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半分獣の俺が異世界で最強を目指す物語  作者: 福田 ひで
第二十三章 奪われた者達の決戦
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その五十五 コアvs絶対かつ&ガルア

時間は作戦が開始された直後に遡る。


絶対かつ(魔力レベル17)ガルア(魔力レベル18)チーム


状況整理のための通信を終えた所で俺は一息つく。


「ふう、どうやらみんな目的地には付いてそうだな」

「そうだな。俺達ももうすぐ着く。かつ肩あっためておけよ」


ガルアは既にやる気十分だ。

まあ、ずっとこの日を待ち望んでたんだ気合の張り方も今までとは違うよな。

俺も体中から力が沸き上がって来る、ガルアに負けないくらいやる気は十分だ。


「魔力レベルも二つも上がったからな。魔力量もかなり増えた。本番で普段よりも魔力の消費が激しくても三発は打てると思うぞ」

「そんなに無理をする必要はねえぞ。オリジナル魔法は決め技だ。頻繁に打つような物じゃない、俺だって魔力量はかなり上がったが頻繁に使うつもりはない」


俺達のオリジナル魔法は強力な分魔力量の消費がかなり多い。

インパクトは魔法熟練度がかなり高いが慣れないやり方をしてるため、無駄に魔力消費をしてしまっている。

それでも何度か魔法を使って最初よりは抑えることが出来るようにはなったけど、そんなに頻繁に使えない事には変らない。


「昨日話した作戦は覚えてるよな」

「ああ、まだ知らないオリジナル魔法の特性を活かして相手の意表を突くんだろ」


確かにあの時はそれしかないとは思ったけどそれを外した場合の作戦は立てられてない。

シンプルイズベストで行こうとはしているが、状況に応じて多様な作戦を考える必要もある。


「頭の中でごちゃごちゃと考えるなよ。それがかえって魔法を撃つ躊躇いが生まれる。その一瞬の隙ですべてが終わる可能性があるんだからな」


俺の思考を読んだかのような言い方をしてくる。

確かにあれこれ考えて迷ったらすべてが終わるよな。


「かつ、単純なことだ。お前はそのブレイクインパクトを当てる事だけを考えればいい。それだけでいいんだ。後は俺に任せろ」

「てっそれが一番難しんだろうが。まあ、確かにそうだな。あれこれ考えても仕方ないか」


こっちはこっちでもしもの対策は一応考えてるしな。

最初の一撃が決まれば後の事は気にしなくてもいいくらいだし、ひとまずは俺のすべきことをやろう。


「さっそろそろつくぞ。あそこにラミアが居る」


そう言ってガルアが指差す山は俺には見覚えがあった。

サル山、あの山のボスサルとは一度戦った事がある。


「あの山には何かと縁があるな」

「あそこには凶暴なサルのモンスターが住処にしていたが、現在は一匹もその姿を確認されていない。恐らく全滅だろうな。そんな不可解な出来事が起きた日とコアがラミアを連れて行った日が一致してる。十中八九あいつの仕業だろう」

「そうか、全滅なのか」


ウキャも死んでしまったって事だろうな。

あいつとは命のやり取りをした仲だけど悪い奴ではなかった。

こんな世界だからこそ別れは突然やって来る。

だからこそ強くなるしかないんだ、別れを無くすために。


「かつ、最後に確認したい事がある」


山に登り始めそろそろつくと言う事でガルアが突然切り出した。

わざわざ戦う直前に改めて言いたい事って事は大切な話なのだろう。

それを理解した上で俺は耳を傾ける。


「どうした、急に」

「お前は俺に死ぬなと言ってくれたよな、それは本当にうれしかった。だがこの戦いはそんな甘い物じゃない」

「おいっ!」

「待て、最後まで話を聞いてくれ」


俺が言おうとしている言葉を分かったうえで止めているのか、どちらにしろまだ何か言う事があるのなら口を挟むのはその後でもいい。

俺は口をつぐんで再度ガルアの話を聞く。


「俺はこの戦いにどうしても勝ちたい。どんなことをしてでもラミアを助けたいんだ。たとえどちらか片方が死んだとしてもだ」

「っ!?ガルア‥‥‥」

「かつ、俺達が負けた時は死ぬ時だ。それ以外は負けじゃない、命のある限り戦い続けるぞ」

「分かったよ。最後まで戦い続ける、どんなことが起きたとしてもな」

「ああ、それじゃあ行くか」


再度俺達は覚悟を決めたラミアが待つ山の頂上へと向かって行く。

山は広いが、コアの位置は何となく分かる。

山の近くからでも感じられた不気味な雰囲気とただならぬ気配。

それがどんどんと強くなっていく所にコアは要る。

そして、頂上に付くとそこには待ちくたびれたかのように崖の端で佇んでいる女の人が居た。


「来たか」


振り返ることなくその言葉を告げるとこちらにゆっくりと顔向けて来る。


「怖気づかずによく来たな。待ってたよ、ガルア」


これが、コア。

只ならぬ雰囲気とこの落ち着きよう、何度も味わった事がある。

これは圧倒的格上が放つ独特な気配だ。

一瞬たりとも油断出来ねえ。


「ん?お友達も連れて来たのか。ああ、そいつが例のインパクトの継承者か。ガイスはお前がゼットの息子だと意味不明なことを言っていたが‥‥‥なるほど、やっぱり嘘だったか」

