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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第四章 地獄の一週間
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その二十 リドルの交渉

「で、どうする?」


俺達はこの村の食料を確保するために、モンスターを倒す作戦を考えていたがこれが中々苦戦している。


「まずはそのモンスターの性質を知ってからじゃないと作戦が立てられないと思うわ」

「まてまて、性質ってどうやって知るつもりだ」

「一般的ですと知ってる人に聞き込みをしたり後は実際に見たりとかですかね」

「やっぱりそうなるじゃないか。そんなことしてたら性質を知る前にお陀仏だろ」

「そうじゃな、妾もそう思うぞ」

「じゃあどうするの?」

「どうしようか」


こんな感じでおんなじ話を行ったり来たりして中々進まない。


「このままじゃまじで話し合いだけで終わるぞ」

「じゃあもう次出した案で行きましょう」


みんな頭を悩ませて考え始める。

う〜んほんとにどうするか。

真正面から戦っても勝てない以前にパーティーを作り始めたばかりのメンバーが連携を取れるわけがない。

作戦を考えていると誰かが口を開いた。


「お腹空いた………」


お腹を鳴らしながらため息混じりにデビがつぶやいた。


「俺達だって腹減ってるんだよ。我慢しろ」

「まあデビちゃんはまだ子供だししょうがないわよ」

「ちょっと待て、妾を子供だと思ってるのか?妾はもう12歳の大人じゃ!」


そう言って自分の背をピーンと伸ばす。


「いや子供じゃん」

「子供ではない!」


いやどう考えても子供だろ。

まあこれ以上言っても意味ないし、ここは黙っておくか。


「そんなことより作戦を考えろよ。まじでこのままじゃカルシナシティに行く前に力尽きるぞ」

「分かってるわよ。でも良い案が思い浮かばないのよ」

「すいません……ちょっと良いですか」


すると、リドルがゆっくりと口を開いた。


「何?何かいい案が思いついたの?」

「さっきデビさんがお腹が空いたとおっしゃってましたよね。それで思いついたんですけど、罠を仕掛けるのはどうですか?」


だがその提案にみんなは微妙な反応をした。

そりゃそうだこの提案は最初に出てた案だ。


「リドル忘れたの?その話はもう終わったでしょう」

「それは落とし穴に入れるという話でした。僕が出す提案は餌です」

「餌?」


リドルの次の言葉に注目が集まる。


「そうです、餌で釣るんです。あらかじめあのモンスターが好きな食べ物を置き夢中なっている所を倒す。これはどうでしょうか?」

「確かに餌を食べてる時は油断してるし叩きやすい、でも……」


この作戦には大きな問題がある。


「もしかしてエサというのはドラゴンか?それは無理じゃろ。ドラゴンが無いから困っておるのに合ったらこんな目に合うわけ無いじゃろ」


言いたいこと全部言われたな。

ていうか珍しくこいつがまともな事言ったな。


「まあそういう事だ。リドル、諦めろ。餌が無いんじゃこの作戦は無理だ」

「何言ってるんですか?餌ならありますよ」


何言ってんだこいつ?


「待て待て、話が見えてこないぞ」

「分かりました。着いてきてください」


そう言うとリドルは立ち上がりドアを開けた。

一体どこに行くんだ?

不安に思いながらもリドルの後をついて行った。


――――――――――――

「お話があります、村長」

「いきなりなんだ」


リドルの後をついて行っていたらまさかの村長の家に着いた。

ここで何をするんだ?


「単刀直入に言います。ドラゴンを頂けないでしょうか」

「な!?」

「「「え!?」」」


その言葉に村長だけでなく俺達も驚いている。


「ちょ、ちょっと待て!ドラゴンは無いんじゃないのか」

「食べる分のドラゴンが無いだけでドラゴン自体はありますよね」

「な、何を言ってるんだ」


その言葉で村長が少し動揺する。


「どういうこと?」

「ドラゴンが完全に無いとは考えにくいんですよ。この村のドラゴンは色々な街に送られているのでその分のお金も当然貰ってます」

「つまりこの村の収入源はそのドラゴンってことだろ」

「そういう事です。そしてその収入源は突然の出来事によりなくなった。当然他の街もドラゴンを手に入れる為にこの村に色々なものを支給していると思うのでそれらも返されてしまう。違いますか」

「………………」


村長は黙っているが内心はかなり焦っているだろう。

顔の頬に一滴の汗が流れ落ちる。


「でも俺、少し気になるんだけど。村ってそんなにお金とかいるのか?自給自足すればいいしドラゴンじゃなくても他のモンスターで食べてけばいいんじゃないのか?」


村というのは行ったことないがお店とかは遠くから来てくれた人を歓迎するためで自分達はそこまで利用しないと思うし。


「かつさんの言う通り、他のモンスターで補えばいいと思うはずです。ですが、何故こんなにみんなは暗い顔をしているのか。それが納得出来ませんよね」

「確かに」


ここまでの暗さは異常だな。


「もしかして他のモンスターが居ないってこと?」


寝ているデビを膝枕しているミノルが答えた。

あいつやっぱり子供だな。


「まあだいたいそんな感じです。正確に言うと他のモンスターが取れないですけどね」

「取れないってドラゴンは倒せるのに他のモンスターが倒せないってことか?それはないだろ」


ミノルは寝息を立てているデビの、頭を優しく撫でる。


「ドラゴンを倒せるでは無くドラゴンしか倒せないという事ですよ」

「え!?どういうこと―――――」


その言葉に先程から黙っていた村長が口を開き怒鳴った。


「お前!何故それを知っている!」


怒りをあらわにしてリドルを睨む。


「ちょ、ちょっと落ち着いて下さい」


ミノルがデビを起こさないように気を使いながら村長をなだめる。


「村長、ヌマク、別名ドラゴン殺しの毒ですよね。この村の近くにある霧を加工した代物ですね」

「くっ―――!ああそうだ!だがそれがどうした!」


焦っているのか村長の口調が早くなっている。


「毒を作るのは違法行為ですよ、村長。そのくらいは分かりますよね」


村長の顔を見てリドルが、不敵に笑う。

その村長は顔が引きつっている。


「まさか俺を脅してるのか!」

「いやいや取引ですよ。何処かに他の街に渡す用のドラゴンが保管されてますよね」


その言葉に村長の顔が曇る。

にしてもリドル怖!

アイツ脅しとか得意なのか。


「これはだな……」

「安心して下さい。必ず倒してみせますので」


優しい笑顔で安心させようとしているのだろうけど今は逆効果だな。

その笑顔に安心したのかそれとも恐怖を覚えたのかどちらか分からないが村長はゆっくり頷いた。


「その代わり必ず倒せ」

「分かりました」


完全に蚊帳の外に居た俺達に笑顔で答える。


「終わりましたよ」

「あ……うん」


今日リドルがますます分からなくなった。



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