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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十四章 半分獣と呼ばれた者達
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その八 最後の計画

「まず最初に三つの班に分かれてもらう」


そう言うとブライドは指を三つに立てる。


「実行班、サポート班、技術班に分かれてもらう。ちなみにこの振り分けは現在動ける者で行う。まだ治療をしていて目を覚まさない者は目を覚め次第、足りない班に行ってもらう」


そしてブライドは人差し指を立てる。


「最初に実行班、主な役割はガイスの足止めだ。ガイスは源魔石を取りにこの街へとやって来る。当然俺達は源魔石を渡すつもりは毛頭ない」

「そうなれば戦闘になるのは明白だな」


ミレイの言葉にブライドは頷く。


「だからそうなった場合の足止めをお願いしたい」

「足止めって言い方が引っ掛かるな。戦うのはかつ何だろ?足止めも何もないんじゃないのか」

「ハイトさん、それは違うと思います。そもそもかつさんが戦う場所はここじゃないだろうし」

「何?そうなのか?」

「ああ、ぺプロの言う通りだ。こんな所で源魔石の魔力をフルに使った魔法を放ってみろ。島は消滅する」

「じゃあ、俺はどうすればいいんだ?」


島ではない何処かで戦うにしても、結局は島に多大な影響を及ぼしそうだけど。

するとメメが前に出て来る。


「ここからは博士が説明しよう。具体的な場所はこれから決めるけどゼットさんのご子息には島の外に行ってもらうよ」

「え?島の外!?でもそれは出来ないんじゃなかったのか!」

「まあね、島を覆うように建てられた柱が中に居る者を閉じ込めてるからね。半永久的にエネルギーを回し続ける特殊な仕組みを利用して、絶対に壊れることも止まる事もない物だから外に出るのは不可能なのだよ」

「それって言ってる事と真逆のような」

「そこの垢抜け男子静かにしな!」

「ええ?俺の事?」


メメはイナミに指を突きつけるとイナミは困惑気味に自分を指差す。

まあ、あか抜けたは確かにそうだが。


「私を誰だと思ってるのかな?世界に轟くメメ博士だよ、柱の電源を切る事は私にとってはお茶の子さいさいなのだよ」

「柱の電源を切るってそんな事出来るのか」

「だから、博士なら可能だと言ってるだろ。だけどそれには問題が生じるのだよ」

「問題って何ー?もしかして柱が眠った後のいびきがうるさいとか」

「メイ、静かにして」

「それって島の事がバレてしまうってことだよね」


マイトの発言に皆が声を漏らす。

柱がこの島を守ってくれていると言うのならそれが無くなれば、守りも消える。

島が丸裸になるってことだ。


「助手の言う通りだよ。あの柱からは妨害電波のような物が出てきていて、外部からは視認できない様になっている。それは視覚からでも電子地図上でもね」

「それが無くなればこの島がすぐに見つかる可能性が高い。未知の島が急に発見されれば、様々な研究機関が押し寄せるだろうな」

「そんな危険をはらんでいるけど私達はやらなければいけないの。島の外が一体どうなっているかを確認する為にもね」

「ガイスとゼットさんのご子息が相まみえる場所が何処かいいか、流石に最新の地図データも無い状態では出来ないからね。そもそも私はハッカーではないのだよ。どうしてもネットに繋げないと地図を入手する事が出来ない。妨害電波が出てる状態じゃ、外部からのネットも繋げられないのだよ。まあ、繋がってしまったらそこから位置が特定されるから当たり前なんだけど」

「地図の手に入れたらどうなんのよ」

「この島から最低でも五十キロは離れた場所がイイね。そして無人島の上、周りに島もない場所。衝撃で高波が発生して島を飲み込むほどの津波になるだろうからね」

「それを防ぐために最新の地図が必要なのか」


確かに被害は最小限にはした方がいいだろうな。

島の外に出るって事は他の島もあるって事だろうし、迷惑はかけられない。


「そう言う事なのだよ。そこに二人を連れて行く、その為の足止めが実行班なのだよ」

「そのやり方もメメ博士には任せている。実行犯の役割はガイスを足止めして島へと連れて行く、そしてかつが戦闘を行なえるようにするだ」

「具体的な役割は分かったけどよ、誰がやるんだ」

「俺達だ」


ブライドはガイの質問に対して端的に答えた。

俺達、もしかして。


「ブライドたちが戦うのか?」

「そう言う事よー、いよいよ美しい美少女も参戦しないとね」

「てことはメメ博士も参戦するって事何ですか?戦闘面では活躍できないと聞いてましたけど」

「まあ、博士は戦闘よりも研究が大事だからね。それでも君達よりも動ける自信はあるよ」

「今はデュラは留守番をしているがあいつも一緒に戦う予定だ」

「あの変態と一緒は癪だけど確かに必要な人材ではあるからね」


ブライド以外の三人が本格的に戦うなんて。

ゼットの弟子だっていうからにはやっぱり特別な力とか持っているのだろうか。

でも間違いなく強いのは確かだろうな。


「おいおい、ちょっと待てよ!俺は戦えないのかよ!ブライドたちだけずるいぞ」

「まあ、落ち着けガイ。これは実行班の場合だ、次は技術班だが、これはメメを中心とした技術的な面で活躍できる班だ。まっ今はメメが選定したマキノ、リツ、マイトの三人を入れる予定だ」