「嘘じゃねえよ。そのゼットって人は俺の父親だ」


俺がコアに向かってそう言い放つと、コアは面白がるようにして笑い声をあげる。


「あははははっ!お前があのゼットの息子!?おいおい、勘弁してくれよ。そんな見た目からして軟弱そうな奴があの最強の男の遺伝子を継いでるっていうのか?まっそうなるのも納得か、あいつは私よりもあの女を取ったからな。私があいつの子を産めばそれこそ、最強の半獣が生まれたのに‥‥‥」

「何だ、ぼそぼそと」

「何でもねえよ」


コアは手をひらひらさせるとそのまま先程の会話を終わらせようとする。

すると今度はガルアがコアに話しかける。


「無駄話をしに来たわけじゃねえ。ラミアは何処だ、お前が連れ去ったのは分かってる」

「ふっそれが目的だろうからな。知りたいはずだ。安心しろ、この山に隠されてる研究室に置いてある」


置いてあるか、まるでラミアを物みたいに言うんだな。

ガルアのその言葉に引っかかったのか、静かに怒りを滲ませる。


「ラミアは無事なんだろうな。もしラミアの身に何かあった時はお前を殺す」

「ははっいいね。安心しろ、ラミアは生きてる。まあ、無事かどうかは言えないかもな。なんせここ数日魔力タンクとして使ってたから、元気がなくなって来てな。そう言えばここ最近あいつの声を聞いてないような気がするな。あれ?飯を最後にあげたのはいつだったかな」

「コア!!!!」

「ガルア、駄目だ!」


今にも飛び掛かりそうなガルアを俺は体ごと抱き締めて制止させる。


「あれは挑発だ!お前の反応を見て楽しんでるんだよ!そんな挑発に乗るな、ラミアは無事だ!殺すのならわざわざ連れ去るなんてことしないはずだ!」

「っ!!‥‥‥ああ、そうだな。悪い、気が動転した」


ようやく落ち着きを取り戻したのか、冷静な口調に戻り力が抜ける。

大丈夫だと思い、そのままガルアの体から離れる。

ああは言ったけど、さすがのあの言い方は俺も気分が良くない。


「なあ、ガルア。最後に確認したいんだが、今回はコアを殺すつもりで良いんだよな」

「もちろんだ、その為に来たんだ」

「悲しいな、母親を殺すつもりか?私はこんなにもガルアを愛しているのに」

「愛?笑わせるな。お前何かが愛を知るわけがねえだろ。お前は家族でも何でもねえ、最悪の両親の元に生まれたラミアが不憫でならない。俺の家族はラミア一人、それ以外は敵だ」


明らかな殺意が込められた言葉をコアに向かって言い放つ。

ここまで怒っているガルアを見るの初めてだ。

だけどそんな状況でも言われているコアは楽しんでいるんだよな。


「その通りだ。殺す気で来い、私もお前を殺すからさ。その為にお前を生んだんだよ。最強の男女の間で生まれた最強の子供。それを殺せば私は本当の意味で最強になれる」

「自分が最強だと証明する為だけに子供を産んだってことか。まるで道具扱いだな、子供は親の物じゃねえぞ。子供にだって意思があって自由がある」

「ザコが何口を挟んでるんだ」


その時こちらに初めて視線が向けられる。

全身が粟立ち、悪寒が走る。

殺気だ、それを向けられただけでこんなにも体が強張る何て。

だけど、負けるわけには行かねえ。


「ザコじゃねえ、俺は絶対かつだ。何もラミアを救いに来たのはガルアだけじゃない」

「どういう経緯でお前がラミアを助けに行く事になるんだ。無関係の奴が家族の話に割って入るな」

「関係なくねえよ、なんせ俺はラミアのお兄ちゃんだからな」

「は?」


ここに来てコアは面食らったように口を半開きにする。

すると横に居たガルアが笑い声をあげる。


「ははっお前は相変わらず譲らないな。本来ならお兄ちゃんじゃないと言いたいところだが、今回だけは認めてやるよ」


そう言うとガルアは一歩前に出る。


「俺だってラミアのお兄様だからな。だからこそ助けなきゃならねえ。そうだろかつ」


名前を呼ばれたことで俺も一歩を踏み出してガルアと肩を並べる。


「ああ、妹を守るのは兄の役目だ」

「何だっていいさ、戦えるならな」


もうこれ以上言葉を交わす必要ないだろう。

互いに戦う準備は出来た。

いよいよ始まるんだ、ラミアを救う戦いが!



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