エピローグ 小物
デビがマイトによって助けられた後‥‥‥
「地獄の王が戦線を離脱したか。なら俺も自由に動けるところだが」
途中で降りるとは考えにくい。
奴は最後まで戦う意思を示していた、怪我が酷くこれ以上は無理だと判断されて助けられたのか。
だが俺が解放されることによる危険性は奴らは十分理解してるはずだ、まさか作戦は既に終わってるのか?
「確認が必要だな。先ずは城に戻ってみるか」
あそこにはミレイを待機させていたはずだ。
爆発が起きたことは既に確認済み、計画通りなら城に潜入していた奴は全員死んでいるはずだ。
「死体の確認と行こうか」
城まで一気に魔法で戻るとそこには爆発の残骸が残されていた。
確かに爆発は起こっている、だが爆発しているのは源魔石の所じゃなく念のために仕掛けておいた機械の扉の場所だと。
おかしい、奴らの狙いが機械だと言うのならば源魔石も必ず選択肢に入って来る。
機械だけ取って源魔石は取らないなんてことはあるか?
「まさか‥‥‥」
すぐさま源魔石が保管してあった部屋へと向かう。
普通ならばあそこも爆発してなければおかしい。
「やはりな」
扉は開かれているが爆発した後はない。
そして源魔石も残されている、施した魔法が解除されている。
そもそもなぜここに爆発する魔法陣が仕掛けられていたと分かった。
いや、そんなの明白だよな。
城の中には死体所か奴隷すら見当たらない。
当然あの女も。
「裏切ったか、別にどうでもいいが。初めからこうなる事は予想していた。となると他の場所も同じ結果になっているか」
研究所の方も一応様子を見て行くか。
奴らが奴隷の解放も目的だとするのならばそこにも必ず来ているだろう。
考えを纏めてからすぐさま研究所の方へと向かうと、その道中に人影が見えた。
生き残りか。
「ふう、ふう、全く研究所を爆発させるとは、イカれた奴らだ」
「そこの無能、ここで何をしている」
「っ!ああ、ガイス様!もう来られたのですね、申し訳ありません研究所は失ってしまいました。ですが奴らは研究所もろとも吹き飛びましたよ。グフッグフフフ」
俺はその瞬間、薄気味悪い笑みを浮かべる男の顔を鷲掴みする。
「うぐっ!な、何をするのですか!」
「さっきから何を馴れ馴れしく話しかけている。どうやら余程の馬鹿か、それとも恐れ知らずの馬鹿か?」
「な、何をおっしゃっているのですか!私はあなた様の配下、貴方様の為に尽くしてきたじゃないですか」
「何を言っているんだ。自分がそれ程の能力があると勘違いしているのか?」
俺は更に込める力を強くする。
するとそいつは唸り声を上げながら俺の手を掴んでくる。
「おやめください!私は紋章の調達や奴隷の手配も行って来たではありませんか!そうだ、私の名前は——————」
その男の言葉はそこで途切れた。
魔法で顔を吹き飛ばした、力なく腕は垂れ下がり地面に体が落ちる。
「お前のような小物が俺に話しかけて来るな」
さてと、つまらない事に時間を取らされた。
あの研究所には研究者共の作り上げた最初の半獣が保管されていた。
上手く有効利用しようと思っていたが、研究者の自爆プログラムが発動された以上生きてるとは考えられない。
あれは最初の半獣に内蔵されている自爆チップと連動しているからな。
「とことんなめたマネをしてくれる」
これは直接お礼に行かなければいけないな。
さてと向かうか、キンメキラタウンに。




