


「えいっ」


クリシナは魔石をモンスターに触れさせると、魔石が輝き始める。

そしてその輝きが徐々に薄れていき、最後にはいつも通りの魔石に戻る。


「うんっこれでばっちり」

「何やったんだ?」

「このモンスターに残ってる魔力を抽出したの。もしかするとガイスの魔力が取れたかも」

「え?ガイスの魔力を!?それを手に入れてどうするんだ?」

「さあ、ただ持っておいてもそんじゃないでしょ。それじゃあ早速始めましょうか」


するとクリシナが巨大な魔法陣を展開させる。

これは見た事のない魔法陣、もしかしてオリジナル魔法!?


「天の青宝」


その時、大量のモンスターたちが巨大な青の石に閉じ込められる。

そしてそれはドンドン小さくなり、最終的に手のひらサイズとなった。


「え?嘘だろ‥‥‥」

「ふふっ綺麗ね。命が濃縮された魂の結晶」


あれだけいたモンスターが全員、閉じ込められたのか。

そんな事が可能なのか、そんな魔法が‥‥‥


「どうしたの?ぽかんと口を半開きにさせちゃって。もしかして食べたいとか?」

「いや、要らないから。ていうかそんな事が出来たら俺必要ないじゃねえか」

「そんな事ないわよ。私はこれを破壊出来ないの。だからかつのオリジナル魔法でこれを破壊して欲しいの簡単でしょ?」


なるほど、ブレイクインパクトをここにぶつけて欲しいってわけか。


「分かったよ。ていうかクリシナのオリジナル魔法って何だ?それまるで宝石みたいだな」

「可憐の乙女にピッタリな魔法でしょ?宝石は乙女の魅力を引き出すアクセサリーだもの」


そう言いながら俺のその宝石を渡してくる。

それを受け取ると俺はそれをまじまじと観察する。

確かによく見ると中にモンスターが居るな。

ていうかマジでどうやってこんな所に入るんだよ。

普通に考えて色々とおかしいだろ、まあ今更考えても意味ないか。

俺はその石を掴むとそのまま魔法を発動させる。

最低限の魔力で発動させると、それは手の中で砕け散りそのまま光の粒子となって消えて行った。


「これでいいのか?」

「ああ、それじゃあどんどんやりましょうか、早くしないと日がくれちゃうわよ」


そう言うとクリシナは意気揚々とまだ倒れているモンスターへと向かって行った。

魔力持つかな‥‥‥

そんな不安を抱えながらクリシナの元へと向かった。


——————————————————————————

隠れ家


僕とミレイさんはデュラさんに連れられていつもの隠れ家へと来ていた。


「それじゃあまずはミレイのオリジナル魔法の改良から行こうか」

「分かりました。それで私は何をしたらよいのですか」

「魔法陣を書き写してくれ。そこから俺が改良を加える。ペンは‥‥‥ないな」


デュラさんは机の周りを確認するがペン立てには何一つとしてペンがささっていなかった。


「あれ?以前は普通にペンがささっていましたよね。どうして全部なくなっているんですか」

「おそらくメメの仕業だ。作業に没頭すると様々な物を持って行ってしまうからな」

「私はペンを持っていなくてな、リドルはどうだ」

「すみません、僕も手持ちがなくて。取りに戻りますか?」

「いや、メメに返してもらおう」


デュラさんはそう言うと研究室へと向かって行く。


「え?でもそれはやめた方が良いと思いますよ。クリシナさんが言うに、今のメメ博士は情緒が不安定みたいですし」

「大丈夫だ。俺達は仲間だからな。何も心配する必要はない」


デュラさんは謎の自信をもってメメさんの元へと向かって行く。

本当に大丈夫なんでしょうか、正直メメさんがデュラさんに対する印象はあまりよくない様な。


「おい、本当に大丈夫なのか?よくない予感がするのだが」

「とにかくついて行ってみましょう。デュラさんの言う通り、本当に心配するような事ではないのかもしれません」


僕達もデュラさんの後に続く形で着いて行く。

そしてメメ研究所の扉の前に立つと、中から様々な作業音が聞こえて来る。

どうやら今まさに作っている様ですね。

デュラさんは扉を数回叩く。


「メメ、入るぞ」


一言そう言うとデュラさんは扉を開いた。

と、同時に工具箱が飛んできてデュラさんの顔面に直撃した。


「デュラさん!?」

「だーれが勝手に入っていいって言った!ぶち殺されたいのか!」


研究所の中から怒号が飛んでくる。

中を覗き込むとメメさんが怒りの形相でデュラさんを見ていた。

ああ、やっぱりよくない事が起きてますね。


「メメ、工具箱は投げない方がいい。物が散らかって片付けるのが大変だ」

「指図すんじゃない、この変態!博士の研究を邪魔する奴は何人たりともゆるさないのだよ!いけっぶんぶんロボット!あいつを撃退しろ!」


すると近くに居たロボットを起動させてデュラさんに差し向ける。


「デュラさん逃げてください!」

「大丈夫だ、リドル。メメはこう言ってるが実はそこまで危ない物では——————っ!?」


その瞬間、デュラさんの腹に思いっきりパンチを食らわせる。

それによりデュラさんは悶絶してその場にうずくまると、続けてデュラさんを袋叩きにする。


「デュラさん!?本当に大丈夫なんですか?」

「ああ、大丈夫だ。これくらいはよくある事だ‥‥‥」

「いや、すごい殴られてますけど!メメさん、すぐに止めてください」

「メメ博士!」

「っメメ博士、止めてください」

「博士は何も悪くないのだよ。どうせ変態だから殴られて大喜びなのだよ」

「そんなわけないじゃないですか!止めないのなら無理矢理破壊させますよ」


僕がそう言うとメメ博士の目から涙が零れ落ちる。


「え?」

「何で怒るの。博士は頑張ってるのに、おかしいのだよ!もうやってられないのだよ、もう何もしたく無ーい!」


そう言いながらメメさんはその場で駄々をこね始める。

これは地獄だ。

それから何とかメメさんをなだめて機械を止めてもらう事が出来た。



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