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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第四章 地獄の一週間
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その二十ニ コロット村の救世主

「それで作戦はどうする?」


俺達は再び作戦会議する為に宿屋に戻っていた。

村長の話を聞いたがあのモンスターの性質は少しばかりしか分からなかった。


「有力とまではいきませんが貴重な証言は貰いました。あのモンスターには毒が効くということが分かっただけでもかなり作戦が立てやすいと思います」


そう、村長がモンスターの事について話を聞いていた時、毒を使って倒そうとしていた事が分かった。

その時は毒は効かなかったがだいぶ後に少し毒を受けた場所を庇ってるように見えたらしい。


「だけどそれってかなりヌマクを使ってからなんだろ。毒で倒すのはかなり難しいと思うけどな」


しかも今回は時間が無い。

あまり長期戦はできないんだよな。


「確かにそれだと難しいですがあのヌマクは特別に作られているので元々の霧の毒はこれの倍以上はありますよ」

「なるほどそれなら効くってことか」


ん?なんか引っかかるな。

何か見落としているような。


「いや無理じゃろ。まず体が大きいから毒を吸い込むことも無いしのう」


そう言ってデビは横になって天井を見ている。

実はさっき寝てたせいで地下を見ることが出来なかった事に拗ねてしまっているのだ。


「あ、それだ。それが引っかかってたんだ」

「そうね。そのこと忘れてたわ。どうする?体でも小さくする?」

「何!?そんな事できるのか!」

「出来るわけ無いでしょ」

「何だできないのかよ」


まあそんなこと出来たら最強になっちゃうだろうしな。


「小さくは出来ないですけど毒を広げる事はできます」

「広げる?」


するとリドルがポケットから魔法許可証を取り出した。


「これがどうかしたのか」

「そこの下に得意魔法の欄がありますよね」


俺は言われた通り下の方を見た。

そこには風の魔法と書かれていた。


「これってもしかしてお前は風の魔法が得意ってことか?」

「そうです。魔法使いにはそれぞれ得意な魔法があるのは分かりますよね」

「え、あ、そ、そうだな」


曖昧な返事になってしまうのは正体をバレるわけにはいかないせいだ。


「得意な魔法には普通の魔法より威力が2倍で魔力消費も半分で済みます」

「へ、へぇ〜」


まじかよすごいな!

