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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その六十六 レベル上昇

「はあ、ようやく着いた。重傷者を庇いながらの走りは神経使うな」


おかげで戦いは早々に終わったのに戻るのに時間を喰っちまった。

今頃皆はどんな状況になってるんだ。

通信機が壊れてなきゃやり取りで大体の状況は掴めるのに。

キンメキラタウンに到着して、早速城へと向かおうとした時誰かの声が聞こえて来た。


「ん?誰だ!」

「かつー!!」

「え?うわ!?」


その時何故か空からブライドが落っこちて来た。

そして地面に着地すると俺の肩を力強く叩いてきた。


「よくやったな、コアをやったのか!!」

「随分テンションが高いな」

「そりゃあのコアを倒したとなっちゃテンションも上がるだろ!あいつの強さなら昔から知ってる。病み上がりで万全の状態じゃなかったとしても、偉業だ!」

「俺がやったわけじゃない、やったのはガルアだよ」


俺は背中で眠りについているガルアを横目で見る。

ブライドはその横で眠っているラミアの方に視線を向ける。


「それが例の彼女か。どうやら無事に救出できたようだな」

「ああ、でもかなり衰弱してる。早く処置してくれないか」

「安心しろ、開けてあるからすぐに治療できる。メメの元にすぐに送ろう。クリシナ!」


ブライドがその名前を叫ぶと何処からともなくクリシナが現れた。


「はいはーい、可哀そうに。こんなにやせ細っちゃって、過度な減量は女の子の敵なのよ。女の子はふくよかな方が魅力的に見える物なの、そうでしょ」

「いや、クリシナこれは減量じゃなくてだな」

「ふふっちゃんと分かってるわ。この子は私に任せて頂戴、もちろんガルアもね。それじゃあかつ、また後で会いましょう」


そう言うとクリシナはガルア達を連れて行ってしまった。


「そう心配するな、あいつらは責任をもって俺達が助ける」

「別に心配しないよ。それより皆の状況が知りたい」

「重傷者、軽傷者、そして死者が出てる」

「っ!?誰だ!」


今回の戦いはどれも命がけの戦いだ。

当然そうなる可能性も十分に合った、だがそうだとしても心のどこかでは全員助かるんじゃないかとそう思っていた。

ブライドは冷静な口調で告げた。


「死者はミズトだ、その他に重傷者はエング、サザミ、ピンカ。サザミの方はかなり危険な状況だ。その他もケガをしている奴は居るが命にかかわる者じゃない」

「そうか、ミズトが‥‥‥」


ナズミが重傷者じゃないのを聞くと、ミズトが守ってくれたんだろうな。

あいつは最後の最後まで家族のために戦ったんだ。

ケジメを付けたんだな。


「各々やるべきことは果たしていった。源魔石はすべて回収完了、お前も戻って来て作戦は大成功だ。一人を除いてな」

「え?まだだれか終わってない奴がいるのか?」

「まっ残るべくして残ったって感じだな。なんせ最後はガイスの足止めをしてるデビだからな」

「デビ、あいつまだ戦ってるのか」


確かに今回のデビの役割的には最後まで残った方がいいだろう。

でもデビの制約がある以上最後まで戦い続けるのは不可能だと思ってたのに。

他の王が倒された時、源魔石を奪われたと思うだろう。

それならその回収を第一に考えそうなものだけどな。

それでもなおデビと戦い続けるって事は、源魔石以上に戦わないといけない理由があるとかか。

それって。


「もしかしてデビは死のうとしてるのか!」

「デビは自らの命を差し出すことによってガイスをその場で止まらせた。命懸けの足止めって奴だ。ガイスにとってはデビは時限爆弾、いつ爆発するかも分からない危険物を放置するのは恐ろしい。なら消せる時に消した方が今後の動きがスムーズになる。実際デビがやろうと思えばあいつを殺せるだろう」

「まあ、デビだったらやりかねないな。でもそうだとしても、そんなの納得出来るわけがないだろ!俺、すぐに助けに行ってくる!」


すぐさまデビの元に向かおうとした時、ブライドが俺の腕を掴んで来た。


「まあ待て、仲間想いなのも良い事だが少しは俺達を信用したらどうだ」

「どういうことだ?」

「俺達はチームだ。だからそんな簡単に見捨てたりしねえ、安心しろ、デビは必ず生きて帰って来る。お前ももう休め、ここまで歩いてきたんだろ?体力もかなり消耗してるはずだ」