「え?僕も?」

「もちろん、博士の助手なんだから当然なのだよ」

「でも、俺はそう言った分野は何も分からないんだけど」

「なあに、作るだけが技術班じゃないのだよ。君には十分に働いてもらうよ」

「なるほど、つまり雑用ってことか」

「あんたにぴったりじゃない。頑張んなさいよ、雑用」


そう言うとピンカは嬉しそうに笑った。

それを聞いたマイトは乾いた笑みを浮かべる。


「それでまだ呼ばれていない奴らは今の所は全員サポート班だ。サポート班の主な役割は実行班、技術班のサポートだ。当日までは技術班のサポートをして、当日は実行犯のサポートをしてもらう。状況に応じてどっちかの班に移る可能性もある。具体的なことが決まるまではそう言う事でよろしく」

「てことは戦えるって事なのか?」

「直接手を出すわけじゃねえぞ。あくまで俺達のサポートだ」

「しっかりエスコートしてあげるから、安心してね」

「うー、まあ別にいいか」


ガイは少し悩んだ末に自分を納得させる。

実行班、サポート班、技術班、この三つに分かれてそれぞれ動くのか。

でもまだ具体的な中身が決まってないように思える。


「ちょっといいですか?ブライドさん」

「ああ、いいぞリドル」

「今の所決まっているのは、柱の電源を切り最新の地図を入手し決戦となる島を決めて、当日は実行班がその島へとガイスを誘導、そしてかつさんが源魔石を使用しガイスを倒すでよろしいですか」

「簡潔にまとめてくれて助かる」

「ですがまだ具体的な部分が見えてきませんね。ガイスをどうやって誘導するのか、そしてその島にどうやって行くのか。そして肝心なのはすべてが終わった後のこの島の今後です。全てを加味した上で実行に移さなければ高確率で失敗しますよ」

「君、中々頭がイイね。ほらブライド兄ちゃん早く言いたまえよ、君の穴だらけの計画を」

「メメ、これは俺達で立てた計画だ。つまりお前の事も言われてるぞ」


なんか、喧嘩が始まってないか?


「作戦の事はある程度は決まってる。だがまだ実行が可能かどうかこれから精査していく。今話すとこんがらがるといけないからな、具体的なことはそれぞれの班で話し合って必要な人材を引き抜き、そいつらにも話し合いをさせる。そして最後の事だが、これは俺達が決めるよりも他に適任が居るはずだ」

「ガルアの事か?」


その言葉に皆が黙り込んでしまう。

何だかんだ言ってこの島の王はガルアしかいない。

だが皆ガルアが王と認めている反面、心の何処かで認め切れていない者もいる。

やっぱり王の件がしこりとなって残っている。


「私はガルア様しか出来ない事だと思う。他に誰が王をやるんだ」

「そんなの分かってるわよ。でも素直に手を叩けるかと言われれば躊躇うのよ」

「でも私はガルア様に王になって欲しいです。それはガルア様にしか出来ない事だから」

「でもまだガルア様は眠ったままだからね。今は何を言っても意味ないさ」

「その話は起きてからするんだな。とにかく今はガイスの事についてだ。そしてこの事は他の奴らには言わない様に。混乱させて問題が起きるといけないからな」


島の人達には内緒にする方向なのか。

まあでも言っても不安にさせるだけだろうしな。


「それじゃあ、話し合いも済んだところで制限時間の発表と行こうか」


するとメメが源魔石を取り出した。

それは欠けることはない完璧な状態の源魔石だった。


「これをこの機械にはめ込めば即座に島中の魔力の吸収を始めるのだよ。そしてそれに要する時間が表示される。それがガイスを足止めする為の必要な時間にもなるのだよ。それじゃあ早速、行こうか」


そう言ってメメは早速源魔石を機械へとはめ込む。

最初はボロボロに壊れていた機械も今は幾度の改良を加えたことにより大きく変貌した。

様々なランプが光り輝くと、中央にあったモニターが次々と切り替わっていく。

そして機械の振動が停止すると大きな音と共に数字が表示された。


魔力吸収終了まで残り122時間32分56秒



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