と叫びたい衝動を我慢しながら話を聞いた。


「僕の得意魔法は風の魔法なのでそれを使って毒霧の渦を作ります。威力は期待してくれて構いません」

「なるほど。たしかに霧ならデカイやつにも毒を吸わせることが出来るかもな」


だがミノルが少し納得して無さそうな顔をしている。


「どうしたんだミノル?何かあったのか」

「毒霧で倒すのは分かったけどそれってリドルが毒霧の中に入るってことでしょ」

「あ、確かにそうだな」


そうするとリドルが直接毒を吸い込んでしまう事になるな。


「大丈夫ですよ。さっき村長からガスマスクというものを貰ったのでこれで毒が防げるそうです。ちなみにこれも例の人から貰ったそうですよ」


そう言ってガスマスクをみんなに見せる。


「かっこいいのう〜。妾にちょっと貸してくれ!」


そう言ってリドルからガスマスクを取ろうとするが取られまいと高く上げる。


「ちょっとリドル貸してくれないか」

「え?まあかつさんならいいですけど」

「な!?ズルいぞかつ!次は妾じゃ!」


それは日本でも見た事があるガスマスクそのものだった。

実際には見たことないが画像とかテレビで見たまんまのやつだな。


「かつさんそろそろ……」

「ああ、ごめん。ほい」

「ありがとうございます」

「ああああ!ズルいぞ!妾にもくれ!」


なんかこの島たまに日本で見た事がある物があるな。


「妾にも〜妾にも貸すのじゃ〜」


そう涙声に訴えかけている。


「て、ほんとに泣いてるじゃねえか!おい、リドル渡してやれ!」

「デビさんすみません!少し意地悪しすぎました」


そう言ってリドルがすぐにデビにガスマスクを手渡した。


「わーい!やった〜!」

「ガスマスクではしゃぐなんてかわいいわねぇー」

「可愛いのか?」


でもあの姿を見るにやっぱりデビは子供だな。


「と、取り敢えず作戦は決まりましたね。後は細かい所だけですね」


そして小1時間程話し合い作戦が決まった。


「よし決まったな!」

「そうねこれなら行けるわね」

「妾なら楽勝だな!」

「では行きましょうか」

「そうだな。よし!行くか!」


こうして俺達のモンスター討伐が始まった。



―――――――――


「えっと……ここらへんか?」


現在リドルは霧のある場所に向かっていて残りはそこまで誘き寄せる役の為現在モンスターがいる場所に向かっている。


「たしかここら辺って言われてるけど何処にもいないわね」

「あーもう腹減ったのう〜」


デカイモンスターって聞いているのだが全くその姿が見えない。

すると急に地震のような衝撃が地面から伝わった。


「な、なんだ!?地震か?」

「あれを見るのじゃ!」


デビが指を指した方向は山がある所だった。

だが……


「な、何だあれ……」

「山が動いてる……」

「グギャャャャャャ!!!」


その咆哮は耳が壊れる程の威力があった。


「うっさ!てかデカ過ぎないかあれ!」

「そうじゃのう。あれはかなりのデカさじゃのう」

「デビちゃんうるさくないの!?」


みんな余りのうるささに耳を押さえてうずくまる。

あれが例のモンスターか。

ゴツゴツとした肌にドラゴン見たいな巨大な翼、体型は少しカエルみたいだな。


「あれは多分キングフロッグね。そういえばあいつらはドラゴンの肉を好むと聞いたわ」

「なあ今更だけどあんなのに毒なんて聞くのか」


実際に見てみると計画に無理があり過ぎると思えてきた。


「今更怖気づいてもしょうがないでしょ。ほら行くわよ!」

「やるしかないか……おいモンスターこっちだ!」


作戦開始だ!


「まずはファイヤボール!」


まずは俺達のことを気づかせる。

俺の攻撃は体に当たったがまるで何ともなかったかのように平然と立っている。


「こんな攻撃じゃ流石に無理か。だったら!」


俺はあのモンスターの体にぶつからないギリギリの距離で。


「インパクト!」


俺の魔法の中で1番強い魔法を放った。


「!?グギャャャャャャ!」


この攻撃は流石に効いたのか先程よりも苦しそうな声を上げる。


「うっさ!でも効いたぞ!」


すると俺の存在に気付いたのかこちらをギロリと睨みつける。

その瞳は血のような赤い目をしていた。


「ひっ!?これはまずい!」


俺はすぐに危険を感じその場から離れた。

取り敢えず目的は達成した。


「おいこっちに気づいたぞ!」

「了解それじゃあ早速行くわよ!まずはギガサンダー!」


ミノルの雷がキングフロッグを襲う。


「駄目だ全然効いてないぞ!」


当然のように平気そうな顔を見せる。


「まあ分かってたけどね。ちょっと本気出しますか!」


するとミノルが魔力を貯め始めた。


「おいミノル!あんまり魔力使うなよ!」

「分かってるわよ!ちゃんと考えてあるわ!」

「おい!お主ら!攻撃が来るぞ」

「ゲッゴゥゥゥ!」


するとムチのようにうねる舌が俺達を襲った。


「うわぁ!やばいぞ!」

「きゃぁぁあ!粘液が降ってくる!気持ち悪い!」


大きさもあって出てくる粘液も水の塊だ。


「そっちがそう来るなら、こっちだって反撃するわ!アイスガン!」


巨大な氷の塊をキングフロッグに向かって飛ばす。


「ギュリ!」


すると長い舌でその氷を叩き落とした。


「な!?嘘でしょ!?」


予想以上の舌の攻撃力にミノルも俺も愕然とする。


「これ以上はもう時間をかけられない!俺がもう1発ぶち込むからその瞬間にデビやってくれ!」

「任せろ!!」


まだこいつはミノルの方を警戒している。

すぐに攻撃を受けることは無いだろう。


「よし!もう1発喰らえ!インパクト!」


先程と同じ場所にもう1度食らわす。


「グ、グギャャャャャャ!!!」


先程よりも効いたのか悲痛の声を出す。

すると元々赤い目がより一層赤くなりこちらを睨みつける。


「くっ!こんな所で死ぬのはゴメンだ!デビ頼んだ!」

「任せろ!妾が一瞬にして倒してやる!」


すると先程の舌が俺の方に向かってきた。


「え、ちょ、まじか!デビ早くしてくれ!まじでピンチだ!」


このままじゃキングフロッグの舌でペチャンコにされる!