「ああ、分かった。本当に大丈夫なんだな」

「大丈夫だ。あいつならやれる」


――――――――――――――――――――

「はあ、はあ、はあ‥‥‥」

「どうした、魔法のキレが悪くなってるぞ。それに息も荒いな疲れてるなら俺がゆっくり休ませてやろうか」


こやつと戦ってからどれだけの時が経ったのじゃ。

こやつの魔力明らかに威力が増していっておるのじゃ。

そんなのは普通はあり得ないのじゃ、魔法は消費する物。

使えば使う程魔力を酷使し威力も落ちて行く。

なのにこやつはドンドン強くなっているのじゃ。


「どうやら気付いたようだな。お前が考えている中で最悪の可能性を提示すればいい。それが答えだ」

「やっぱりそう言う事、無限の魔力と過剰な魔法発動、お主この戦いで魔力レベルを増やしておるな」


妾の導き出した結論にガイスは笑って答えた。


「その通りだ。すでに俺はこの戦いで魔力レベルを五上げている。そしてこのまま戦いを続ければさらに魔力レベルがあがるだろう。お前は気付かない間に俺の強化するサンドバックになっているんだよ」

「はっ!それがどうかしたの!お主がどれだけ魔力レベルを上げようと、妾の方が最強なのじゃ!」


妾は瞬時に空中に魔法陣を三つ展開させる。

そしてその魔法が発動されるとガイスは魔法で更に上空を飛んでそれを回避する。

妾もそれに続くように上に飛んでいく。


「さすがは地獄の王だ。ここまで魔力レベルが上がったのに、まだお前の魔法からは死の気配がする」

「当然なのじゃ、妾の魔力レベルがお主のようなちんけな魔力レベルに劣るわけがないのじゃ」

「ストーンピアース」

「うぐっ!」


一点集中の鋭い岩が妾の頭に突きつけられる。

妾は避けることなくそれを受け止めて頭突きでその岩を破壊して見せた。

さっきからこやつ、頭や心臓を集中的に狙っておる。

妾が避けないから急所を狙い続けて殺すのが狙いじゃ。


「っ!」


その時、先程受けた個所から血がにじみ出る。

くそ、そろそろ限界なの。


「ようやく血が出たか。ここまで何百、何千と魔法を放ち続けたがその鋼鉄の鎧もいよいよ剥がれてきたようだな。死を迎える準備は整ったか?」

「かすり傷で随分と嬉しそうなの。妾を殺すにはまだ足りないの」

「だがその兆しにはなった」


その時妾の周りを取り囲むように一度に十個の魔法陣が展開される。

これは、まずいの。


「展開したもの勝ちだ。この状態で魔法を展開させれば俺の魔法に直撃することになる。そうなれば俺の魔法を防いだとみなされ、俺はお前と戦う意味を失う」

「はっよっぽど妾を殺したいの。だが無理な話なの、妾は死なないの」

「それは地獄で語ると言い、死ね」


その瞬間、十個の魔法陣から一気に魔法が放たれた。

その魔法は全て妾に直撃して妾はその場から動けないでいた。

攻撃が止まる事はない、こやつ魔法を発動した瞬間また魔法を発動してるのじゃ。

これじゃあ妾が魔法を放つ隙が無い、この攻撃が妾が死ぬまで続くのじゃ。

先程まで受けていた個所、そして今まで蓄積されたダメージがここに来て響いて来るのじゃ。

血が痛みが隠すことなく現れ始める。


「うぐっ!」


まずいのう、思った以上にダメージを受けていたようじゃ。

妾ならこれくらいどうってことないと思っていたのじゃが。

やっぱりここじゃ力がフルに使えなくて少し無理をし過ぎたようじゃのう。

じゃが、ここまでやれば上出来じゃろう。

源魔石も全部回収で来たじゃろうな、皆無事に帰って来ておるじゃろうな、作戦は無事に成功したじゃろうな。

妾も少しは役に立てたの。


「どうやらここまでみたいだな。中々楽しめたぞ、地獄の王」


微かにそんな声が聞こえて来る。

確かにこれは勝負あったの、絶え間なく魔法をぶつけられ続ければさすがの妾も受け止めきれないの。

ああ、死ぬの。

どうせ死ぬなら最後にあやつと話したかったな。


「終結魔法証明」

「っ!」


その時、何かが勢いよく妾の体を引き寄せた。

そして気が付くと魔法の檻から妾の体は出ていた。


「ごめん、待たせたね」

「お主は、マイト」

「直ぐに助けに入りたかったけど、あの魔法が厄介過ぎて中々近づけなくてさ。でも一瞬だけ魔法の抜け道を見つけたから、風の魔法で一気にその間を取りすぎたんだ。オリジナル魔法の補助を受けてね」

「なるほど、それなら納得じゃ」

「誰だお前は、後もう少しで息の根を止めれたと言うのに。邪魔をするならお前も消すぞ」


その時三つの魔法陣が目の前に展開される。

それと同時に発動しようとした瞬間、妾は魔法でそれを吹き飛ばした。


「何!?」

「今じゃ!」

「あ、うん!テレポート!」


そしてマイトの魔法で妾達は何とか前線から退けることが出来た。


「逃げたという事は、まさか‥‥‥」



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