「妾の魔法は最高にして最強!喰らえ!デビルオンインパクト!」


すると轟音と共に黒い雷がキングフロッグ目掛けて降り注ぐ。


「グォォォォオォォ!!!」

「何つー衝撃波だ。体がふっ飛ばされそうだな」


かなり効いているのだろう。

足がよろめき体がぐらついている。


「よし!今だ!デビ続けて行け!」

「分かっておるわ!デビルウィスパー!」


謎の霧がキングフロッグを襲う。

すると急に翼を羽ばたかせそのまま飛んで行った。


「おいデビ、あれは成功か?」

「もちろん。妾を誰だと思っておるのじゃ。失敗なんかするわけ無かろう」

「それはよかった。それじゃあミノル。テレポートよろしく」

「分かってるわよ。それじゃあ捕まってねテレポートするわよ」


俺達はミノルの腕を掴んだ。


「準備完了だ」

「それじゃあ行くわよ。テレポート!」


―――――――――


「来ましたね。キングフロッグ」


あのモンスターがこちらに向かっているということは作戦がうまく行ってる証拠ですね。

僕は早速魔法を使う準備をした。


「あのモンスターが、ドラゴンを食べた時が狙い目……」


今キングフロッグはデビさんの魔法でドラゴンが巨大に見えているはず。


「そろそろ皆さんも来る頃でしょうか」


そんなことを言っていると早速ミノルさんの声が聞こえた。


「どーお!そっちは!」

「いつでも大丈夫ですよ!」


ミノルさん達はガスマスクが無いので霧の外で待機するしか出来ません。

するとものすごい風が上の方から吹いてきた。


「来ましたか」


翼を羽ばたかせながらこちらに向かっている。

少しバランスが取れていないような気がしますね。

予想以上にダメージを与えてくれたんでしょうか。


「これならすぐにかぶりつきますね」


ゆっくりとズシンと言う音を立てて空から降りてきた。

来ました。

そしてゆっくりとドラゴンの方に向かってきた。

狙いはキングフロッグがドラゴンを咥えた時!

その時ドラゴンの方に首をゆっくりと傾けそのまま口を開けて。


「今だ!ラノストーム!」

「グギャ!」


その瞬間催眠が解けたのか我に返り毒を飛ばすため翼を羽ばたかせようとしていた。

だがその瞬間にミノルさんが氷の魔法でキングフロッグを拘束する。


「暴れさせないわよ!」

「いいぞ、ミノル!リドルあいつ弱ってるから今のうちだ」

「分かりました!最大魔力で行きます!はぁぁぁ!」


先程よりも魔力量を上げた。

するとキングフロッグが少しずつ宙に浮き始めた。


「す、凄いぞ!デビ!キングフロッグが少しずつ宙に浮かんできてるぞ!」

「あやつも中々やるのう」

「グ、グギャャャャャ!」


毒の嵐を受け苦しそうな声を上げているが、まだ倒れる気配が無い。


「これ、結構辛いですね……」


このままではあいつを倒す前に魔力が尽きてしまう。


「デビさん!もう一度あの魔法を撃てませんか!」

「何!?あの魔法結構魔力使うんじゃぞ」

「お願いデビちゃん!私…もう限界なの……」

「終わったらたらふく食べさせてやるから、な?」

「う、う〜ん……あーもう!わかった!そのかわり大盛りじゃぞ!」

「ありがとな!」


ゆっくりと呼吸して集中力を高める。

デビさん頼みましたよ。


「グギギ……」

「本日2度目のデビルオンインパクト!」

「グ、グラガァァァァ!!」


漆黒の雷が再びキングフロッグを襲う。

体がビクンと跳ね、動きが弱々しくなる。

よし!これなら行けます!


「グガ……グギ…」

「あともう少し……」

「これで……おわる……」


段々と動きが遅くなりそしてゆっくりと止まった。


「はあ、はあ、はあ、終わり……ました」

「終わったわね……」


魔法を解除した瞬間、勢い良くキングフロッグが降下した。

そしてそのままピクリとも動かなくなった。


「お、終わったぁーーー!」

「当然じゃろ!妾の…手に……かか」

「おいデビ!大丈夫か」

「そっとしてあげなさい。2回もあんな巨大な魔法を使ったんですもの。魔力がなくなったのよ」

「そうか……デビにしてはよく頑張ったな」

「だいじょーぶですか!モンスターは討伐できましたよ」


みんな疲れた顔をしている。

それもそうですねかなり魔力を使いましたし。


「リドルも大丈夫そうだな」

「はい少し疲れましたけどね」


魔力をこんなに使ったのは久しぶりだろう。


「それじゃあ村に帰るか」

「そうね……帰りましょう」


こうしてモンスター討伐は完了した。



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